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NBAのジェイソン・コリンズ、メジャー現役選手として初めてカミングアウト

2013年04月30日
 米プロバスケットボール協会(NBA)のジェイソン・コリンズ選手が、4月29日発売の『スポーツ・イラストレイテッド』誌(グラマラスな女性モデルが水着姿で表紙を飾る、たいへんマッチョな雑誌)の特集記事で、ゲイであることをカミングアウトしました。

 米四大リーグ(NBA、MLB、NFL、NHL)の現役選手がカミングアウトするのは、史上初めてのことです。

 ベテランのセンター(NBAにおける花形ポジション)であるコリンズ選手は、NBAで6チームを渡り歩き、通算12シーズンを経験。今季はボストン・セルティックスとワシントン・ウィザーズでプレーしました。また、ニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)でプレーしていた2001-02シーズンと02-03シーズンにはファイナルまで進みました。現在はフリーエージェントとなっています。

 特集記事は「私は34歳のNBAのセンター。そして黒人でゲイだ」という一文から始まります。
「米メジャースポーツで初めてゲイだと公表するアスリートになろうと思っていたわけではない。でもゲイであることは事実だから。そのことを話せてうれしいよ」
「何年も苦しみに耐え、度を越した偽りの生活を送ってきた」
「カムアウトを考えはじめたのは2011年。NBAのロックアウト(労使交渉で、通常とは逆に雇用者である会社や団体側がストライキをすること)のとき。俺はルーティンの鬼だからいつもシーズンが終わると、すぐに次の秋の試合に向けて用意を始めていたんだけど、ロックアウトのおかげでそれが崩れてしまった。そうしたら、ふと、自分が一体何者で、本当は何をしたいのか考えざるをえなくなってしまったんだ。シーズン開始が遅れて、トレーニングやワークアウトをしても、それまでバスケットボールが与えてくれた気晴らしができなくなってしまった」
「最初にカムアウトしたのは、判事でもあるおば。『俺はゲイだ』って言ったら、『そんなの何年も前から知ってたわよ』だって! 驚いちゃったよ。そのときから自分でいることがすごく心地よくなった。彼女のおかげで、初めて自分の“センサーボタン(押したら危険だとビクビクしていたもの)”を無視することができた。逆に双子の弟に告白したときは、ものすごく驚かれたけどね…それにTMZ(ゴシップサイト)にチクられるより、自分の手で告白したかった」
「教室で手をあげて『俺はみんなと違うんだ』って言う子にはなりたくなかった。もし先に誰かがやってくれていたら、道を開いてくれていたら、と思う。でも誰もいなかった。だから自分が手をあげるんだ」
 カミングアウトの決意は、先日のボストンマラソンでの爆破テロによってさらに固くなったそうです。「誰も、恐怖の中で生きるべきじゃない。いつかゲイパレードに参加したい」
 また、コリンズ選手の背番号「98」は、1998年に起きたマシュー・シェパード事件(ワイオミング州立大の学生がゲイであることを理由に暴行され、フェンスに縛り付けられて殺害されました。この痛ましい事件はアメリカ社会を揺るがし、LGBTへの憎悪犯罪を禁じる「マシュー・シェパード法」が制定されました)を悼む意味で98にしたんだそうです。

「ELLE ONLINE」の記事にも書かれているように、NBAの現役スター選手がカムアウトすることは、日本で言えばプロ野球かJリーグの現役選手がゲイだと表明するようなものです。「マチズモが跋扈しがちな四大リーグの世界で、ゲイだと言えばいったいどんな仕打ちが待っているか…という恐怖を克服するのは並大抵のことではなかったはず」「『自分自身を無視し続けるよりも、怯えることを無視しよう』という言葉は、歴史的名言になりそう」

 今回のコリンズ選手の勇気ある行動に、多くの人が支援を表明しています。
 NBAロサンゼルス・レイカーズのスタープレーヤーであるコービー・ブライアント選手は、Twitterで「コリンズを誇りに思う。他人の無知のせいで、自分自身を押し殺してはならない」とコメント。
 NFLボルティモア・レイブンズのラインバッカー、ブレンドン・アイオンバーデイジョ選手も、Twitterで「ジェイソン・コリンズが自分のやり方、タイミングで扉を開けたことは、アメリカで同性愛者がより受け入れられる助けとなる。彼に続いて公表する人が現れるかもしれない」と語りました。
 ほかにもNFLニューヨーク・ジャイアンツの名パスラッシャーだったマイケル・ストレイハン元選手も「ジェイソン・コリンズが勇気を持って立ち上がり、同性愛者であることを明らかにしたことを誇りに思う。彼の行動をサポートするし、敬意を表する」とツイートしたり、NFLカンザスシティ・チーフスのケビン・ボス選手も「同性愛者について無知と嫌悪が渦巻く世界の中で、立ち上がって告白することを選択したコリンズを本当に尊敬する」と語るなど、多くの選手、元選手がコリンズ選手の決断を支持しています。
 また、NBAのデビッド・スターンコミッショナーは「今まで覆われていた重要な問題について、彼のリーダーシップを誇りに感じる」と、娘のチェルシーさんがコリンズと学友だったというクリントン元大統領は「プロスポーツ界の記念すべき日だ」とコメント。オバマ大統領はコリンズに電話をかけてサポートを表明し、その勇気に感銘を受けたと伝えたそうです。


J.コリンズが同性愛者であることを告白、米国4大メジャー現役選手で初(NBA)
http://www.nba.co.jp/news/detail.html?vid=1007

NBAコリンズの同性愛告白に対する反応(NFL)
http://www.nfljapan.com/headlines/45720.html

現役NBA選手で初のゲイ告白、オバマ大統領が賞賛(AFP)
http://www.afpbb.com/article/sports/basketball/2941458/10665063

全米がひっくり返った! 現役NBA選手ジェイソン・コリンズのカムアウト(ELLE ONLINE)
http://www.elle.co.jp/culture/celebgossip/nba-center-jason-collins-comes-out-as-gay_13_0430

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