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米連邦最高裁が結婚を男女間に限る法律を違憲だとする判決を下しました

2013年06月26日
 アメリカの連邦最高裁は6月26日、婚姻を男女の結びつきであると定義する「結婚防衛法」を、法の下の平等を脅かし、違憲であるとする判決を言い渡しました。最高裁が同性婚について判断するのは史上初めてで、大きな注目を集めていました。

 
 今回、最高裁で審理された訴訟は2つありました。1つは、ニューヨーク州で同性婚した女性が、配偶者からの遺産相続が認められず多額の贈与税を課されていた問題に関し、すでに同性婚を認めている州があるにもかかわらず、結婚防衛法があることによって配偶者ビザが発給されない、税金の控除が受けられないなど、国レベルのさまざまな制度に関して不利益をこうむっているという内容(結婚防衛法の違憲性を問うもの)。2つめは、カリフォルニア州がいったん同性婚を認めておきながら、提案8号という住民投票で再び州内での同性婚を禁止することになったため、結婚することができなかったということ(提案8号の違憲性を問うもの)でした。
 連邦地裁と高裁(一審、二審)はいずれも同性婚の権利が認められ、結婚防衛法やカリフォルニア州の同性婚禁止は違憲であると見なされました。
 オバマ政権やカリフォルニア州知事は同性婚を支持する姿勢を打ち出しているため、今回の訴訟では、政府やカリフォルニア州は裁判に参加していません(訴えを支持しています)。このため、結婚防衛法については、同性婚に反対する共和党が過半数を維持している連邦下院の委員会が、カリフォルニア州の訴訟については、提案8号の推進者たちが訴訟に参加していました。
 この訴訟の審理は、3月に行われており(詳しくはこちら)、違憲(同性婚容認)とする判事が4名、合憲(同性婚禁止)とする判事が4名で、アンソニー・ケネディ判事がどちらにつくかが判決を左右すると見られていました。ケネディ判事は期待通り、違憲(同性婚容認)の側につき、5-4で同性婚を認めるという裁定が下されることになりました。今回の判決に際してケネディ判事は、「憲法が保護する同性カップルのモラルとセクシュアリティ、そして州が尊厳を求めてきた同性カップルのパートナーシップへの差別が、彼らを不安定なポジションに置き、品位を落としめている」と述べました。
 
 今回、最高裁が明白に「同性カップルが結婚する権利が常にある」という判決を言い渡したことで、連邦議会は結婚防衛法の改正を迫られます。これまでに同性婚を認めてきた12州(およびワシントンD.C.)では、国が認める結婚の利益(社会保障)の適用が可能になります。そして、現在同性婚が禁止されている35州が今すぐ変更を迫られることはないものの(今回の判決は「同性婚が米国全土で認められるべき憲法上の権利である」とまでは判断していないため)、今後、全米で同性婚が認められる可能性を開くものとなりました。
 
 裁判所の外で行方を見守っていた人々は、「結婚防衛法が倒された」との声が届くやいなや、歓喜に沸きました。大勢のゲイやレズビアンのカップルが抱き合い、涙を流しました。
 あるゲイカップルは、「これまで僕らには権利が認められず、将来が見えずに不安だった。これでようやく、平等の権利を与えられた。本当にうれしい。歴史的な勝利だ」と喜びを語りました。
 また、南アフリカ人のパトリシア・ランバートさんは、「私たちの結婚は今日まで認められていなかった」と、妻のキャシー・マルヴィさんと喜び合いました。ランバートさんは、ビザが切れたら国に送り返されることを懸念していました。

 結婚防衛法については明白な裁定を下した最高裁ですが、カリフォルニア州の提案8号については、そもそも合憲(同性婚禁止を維持)派の控訴の方法が適切ではなかったとして訴え自体を却下し、これを打ち負かす明白な判決を下すことはしませんでした(判決を聞いた直後、アメリカ市民解放連合の代表、アンソニー・ロメオ氏はこう語りました。「同性婚の権利は州に再び委ねられた。私たちはそれを州に持って行く。州から州へ、州議会から州議会へ、政府から政府へ、そして憲法の修正から憲法の修正へ」)。しかし、最高裁の判断は、連邦地裁が2010年に提案8号を無効であるとした判決を支持することを意味しており、同州のジェリー・ブラウン知事はこの判断を支持し「手続きが済みしだい、州として同性カップルへの結婚証明書の発行を再開しなければならない。同性婚は数週間のうちに復活するだろう」と述べています。したがって、カリフォルニア州で同性婚が再び認められることが確実になりました。

 オバマ大統領は26日、声明を発表し、「結婚防衛法では同性婚のカップルを区別し、不等に扱ってきた。連邦最高裁判所の判決はこうした間違いを正すものであり、法の下の平等のため長く戦ってきた人々の勝利だ」として、判決を歓迎しました。そのうえで、「ホルダー司法長官に対し、今回の判決内容が円滑に実施されるよう、関係する法律をすべて点検するよう指示した」と述べ、社会保障や税制などに関する法令の見直し作業を進めていく考えを示しました。 

 2013年6月26日は、全米のゲイ&レズビアンの権利が劇的に前進した、記念碑的な日になったのでした。
 


同性婚禁止の法律は違憲 米連邦最高裁が判決(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0626/TKY201306260586.html

米連邦最高裁:同性婚を容認 「男女間条項」違憲判決(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130627k0000m030104000c.html
 
Supreme Court delivers wins for gay marriage movement(Reuters)
http://www.reuters.com/article/2013/06/26/us-usa-court-gaymarriage-idUSBRE95P06W20130626


同性婚判決に全米各地で喜び(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130627/k10015628641000.html

同性婚カップルの権利否定は違憲、米最高裁が判決(AFP)
http://www.afpbb.com/article/politics/2952796/10967077

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