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ウガンダの同性愛活動家、撲殺される…オバマ大統領らが追悼

2011年01月28日


ありし日のデヴィッド・カト氏
 アフリカ東部のウガンダで同性愛者の人権擁護活動家であるデヴィッド・カト氏が、首都カンパラ近郊の自宅で撲殺されました。同氏の弁護士が27日に明らかにしたものです。
 カト氏はハンマーで頭部を数カ所殴られ、病院に運ばれる途中で亡くなったそうです。近所の住民がカト氏が死亡しているのを見つけ、当局に通報しました。自宅からは現金や衣類の一部などがなくなっていたといいます。カト氏は脅迫を受けていたそうです。
 この事件に関連して、カト氏の自宅付近で目撃されたタクシー運転手と、事件前に同氏と一緒にいた人物に対して逮捕状が出されました。警察は「強盗」が1人逮捕されたとしているものの、カト氏が同性愛者であることと殺人とは無関係だと述べているそうです。カト氏が同性愛者だから殺害されたのか(憎悪犯罪なのか)どうかは、まだ不明です。

 ウガンダでは、昨年10月、現地のタブロイド紙『ローリング・ストーン』(注:アメリカの音楽雑誌とは無関係)が「同性愛者手配リスト」として約100人の氏名や住所、顔写真を公表し、「絞首刑にしろ」などと書き立てて反同性愛感情を煽るという、ひどい事件がありました。そのリストの中にカト氏も含まれていました。また、このリストが出て以降、少なくとも4人が襲撃されたそうです。
 同紙は11月にも新たに複数の人たちの氏名や住所、顔写真を掲載し、(カト氏が率いる)人権擁護団体の訴えによって、裁判所から発行停止命令を受けたそうです。

 アフリカでは大半の国が同性愛を禁止しており、中には終身刑や死刑になる国もあります(詳しくはこちら)。ウガンダでも昨年1月、終身刑や死刑を認める反同性愛法が国会に提出され、「ナチスのようだ」と国際社会から強い批判を浴びました(現行の法でも、同性との性行為が見つかった場合、禁錮14年の刑だそうです)。昨年10月、ウガンダの活動家、ユリウス・カグワ氏は、人権団体からの表彰を受けるため訪米した際、「ホモフォビア(同性愛嫌悪)が人を殺す。法案からいくら死刑を除外したとしても、ウガンダでは依然、同性愛は死刑と等しい。同性愛者は社会から切り離され、医療サービスも断られ、家すら持てない」と語っていました。

 ウガンダの同性愛者の命や権利を守る活動の先頭に立ち、カト氏は、反同性愛法にも抗議し、タブロイド紙の横暴も訴えてきました。亡くなる前には脅迫状も受け取っていたそうです。まるで、ハーヴェイ・ミルクのように。
 
 オバマ米大統領は27日、カト氏の死を悼む声明を発表しました。以下、全文訳です。
「デヴィッド・カト殺害の知らせを聞いて深く悲しんでいる。ウガンダでは、同性愛への憎悪との闘いにおいてデヴィッドが大いなる勇気を示してくれた。公正と自由を求める力強いフロントマンだった。アメリカは彼の殺害を悼み、彼が成し遂げてきたことが無にならないよう、誓う。
 我が国を、そして世界を見渡すと、LGBTに対するいじめや差別、そして憎悪がまだまだ課題であり続けている。デヴィッド・カトの殺害に先立つこの数週間、ホンジュラスの5名のLGBTが同様に殺された。ウガンダやホンジュラスの政府はこの殺人を調査し、二度とこうしたヘイトクライムが起こらないように対処すべきだ。
 LGBTの権利は、何も特別な権利ではない。人権だ。私の政権は強く彼らの人権をサポートしつづける。また、海外のLGBTも同様だ。デヴィッド・カトのようなリーダーが死の脅威にさらされているから、そして、自由、公正、平等の前進のための活動を我々も共有するものだから」

 また、同様にヒラリー・クリントン米国務長官は「この憎むべき行為に責任のある者を早急かつ徹底的に取り調べ、訴追するよう、ウガンダ当局に求める」との声明を発表しました。
(後藤純一)


ウガンダの同性愛活動家、撲殺される 米大統領が追悼(CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/30001632.html

同性愛者活動家、惨殺される 大衆紙が「絞首刑しろ」呼び掛ける ウガンダ(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110128/mds1101281000008-n1.htm

「絞首刑」報道に抗議 ウガンダの同性愛活動家が惨殺される(スポニチ 共同)
http://www.gslb.sponichi.co.jp/society/news/2011/01/28/kiji/K20110128000137150.html

同性愛が違法のウガンダ、過激な反ゲイ紙 議会には死刑法案も(AFP)
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2768202/6356361

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