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2月26日、「Russian Open Games」が開幕します

2014年02月23日

 浅田真央選手はじめ多くのアスリートが感動をくれたソチ五輪が閉幕しました(キム・ヨナ選手がエキジビションで選んだ曲が『イマジン』だったのも感動的でしたね)
 その裏で、ソチでは抗議運動が抑制され(当局は郊外の公園1ヵ所でのみ抗議活動を認めていましたが、書類の不備を理由に、結局すべて認められなかったそうです)、活動家の逮捕が相次ぎました。イタリアの前下院議員でLGBT権利擁護活動に携わっているトランスジェンダーのブラディミル・ルクスリア氏は、「GAY IS OK」とキリル語で書かれたレインボーフラッグを掲げていたため、ソチで逮捕され、一時拘束されたといいます。公衆の面前で同性愛の宣伝をするなとの警告も受けたそうです。プーチン大統領を批判するパフォーマンスで投獄され、五輪を前に恩赦を受けた女性パンクバンド「プッシー・ライオット」のメンバーも、ソチ中心部を歩いていたところ「窃盗事件の関連」という名目で連行され、手荒な扱いを受けたそうです。

 こちらのニュースでお伝えしたとおり、2月26日〜3月2日に「Russian Open Games」というLGBTスポーツ大会が開催される予定です。
 主催するのはロシアのLGBTスポーツ連盟。2011年にサンクトペテルブルクで政府の公認を受けた団体で、900人のメンバーを擁しています。共同代表のKonstantin Yablotsky氏(高校の教師で、2010年にケルンで開催されたゲイゲームズでメダルを獲得したアイススケート選手でもあります)は「グループ名にLGBTと入っていることを喜びたい、それは、政権が公に私たちを社会的なグループと認めたことになるから」と語っています。
「私たちは、スポーツを通じてLGBTに対するロシア政権の態度を変えていきたいと願っています。なぜなら、スポーツこそはフレンドリーなイメージを形作るものだから」
 Yablotsky氏は「オープンゲームズは勝ち負けではなく、人々に参加の機会をもたらすものです。スポーツを通じてお互いに結びつき合う機会です」と語ります。
「これはソチ五輪に対抗するようなものではありません。ロシアの人々が抱くLGBTコミュニティのネガティブなイメージを払拭するようなイベントにしたいと思っています」
 LGBTスポーツ連盟は、性的指向や性自認を問わず、ロシアの人々に参加してほしいと強く望んでいるそうです。海外からの参加も歓迎します。また、五輪の後、ロシアに残っている何人かの有名な選手が参加することにも期待しています。

 とは言え、昨年の反同性愛法施行によって、連盟はオープン・ゲームズの開催を現実のものとするため、さまざまな調整を迫られました。公式サイトには、18歳以上の人のためのイベントであるという警告文が必要となり、また、レインボーカラーのバナーも取りやめました。
 初めは、ソチで「プライドハウス」(LGBTの選手を迎え入れるコミュニティスペース)を設けることを望んでいました。が、政府は五輪期間中、ソチ市内での取り締まりを強化し、ロシア人は特別なパスを持っていなければソチに入ることができません。彼らはソチでのイベント開催をあきらめ、モスクワに会場を移しました。「それしか選択肢がなかった」
 Yablotsky氏は、昨年、レズビアンのサッカートーナメントを成功させた際、当局の締め付けを初めて感じたと言います。会場の係員は、「政府の圧力があるから、もうこの大会は開催できない」と述べました。そのため今回も、公立の会場を借りる際は連盟の名前ではなく個人名で登録したり、個人所有のリンクを借りたりしているそうです。
 連盟は、オープン・ゲームズの開催をロシアのスポーツ相に伝えていますが、支援はできないと言われているそうです。
 
 反同性愛法の下、LGBTのイベントが果たして開催できるのか?という懸念に対し、Yablotsky氏は、ロシアの人々は五輪期間中、何事も起きないでほしいと思っている、と語りました。「五輪はロシアが強い国だと示すためのプーチンの、個人的、政治的なプロジェクトです。彼は五輪開催中は国際的に騒がれるような事件は起きてほしくないと思っています。ロシア人もIOCも何もアクションを起こさないとぼくは自信を持っています。誰も逮捕されません」
 一方、Yablotsky氏は五輪期間中のLGBTのデモの権利に関するIOCの態度を強く批判しています。
「世界には容認することのできない問題がいくつかあります。レイシズムとセクシズム、そしてホモフォビアです。IOCは難しい問題について動く責任を回避していると思います。五輪は政治的な意見を述べる場ではないと思われていますが、それは嘘です。北朝鮮と韓国がいっしょに行進している、そのことはとても政治的なメッセージです。もしIOCがその存在理由を、スポーツが世界に平和をもたらすということ忘れてしまうなら、世界はそれを必要としないでしょう」

 オープン・ゲームズの種目は、バドミンドン、バスケットボール、クロスカントリー、サッカー、水泳、卓球、テニス、陸上、バレーボールの9つ。フィギュアスケートと同性ペアのダンスも、競技ではなくワークショップとして行われるそうです。他にもカルチャーイベントやトークイベントなども予定されています。
 参加者はロシアだけでなく、オランダやフランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、そしてカナダからも見込まれます。また、スノーボードクロス女子で8位入賞したオープンリー・レズビアンのベル・ブロッコフ選手(オーストラリア)も親善大使として参加したいと語っています。それから先日、オランダのEdith Schippersスポーツ相が正式に参加を表明しました。
 

Open Games to celebrate LGBT athletes in Moscow after the Olympics(OutSports) 
http://www.outsports.com/2013/9/18/4743436/open-games-moscow-olympics-lgbt-gay-sports

Russian Open Games aims to push positive image of LGBT folks(USA TODAY)
http://www.usatoday.com/story/sports/olympics/sochi/2014/02/09/russian-open-games-hoping-to-give-positive-image-of-lgbt-russians/5342533/

'Open Games' Set After Olympics to Protest Antigay Law(NBC)
http://www.nbcnews.com/storyline/sochi-olympics/open-games-set-after-olympics-protest-antigay-law-n33551

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