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キリストの受難を現代のゲイに置き換えた演劇『Corpus Christi』が上演中

2012年09月06日

 オープンリー・ゲイのトニー賞作家、テレンス・マクナリーが1998年に発表し、ニューヨーク演劇界に大論争を巻き起こした作品『Corpus Christi』が、遂に日本上陸を果たしました。9月17日まで青山円形劇場で上演中です。

 『Corpus Christi』は、キリストの受難劇を現代のアメリカに置き換えた作品。「キリスト」と12人の使徒は全員ゲイで、ホモフォビックな社会から迫害を受ける彼らの姿がキリストと重なります。「キリスト」は「ユダ」と愛し合うようになりますが、やがて「ユダ」に裏切られ、受難の日を迎えるのです…
 1998年のプレミア上演の際は大論争を巻き起こし、カトリック団体は「言葉にできないほど病的」と非難。また、上演を決めていた劇場「マンハッタン・シアター・クラブ」は、「本公演を中止しなければ、劇場を放火して中にいる全員を皆殺しにする」という脅迫電話も受け、一時は上演の中止を発表するも、最終的に上演に踏み切りました。初演の際も、マンハッタンの劇場前に抗議のキリスト教徒らが押しかけたそうです。 劇場の広報担当者は、「これは、私が脚本、演技、監督の全てを望んでいた劇だ」というマクナリーの声明を代読しました(マクナリーはカトリック教徒だそうです)
 なお、Corpus Christiとは、直訳するとキリストの遺体(聖骸)ですが、聖体祭というカトリックの祝日(最後の晩餐における聖体の秘蹟を崇めるもの)でもあり、マクナリーが育った町(テキサス州)の名前でもあります。

コーパス・クリスティ 聖骸
期間:2012年9月6日(木)~17日(月・祝)
劇場:青山円形劇場
作:テレンス・マクナリー『Corpus Christi』
訳・演出:青井陽治
出演:渡部豪太、窪塚俊介、松田洋治ほか


 テレンス・マクナリーはトニー賞やエミー賞をはじめ数々のアワード受賞歴をもつ、アメリカを代表する劇作家です。
 1939年、フロリダ州に生まれたテレンス・マクナリーは、1956年、NYのコロンビア大学で英米文学を学び、1964年以降、風刺のきいたコメディを多数発表し、高く評価されるようになりました。中でも『月夜のフランキーとジョニー』はアル・パチーノとミシェル・ファイファー主演で映画化され(邦題『恋のためらい フランキーとジョニー』)、映画版の脚本もマクナリーが手がけました。『蜘蛛女のキス』(1992、トニー賞最優秀ミュージカル脚本賞受賞)など、ミュージカルも脚本も手がけています。戯曲(ストレートプレイ)も、マリア・カラスの苦悩や芸術観を描いた『マスター・クラス』(1995、トニー賞最優秀戯曲賞受賞)、ホモフォビアを描いた『Lips Together, Teeth Apart』(1991)、ゲイ社会がAIDS危機に直面した激動の1980年代とその後を踏まえて発表された『A Perfect Ganesh』(1993、現在マクナリーが映画版の脚本を執筆中)、『Love! Valour! Compassion!』(1994、トニー賞最優秀戯曲賞受賞)、そして『Corpus Christi』 (1998)など、多数です。
 1970年からアメリカ劇作家協会に所属し、1981年からは副会長も務めています。
 パートナーのThomas Kirdahyと2003年にバーモント州でシビルユニオンを結び、2010年にはワシントンD.C.で正式に結婚しました。

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