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歴史的! 渋谷区の同性パートナー条例が可決、成立しました

2015年03月31日


 3月31日(火)、渋谷区の区議会本会議で同性パートナー条例(正式名称「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」」)が賛成多数で可決されました。夏頃にもパートナーシップ証明書が発行される見込みです。法的拘束力はないものの、条例によって同性パートナーの権利を認めるのは日本初であり、(イスラエルを除けば)アジアでも初の、歴史的快挙です。
 
 条例は、「性的少数者の人権の尊重」を謳い、差別や偏見をなくし、性的少数者を個人として尊重すること、学校教育で理解を深めることなどを規定しています。そして、公正証書を作成している区在住の20歳以上の同性カップルを異性愛夫婦と同等の関係と認める「パートナーシップ証明書」を発行します。不動産屋や病院など、区内の事業者には、このパートナー証明に最大限配慮することを求めています(当初、性的少数者を差別する人権侵害を行った事業者について、名前を公表するという厳しい条例案になっていましたが、付帯決議により、是正勧告を行っても聞かないような深刻な場合以外は公表しないようにするというように改められました)
 区は条例施行後、規則策定のほか、専門家らからなる「男女平等・多様性社会推進会議」を設置し、区民や事業者に内容を説明し、協力を求めていく構えです。
 区議会本会議では、共産、公明、民主など5会派が賛成し、自民党区議ら計11人が反対したものの、賛成が過半数を占め、採択されました。
 
 同性パートナー条例の可決は夕方のニュースでも一斉に報じられました。 
 この条例が区議会に提案されるきっかけになった(提案した長谷部区議の「green bird」に参加している)杉山文野さんや、ディズニーシーで結婚式を挙げた東小雪さん&増原裕子さんカップル、NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんらが「祝 同性パートナーシップ条例!」「THANK YOU, SHIBUYA!」と書かれたレインボーの横断幕を掲げ、詰めかけたメディア陣の取材に応じました。
 TBSの取材に対し、増原裕子さんは「感動して胸が熱くなりました。泣きました、途中で」と、東小雪さんは「どんな人も暮らしやすい社会になってほしい。この条例案はその大きな一歩だと思う」と、杉山文野さんは「僕なんかは元女子だが、戸籍上まだ女子で、見ても分からないと思うが、目に見えないだけでたくさんいるので、そういうところを可視化していく大きな一歩だったのではないか」と語っていました。
 
 また、Huffington Postでは、もっと詳細なコメントが紹介されていました。
「仲間たちに感謝します。これまで取り組んできたみなさんに、ありがとうの気持ちでいっぱいです。今回、この条例に賛同する署名も、1万人以上集まりました。一人ひとりの友だちの顔が浮かびます。今後は、この動きが全国に広がっていくことを願っています。先日、宝塚市長もLGBT支援の検討を表明されましたが、私は元宝塚ですし、市長にお会いしてお話させていただきたいと思います。私たちは2人とも外見が女性なので、なかなかパートナーとしても認めてもらえておらず、入院したときなど様々な問題が生じます。家族として認められるということは本当にうれしい。区役所側の手続きが整ったら、すぐにでも証明書を発行してもらいに行きます。異性であれ同性であれ、結婚して家族を持つということは変わりません。受け入れる社会の理解と、制度の課題がまだまだ残っているが、今後は同性のパートナーも結婚を選べるようになってほしいです」(東小雪さん)
「家族制度が根強く残る東アジアの国で、この条例が可決されたこと、これは国際ニュースだと思います。これにより実際に、区役所の窓口の人や、事業者として店舗などで当事者の人たちに対応する人が、LGBTについて理解することにつながります。2013年9月にLGBT支援宣言をした大阪市淀川区では、1年半の間、区の独自事業として取り組んできました。支援の宣言をしたことで、区の職員さんの意識が変わりました。当事者の存在が見えるようになって、LGBTがいることが当たり前になるんですね。淀川区では、成人式のパンフレットにも自然にLGBTの案内が入るようになっています。今回の条例により、LGBT当事者の見える化が進み、「どう困るのか」といった課題も見える化していくでしょう。虹色ダイバーシティにも、事業者からの問合せが増えています。渋谷区の議論は、LGBTの理解につながる波及効果があったと思います。条例は、最初は使い勝手が悪いかもしれないですが、これがきっかけになると思います」(「虹色ダイバーシティ」代表、村木真紀さん)
「まず、同性カップルのパートナーシップを認める行政条例ができたことによって、病院での診療や、住居の賃貸などで、異性のカップルと同等とまではいかなくとも、同じレベルのサービスを得られることがあります。また、あまり大きく報じられていませんが、LGBTを含むセクシュアルマイノリティについて知ろうという、渋谷区民の意識改革が行われたことも大きなポイントです。渋谷区が公式に条例として定めたことで、セクシュアルマイノリティの問題が公に存在していることが明らかになりました。さらに、世田谷区、横浜市、宝塚市など、渋谷区と同様にパートナーシップ制度の導入を検討している自治体が議論を加速させるきっかけになると思います。これまで日本ではパートナーシップどころか、セクシュアルマイノリティの問題は表立って議論されることはありませんでした。渋谷区の条例成立は、老若男女、そしてLGBTを問わず人権問題として理解と議論がが大きく広がっていくことを期待します。同性婚を認めるかどうかという議論は憲法の解釈をどうするかという問題にもなりますし、セクシュアルマイノリティを知り、どのように関わっていくかという意識が全国的に広がっていくようになればと願っています」(NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さん)

 Twitter上でもたくさんの方が条例案可決のニュースを歓ぶツイートをしていました(「涙が止まらない」とツイートしていた方がいましたが、同じ気持ちです。ここまで来るのに、どれだけたくさんの方たちの汗や涙が流れたことか…)
 条例の効力(実際に同性カップルが得られる権利)みたいなものは、もしかしたらごくわずかかもしれませんし、決してこれはゴールではありませんが(まだまだ地道な努力や長い時間が必要です)、この条例を提起し、成立までこぎつけたのがすべてストレート(アライ)の人たちであったということ、この渋谷区が条例案を発表したことでメディアがこぞって取り上げ(TVの討論番組でもフィーチャーされ)、すぐに世田谷区や横浜市も検討を始め、都知事や首相がコメントを出し(アンチな動きも起こり)、世論調査も行われ(賛成が上回りました)、といったかたちでにわかに世間の注目を集め、議論が起こったこと、また、初めて公的に同性愛者の権利が認められたということに、とてつもなく意義があると言えるのではないでしょうか。
 今日はスポーツジムのTVモニターや、電車で大勢が見ているスマホや、お茶の間や、至るところで同性パートナー条例成立のニュースが流れました。おそらく世間の大半の人たちはすでに「性的マイノリティとかLGBTと呼ばれる人の権利が公に認められた」ということを知っています。ぼくらはもう、差別されて当然な「趣味」の持ち主でもないし、できるだけバレないようにアンダーグラウンドで生きなければいけないわけでもないし、子どもに教えてはいけないような人でもなくなったのです。ストレートの人たちと同じように幸せに生きてよい、同じように尊重されるべき一市民だと宣言されたのです。今日はそういう記念日でもあります。
 


東京・渋谷区で同性パートナー条例成立、全国初(TBS Newsi)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2458501.html


全国初 同性カップルに「結婚相当」可決(日テレ News24)
http://www.news24.jp/articles/2015/03/31/07272061.html#


渋谷区 同性カップルに証明 条例成立(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010033821000.html


同性パートナー条例が成立 渋谷区議会で賛成多数(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040010_R30C15A3000000/


渋谷区同性カップル条例が成立 全国初、4月1日施行(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH3Z6RQGH3ZUTIL05G.html


渋谷区の同性パートナー条例成立 「全国に広がってほしい」LGBT活動家の東小雪さん(Huffington Post)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/31/shibuya-lgbt-voice_n_6974462.html

日本初、同性カップルに「結婚相当」認める-渋谷区で条例成立 (1)(Bloomberg)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NM2AAB6TTDS001.html

日本初、同性パートナー条例成立 東京・渋谷区(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3044147

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