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ベルリン国際映画祭のテディ賞が発表されました

2011年02月23日

 2月11日〜20日、第61回ベルリン国際映画祭が開催されました。
 ベルリン国際映画祭と言えば、最優秀LGBT映画に贈られる「テディ賞」。今年のテディ賞の結果をお伝えしましょう。

 テディ賞(Best feature film)に輝いたのは、アルゼンチンのMarco Berger監督による『Ausente (Absent)』でした。
 こんなストーリーです。
 マルタンは水泳の授業中に目をけがします。コーチのセバスチャンは彼を病院に連れて行きます。その途中、セバスチャンはマルティンに家に寄ろうと言いますが、彼はその夜、友達の家に遊びに行こうと思っていたので、授業に戻りたいと言います。友達はクラブにはいなくて、セバスチャンは遅れたのだと気づき、マルタンは行き場を失います。学校には誰もおらず、セバスチャンは彼の家にマルタンを連れて行きます。マルタンはウソをつきます。いつも通り家にいる予定だったのです。セバスチャンは生徒の真意に気づいていませんでした…

 テディ賞ドキュメンタリー賞(Best documentary)は、Marie Losier監督による『The Ballad of Genesis and Lady Jaye』(米・仏)に贈られました。
 ポスト・パンク・バンド「Throbbing Gristle」や「Psychic TV」に属し、インダストリアル・ミュージックの父となり、アシッドハウスやテクノのパイオニアと言われ、30年以上もアンダーグラウンド音楽シーンのキーパーソンであり続けているカルト・ミュージシャン、Genesis Breyer P-Orridge。音楽の新しい地平を切り開いただけで満足せず、Genesisは、最愛のLady Jaye(個人)に自身を似せるためにトランスし、誰もが振り向くような派手な「女性」となりました。ライブ、インタビュー、日常生活の姿などを織り交ぜ、Genesisの多面的な肖像を描いた作品です。

 テディ短編賞(Best short film)は、『Generations』(監督:Barbara Hammer and Gina Carducci)と『Maya Deren’s Sink』(監督:Barbara Hammer)が受賞しました。実験的でアヴァンギャルドなタッチが印象的な作品だそうです。

 テディ賞審査員賞(Jury award)は、フランスのセリーヌ・シアマ監督の『Tomboy』に贈られました。『Tomboy』はパノラマ部門にも出品された長編作品です。セリーヌ・シアマ監督は、日本でも『水の中のつぼみ』という作品が公開されています。フランスの次世代を担う作家と目されており、レズビアンであることをカミングアウトしています。
 『Tomboy(おてんば娘)』は、男の子になりたいと願った女の子の物語です。引っ越し先で知り合った少女・リーザに名前を尋ねられ、とっさに「ミカエル」と性別を偽ってしまったローレ。その日から、ローレは「男の子としての自分」を意識するようになる。夏休みの間、ミカエルとして近所の子たちと親しくなるローレ。しかし、新学期は目前に迫っていた。そして、リーザとの距離もどんどん縮まって……。
 賞は、監督の完璧なディレクションと、主人公Zoe Heranの卓越した演技に対して贈られました。
 
 それから、テディ賞特別賞(Special award)が南アフリカのドラァグ・パフォーマー/HIV・エイズアクティヴィストであるPieter-Dirk Uysに贈られました。
 南アフリカのHIV/AIDS教育の推進においてとりわけ活躍したこと、そして彼の分身、Evita Bezuidenhoud(ネルソン・マンデラによって「南アで最も有名な白人女性」と称された)のステージを讃えるものだそうです。

 もう1つ、番外編としてドイツのゲイ雑誌『ジーゲスゾイレ』の読者が選ぶ「Siegessäule Reader's Award」という賞があり、ドイツのBenjamin Cantu監督による『STADT, LAND, FLUSS (HARVEST) 』という作品が選ばれました。
 こんなストーリーです。
 マルコはベルリンの南6kmのNuthe Urstromvalleyにある農場の見習い。最終試験を通れば、農家として認められます。でも、彼は、職場の書とにはほとんど友達もおらず、社交的ではないと思われていてました。でも、新しいジェイコブという見習いが、少しずつ、殻を破り、マルコに近づいてきたのです。二人は収穫しながら、穀物を畑に運びながら、子牛を母牛から引き離しながら、お互いを知るようになります。ある日、二人はベルリンに1日逃れ、世界が突然変わってしまいます。友情が恋に変わっていきました。が、二人はどうやって「二人の人生」を生きていったらよいのか、わからないのでした……

 どの作品もとても観たいですよね。東京国際レズビアン&ゲイ映画祭など、日本での上映が実現することを期待します。(編)

第25回テディ賞
http://news.teddyaward.tv/en/

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