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ローマ・カトリック教会が同性愛者を受け容れるべきだとの見解を示しました

2014年10月15日

 10月13日、ローマ・カトリック教会の総本山であるバチカン(ローマ法王庁)は、同性愛者を排除せず、受け入れるべきだとの見解を打ち出しました。

 約1週間前から、ローマ・カトリック教会の家族のあり方に関する教義を見直す「世界代表司教会議」が開催されていますが、会議の内容を取りまとめた中間報告書が発表され、その中で、同性カップルや未婚のカップル、離婚歴がある人の結婚など、公式にはカトリックで「常軌から外れたもの」とみなされる関係について、すでに多くの人々が「肯定的な側面」を認識しているため、ローマ・カトリック教会はこういった人々に歩み寄るべきだと提案されています。
 報告書は「同性愛者たちにはキリスト教コミュニティに寄与し、優れた特製を提供する資質がある。こうした人々を歓迎し、われわれのコミュニティに友愛の空間を保証することは、われわれには可能だろうか」との問いを投げかけ、さらに「同性愛関係にかかわる道徳的な問題は否めないながらも、パートナー関係にある二人が犠牲もいとわず互いに助け合い、人生における貴重な支えとなっている例もあるということは指摘しておかなければならない」と好意的に分析しています。
 その一方で報告書は、同性愛、婚外性交渉、離婚を根本的に間違った行為とみなしてきた確固たる伝統教義を変えるつもりはない、ということも示唆しています。しかし、カトリック教会がこうした問題に関する教義と現代社会の現実との乖離を埋める手立てを見出す必要がある、とも指摘しています。

 昨年3月に就任したフランシスコ法王は、社会的弱者に対する教義の押し付けを戒めてきました。昨年7月には「神を求める善意の同性愛者を裁くとしたら、私は何者か。彼らはのけ者にされずに、社会に包摂されなければならない」と述べ、社会が同性愛者を受け入れる必要性を強調しました。前職のベネディクト16世が同性愛や中絶を絶対に認めず、徹底的に攻撃していましたが(そのため反発や非難も受け、異例の生前退位をしました)、それに比べるとフランシスコ法王の寛容さや先進性は鮮やかです。
 
 同性愛者団体は今回の中間報告を「大きな前進」「転換点」と位置づけ、歓迎しています。一方、保守派カトリック団体は「キリスト教史上、最悪の文書の一つだ。会議を仕切っている人々は世界のカトリック信徒の親たちを裏切った」と批判しました。著名なバチカン専門家のJohn Thavis氏は、この報告書を同教会に「激震」をもたらすものと評しているそうです。

 司教会議は今月19日に閉幕しますが、また来年、大規模な会議が開かれる予定で、最終的な結論は2016年前半にも下される見込みだそうです。 
 キリスト教世界に多大な影響力を持つバチカンが同性愛を認めるとなれば、本当に歴史的なことです。
 


バチカン、同性愛者らに歩み寄りの姿勢 司教会議で「激震」の提案(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3028840

バチカン:同性愛者を排除せず…社会的弱者受け入れ姿勢
http://mainichi.jp/select/news/20141015k0000m030037000c.html

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