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毎日新聞のレインボーマーチ札幌連載の番外編もまた、素晴らしかったです

2011年02月26日

 先日、毎日新聞のレインボーマーチ札幌連載が素晴らしい、とお伝えしました。
 興味本位ではなく、心からセクシュアルマイノリティの抱える問題に共感する姿勢が見てとれ、また、見事な記事の構成によって、読者を感動させ、悩める当事者やその周囲の人たちを勇気づけるような、本当に良質な記事を届けてくれました。

 続く第4回目は「性同一性障害」。見た目と履歴書の性別が異なるがゆえに会社の面接を受けても採用されず、自ら起業したという直輝さんのお話でした。
 第5回「自殺未遂」。ゲイの祥平さん(25)は、進学校で知られる高校を中退し、部屋にひきこもり、「どうしてこんなふうに産んだ?」と母親を何度も責め、ついに23歳の春、自殺未遂を起こしたそうです。とても痛ましいお話でしたが、母親との対話や祖母の死などをきっかけに、少しずつ前向きに生きる力を得たようです。
 第6回「レズビアン」の主人公は、レインボーマーチの実行委員をつとめた陽子さん。社交的で素敵なキャラクターが、この連載を明るく締めくくってくれました。

 そして、2月21日からは「レインボーマーチが聞こえる:性的マイノリティーの日常」の番外編として、識者(さまざまな分野の専門家)へのインタビューが上中下と3回にわたって掲載されました。

「上」に登場したのは精神科医の平田俊明氏。AGPの共同代表をつとめ、『ハートをつなごう』にも出演している方です。「他のマイノリティーが抱える問題との違いは何でしょう?」という質問に対し、「人を好きになることは、人間の本質的な部分。そこに偏見を持たれるのは、道徳的に間違った人間だと指摘されるようなもので、否定の意味合いが強くなる」と答えているほか、「問題解決につなげるには?」という質問に対しては「学校とメディアの存在が大きい。成長の過程で、教師などの公の立場にいる大人がLGBTについて肯定的な発言をしてくれたかどうかで、本人の認識は大きく変わる」と指摘しています。

「中」では、近代日本の同性愛の歴史研究第一人者である関西大准教授・古川誠氏が、江戸時代までは同性愛におおらかだった日本で、どうしてタブー視されるようになったのか?という疑問に答えています。さまざまな見方があるところですが、欧米の影響で、ということは言えるようです。最後に「結局、同性愛はどういうものなのでしょう?」と尋ねられ、古川氏は「同性愛は歴史的に見たら決して珍しいことではない。同性同士の組み合わせを『気持ち悪い』と感じるのは、その時のメディアや世論などに強く影響されたものと言える。少し時代をさかのぼると、全く違う社会が見えてくる」と答えています。

 そして、「下」に登場したのは世界的に有名な性学者、キム・ミョンガン氏。冒頭、「昨年12月に東京都の石原慎太郎知事が、同性愛者について『どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう』と発言したことについて、どう思いますか?」と聞かれ、「はっきり言って間違いだ。遺伝的に劣っているなんて『太陽が地球を回っている』と言うくらいにばかげている」とバッサリ。どのようなメカニズムで同性愛が生じるのか、同性愛に結びつくのは生物的な要素だけなのか、といった科学的なところについてわかりやすく解説してくれています。結論として「性的マイノリティーの人は、なぜ否定されがちなのでしょうか?」と尋ねられ、「性的指向に限らず、世界はいつも仮想の敵を作って、そこから団結する。差別する側が『自分たちは正しく美しい』ということにしたいがために、遺伝や生物学的に問題があるなどと勝手な根拠を作って相手をおとしめる。時代の流れとともに、多数派が都合のいい理由を付けているに過ぎない」と答えていました。

 どれも、字数が限られているなかで、本当に実りの多い、胸がすく思いがするような、素晴らしいインタビューでした。
 担当記者の中川紗矢子さんに拍手を贈りたい気持ちです。(後藤純一)


レインボーマーチが聞こえる:性的マイノリティーの日常 番外編/上 /北海道(毎日新聞)
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110221ddlk01040118000c.html

レインボーマーチが聞こえる:性的マイノリティーの日常 番外編/中 /北海道(毎日新聞)
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110223ddlk01040211000c.html

レインボーマーチが聞こえる:性的マイノリティーの日常 番外編/下 /北海道(毎日新聞)
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110224ddlk01040029000c.html

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