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『TVタックル』で同性婚について議論されました

2015年03月03日

 3月2日、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)において、「渋谷区パートナーシップ証明から同性婚の是非を激論」として、当事者である東小雪さん&増原裕子さんカップル、また政権与党・自民党の柴山昌彦衆議院議員らがゲスト出演し、同性パートナー法や同性婚について議論されました。 
 初めに、すでに子育てをしているレズビアンカップルの声などが紹介され、続いて東小雪さん&増原裕子さんが同性カップルの抱える具体的な困りごとを語り、渋谷区の条例や同性婚の必要性を訴えました。対する柴山議員は「同性愛者を差別するわけではないが」と言いつつ、「渋谷区がそれを認めるとそういう人が集まってきて混乱が生じる」「少子化に拍車がかかる」などと差別的な発言を繰り出し、ミッツさんが「少子化は関係ない。そしたら、高齢者どうしの結婚なんて全然その範囲の外になっちゃうじゃない」「同性愛者が増えてしまう危険性があるなんていう、恐ろしい考え方ですか?」と鋭くツッコミを入れていました。柴山議員はまた、「伝統的な家族のありようは簡単に変えられない。慎重に議論する必要がある」と主張し、それに対して、大竹さんが「イギリスとかいろんな国が認めるようになっている」と、東国原さんが「オリンピックに向けて、人権問題も整備する必要がある。世界が注目している。パートナーシップ法くらいは、あと数年で」と、本村さんが「早急に制度づくりを」と、たけしさんが「お父さんお母さんがいなきゃいけないっていう概念をなくすべき。親でいいじゃないか」とコメントするなど、議員以外全員が積極的に同性婚または同性パートナー法の必要性を認める立場で、議員を説得するような構図になっていました。結婚制度の本質とは何なのか?というところまで掘り下げて議論が深められ、反対意見がひとつひとつ論破されていき(反対意見として何を言っても結局、差別意識が露呈してしまうかたちに)、最終的に議員も、同性婚の制度化を検討する必要性があると認めるところまでいきました。
『TVタックル』のような世間の注目度の高い討論番組でこのような議論が展開されたことは画期的で、たいへん意義のあるものだったと言えるのではないでしょうか。 
 
 以下に、この討論の全貌(文字起こし)をご紹介いたします。

『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)2015年3月2日オンエア
出演:【レギュラー出演者】ビートたけし、阿川佐和子、大竹まこと 【ゲスト出演者】東国原英夫、本村健太郎(弁護士)、橋本マナミ、ハリー杉山、ミッツ­・マングローブ、柴山昌彦(自民党衆議院議員)、東小雪(元・タカ­ラジェンヌ)、増原裕子

(解説)エルトン・ジョンがイギリスで同性パートナーと結婚
(解説)渋谷区が全国初の条例案の検討を発表。同性のパートナーシップを証明するもの
(解説)これに対しネット上では「いろいろな愛の形があるし、大賛成」「国家や人類の繁栄存続を否定」「先進国では結構普通」「渋谷がゲイの街に…」と、炎上
(映像)ゲイバー「vivo」のマスター
「すごいイイかな。結婚とは違うけど、病院に行ったときに家族として面会できる」
(映像)女性パートナーと同居する女性
「ついに来たか。パートナーが病気になったときのおやすみ。異性愛と同じスタートライン。立てないことで悲しい思いをしていた」
(解説)同性カップルは、パートナーが入院しても面会できない、家も借りられないという問題を抱えている。渋谷区の条例を利用すると、同性愛者と宣言することにもなり、差別を受ける不安も。
(映像)女性カップルの佐藤さん(仮名)と杉下さん(仮名)、その子ども(ぼかし)
佐藤さんが友人から精子提供を受けて出産。子供は3歳。喜んだのはパートナーの杉下さん。
「こっちは産んだ側だから、子育ての時間を確保する育児介護休業法があって、母として産休とれたり育休とれたりするんですけど、私は法的にいうと母ではないんですよ。(同性婚が認められたら)ちゃんと申し開きができる。私にとってはうれしいこと」
(解説)世田谷区や横浜市も前向きに検討。
(映像)
佐藤さん「結婚制度は子どもを育てあげるための2人の大人が力を合わせていきましょうという、ある種の契約というか、(子どもを)守るためのシステムなんだって思うようになって。そういう意味では、(同性婚制度が)あったらいいなと思います」
(解説)しかし安部総理は、「現行制度の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません。極めて慎重な検討を要するものと考えております」と発言。果たして、渋谷区のパートナーシップ証明は、同性婚合法化の第一歩となるのか。

スタジオに元タカラジェンヌと一般女性の同性カップル、自民党の柴山衆議院議員を招き、徹底討論!

阿川「当事者の二人においでいただいている」
東「今、渋谷区に住んでいるので、もし条例ができたら二人ですぐに取りに行きたいね、と」
阿川「ご結婚はされている?」
東「2年前に東京ディズニーシーで、初めてとなる同性結婚式を行いました」
大竹「ディズニーシーでこれするのって大変だったんじゃないの?」
東「最初断られたけど、本国に確認してOKに」
阿川「今はどんな支障があるんですか?」
増原「家を借りにくいとか、共有でローンを組めないとか、パートナーに財産を遺せないといった問題があります」
本村「財産については、遺言を書いておけば」
柴山「党内にいろいろな意見が。私はまだ議論が熟していないと」
ミッツ「どこを議論しないといけないんですか?」
柴山「渋谷区の条例でいえば、カップルとして認めるかどうかの要件をまずきちんと詰めなくちゃいけない。単なるこの人いいなというお友達であれば、相続分、遺留分を認めるかというのは難しいと思う」
ミッツ「それを男女間で認めるのが結婚制度じゃないですか」
柴山「男性と女性だったら、伝統的に、一緒になって世帯として子どもを育てる単位だということが社会的に認知されている。そこに法律が注目して、税制、あるいは法律上の同居義務、貞操義務を課している」
柴山「私の地元にも同性愛者の方がいるので、差別をすることはなくしていかなければいけないと思いますけども、それと、同性婚を法的に認知するというのは、ちょっと違う話」
増原「渋谷区の件って、戸籍制度とか婚姻制度とかに手をつけるのではなく、具体的な困りごとがあって、それを解決しようとする方向」
柴山「それは渋谷区のなかで議論することなのか、やはり家族制度として全国的に議論することなのか。地域ごとに文化とか違いがあるかもしれないけど。そうじゃないと、渋谷にそういう人たちが集中するとかね」
東「渋谷に同性愛者がたくさん住んでいたら、どんな問題があると思われますか?」
柴山「問題があるというよりも、やっぱり、そこに社会的な混乱というのは生じるんじゃないですかね」
東「どんな混乱があると思われますか? 私は今渋谷に住んでいるんですけども」
ミッツ「生理的な混乱ですよ。嫌悪」
大竹「ふつうに暮らしてる人たちが、ってことでしょ」
ミッツ「そこは避けて通れない」
橋本「害はないのに」
ミッツ「害はないけど、不自然なものに対して、わって思ってしまう人がいることは事実。それは受け入れるというか認めながらも共存していかなければいけない」
東「気持ち悪いというその人の感覚を違うとか否定できるものではないと思う。だけど、誰かが気持ち悪いと思うことで、マイノリティの人たちが不便があるとか、そういうことはないほうが、みんなにとっていいんじゃないかな」
東国原「自民党さんの考え方は、伝統的な家族制度ってよくおっしゃいますけど、憲法にどう裏付けされているかって問題なんですよね。家族制度って何なの?ってことですよね。イメージされてるのは、一家4人っていう」
柴山「一家4人とは限らないけど、伝統的にね、VTRで子どもさんが、私にはパパがいないのよ、っておっしゃっていた。今は多様な家族の形があるので、母子家庭がいても、それは差別をしてはいけないと。その通りなんです。典型的には、お父さんがいて、お母さんがいて、両親のもとで子どもが育っていくというのが自然の摂理というか、典型例であることはたしか」
大竹「男でありながら男が好きな人がいる。いるんだからしょうがない」
ミッツ「結婚っていうのが子孫繁栄のためなのであれば、オスとメスじゃないと子どもができないわけだから、男と男、女と女が対象外になるのは仕方がないと思う。ただ、結婚制度の今の家族とか夫婦とかの意味合いっていうものが、どんどん多様化して変わっていくわけじゃないですか。別に繁殖だけが結婚じゃないですし。ということは、そろそろ、男どうし、女どうしの結婚というものも適用されてもなんら問題ないんじゃないか」
東「私は結婚したいです」
東国原「LGBTって5%くらいいらっしゃる。20人に1人くらいは、小さい頃から、自分は他人と違うよなっていうのを思っていて」
大竹「中学高校の頃からそういう人って悩み抜いてきてるわけでしょ」
柴山「そういう人たちに配慮して、何年か前に我々は性同一性障害特例法をちゃんと制度化した」
ミッツ「それと同性婚は別」
柴山「まったくマングローブさんおっしゃったように、要するに性的なマイノリティの方が苦しんでる、それを…」
大竹「好きな人といっしょにくらしたいっていうだけじゃないの。それをなんで?」
本村「結婚の制度目的は何なのか?ってことなんですよ。1つは繁殖。1つは貞操義務。もし結婚の本質を、子どもをつくるってことに求めると、子どもがいない夫婦もいらっしゃいますから、この考え方はとれない。だから結婚の本質は貞操義務。約束」
たけし「こっちはどうなんだ(東国原さんを指して)」
東国原「じゃあ言わせていただきますよ。少子高齢化って言うんだったら、男性は複数の女性と関係をもつことを認めればいい。合意のもとでよ」
たけし「コンドームに税金を(笑)」
柴山「逆に言えばね、同性婚が自由にできたとき、本当に少子化時代にマッチするのかどうか」
ミッツ「少子化は関係ない。そしたら、高齢者どうしの結婚なんて、全然その範囲の外になっちゃうじゃない」
大竹「少子化を防ごうとして言っているわけ?」
柴山「そうじゃないけど、同性婚を制度化したときに、少子化に拍車がかかるんじゃないかと」
ミッツ「同性愛者が増えてしまう危険性があるなんていう、恐ろしい考え方ですか?」
柴山「そんなことは思ってません」
橋本「体外受精で子どもをもうけたり、そういうのもあったりするじゃないですか」
阿川「当事者の方に」
東「私は、結婚制度がなくても、私は同性愛者として、彼女といっしょに生きていく。制度がないから、異性愛者になって子どもを産もうとは思わないんですね。それは異性愛の人が同性愛になれないのと同じ。子どもをもつ女性、もたない女性がいるように、それは制度とは関係ないことだと思います。だから少子化の問題と同性婚の問題は分けて考えた方がいいのではないかな、と思います」
阿川「柴山さんがさっきおっしゃった、要するに、国が認める夫婦っていうものの典型っていうのが、子どもをもって「健全」なる家庭をもっているものが国民として正しい生き方だっていうことになる。私みたいに子どもをつくってない者は、国の役に立たない人間は認めないって話じゃないですか」
大竹「家族の形みたいなものをとっても大事にしてない? 多様性があって、世界の動きっていうのを。イギリスとかいろんな国がこういうことを認めるようになってるわけでしょ」
柴山「多様性があることは認めるし、差別はしない」
阿川「一夫一妻制の歴史なんてものすごく短い。それは、国の繁栄のためにできたもので」
本村「15年前は、同性婚を認める国は1つもなかったのに、この15年間でものすごい数に増えてるわけですよ」

(解説)2001年、オランダで同性婚が合法化。現在およそ20年の国で認められ、パートナーシップ制をもつ国もどんどん増えている

ハリー「オバマ大統領が2013年、第2期の就任式のときに、同性愛に関してものすごく長いスピーチをしたんですよ。それが日本では一言も報道されていない。海外の状況って見習う必要があるんじゃないですか」
柴山「世界はそうとう日本とはペースが違うっていうのは事実ですよね」
ミッツ「ペースも違うし、国土も違うし、いろんなタイミングがあって」
阿川「差別がないっておっしゃるけど、制度がそうなっている以上…」
ミッツ「結局それが差別なのよね」
たけし「アメリカは先進国でっていうけどね、黒人差別はすごいし、同性愛差別もすごい。それが表に出てこないだけで。大統領が言わなきゃいけないほど、差別があるんだよなあ」
東「目に見えないからこそ、真綿で首を絞められるというか、この状態でいることが差別的で、なかなか異性愛のカップルと同じになれない、何か特別なことをしてほしいのではなくて、異性愛のカップルと同じ選択肢がほしい、同じようになりたい、同じように彼女と幸せに生きていきたい、という思いが、やっぱり当事者の中にはあって、それは一緒に考えていただきたいなと思います」
ミッツ「スタートラインを作るには、日本はすごく平和な国だと思うんですよ。道を歩いてて石を投げられることもないし。欧米だったらまだそういうことがある地域もある、いくらでも」
本村「これから慎重に判断しようっていうより、もう急いでやらないといけないことだと思いますよ、これは」
東国原「われわれもね、オリンピックに向けてね、喫煙禁煙の問題と、人権の問題ですよ。この問題、非常に世界が見ると思うんですよね」

(解説)去年のソチオリンピックで問題になったのが、人権問題。ロシアでは同性愛プロパガンダ禁止法。同性愛者を弾圧するものだと批判。欧米各国首脳が開会式を欠席するのは抗議のためだったと言われている。一方、安部総理は出席した。

東国原「日本がどれだけ同性愛に進歩的であるか。パートナーシップ法くらいは、あと3、4年でいければ、世界も、おお、日本も変わったじゃないかと」
たけし「さっきさ、2人の女の人、子どもに話しかけて、でもお父さんはいるだいないだ、あれをまず、その概念をなくすべきじゃないか、お父さんお母さんがいなきゃいけないっていうことがなんで問題になるのか。「親」でいいから。うちの親でいい。お父さんお母さんである必要ってあるのかなっていう」
東国原「ひとり親も多いですからね、今は。運動会でも親が参加っていうふうに変わりつつある」
東「もうすでに子どもが育っていたり、私たちも生きているし、ゆっくり進んでいくと、私たちが死んでしまうかもしれないし、私たちが生きている間に利用したい制度があったりだとか、人生設計を考えるときに、やっぱり制度がないと困ってしまう。伝統的な家族もいらっしゃって、シングルで子育てする方もいらっしゃって、同性カップルや同性カップルで子育てする人もいて、みんながもうすでに一緒に生きているので、やっぱり制度が使えないというのは、すごく不便」
ミッツ「政府の立場で差別に向き合うと今、おっしゃいましたよね。てことは、一回、同じ権利を全員に与えてからですよ、差別って。差があるうちは、それ差別に向き合ってないですよ。一回フラットな状態にしてから。それでも世の中差別って出てくると思う」
本村「制度をつくっても、いじめられたりとか、偏見もあるかもしれない。だけどまず、制度自体を作らないと」
柴山「経済的な制度と違ってね、家族制度だとか文化、伝統の問題っていうのは、やっぱり一挙手一投足では変えられないものですし、慎重に」
本村「時間がかかるのはわかるけど、それを急いでやってもらいたいってことなんですよ」
柴山「急いで慎重にやると」
東「それがいいと思います」
大竹「慎重にやるって言ってるけど、議論を避けてきたんじゃないの? みんなで話し合ったらさ」
柴山「与党、野党の区別なく、こんなに世界の流れが早いなかで、国会でオープンに議論されてきた形跡がないんですよね」
大竹「だから、それを避けてきたんじゃないの?」
ミッツ「国全体として、なんとなく」
大竹「俺たちもね」
東国原「そうやって一歩ずつ偏見をなくしていくということは、家族間とか道徳観を失いたくないっていう気持ちはわかるんだけども、それはきちっと保ったうえで、新しい多様化を認めていくというのは、時間はかかるかもしれないけど、やっていかなきゃいけないっていう現状でしょうね」
柴山「それはそうでしょうね」
阿川「国会に当事者がいらっしゃらない。そうすると、どうしても保守的になるのかもしれないですね」

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