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カンヌ国際映画祭で、女性どうしの恋を描いた作品『CAROL』のルーニー・マーラが女優賞を受賞

2015年05月26日

 第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の結果が発表され、『CAROL(原題)』でケイト・ブランシェットとともにメインキャストを務めたルーニー・マーラが女優賞を受賞しました。


 1952年のニューヨークを舞台にした『CAROL』は、『エデンより彼方に』で知られるトッド・ヘインズ(オープンリー・ゲイの方)の監督作。離婚訴訟中の裕福な女性キャロルと、ジャーナリストを志しながらデパートのおもちゃ売り場で働くテレーズによる女性どうしのラブストーリーで、現状に不安や孤独を抱いた2人の逃避行が描かれます。
 『CAROL』は5月17日(現地時間)に上映されましたが、終映後、スタンディングオベーションが6分以上続きました。場内の喝采に感極まったケイト・ブランシェットは涙ぐみ、ゲストが退場するまで拍手が鳴り止むことはありませんでした。

 この映画の原作は『太陽がいっぱい』で知られる作家パトリシア・ハイスミス(バイセクシュアル女性の方)の小説『Price of Salt』。60年前の発表当時は女性どうしの恋がセンセーショナルに受け止められましたが、公式会見でケイトは今も状況はさほど変わっていないと語りました。
「先週、私がバイセクシュアルだと報じられたけれど、私は『女性との関係は?』と聞かれたから、『女性とはいい関係をたくさん築いてきたわ。セクシュアルな面以外ではね』と答えたのに、たくさん関係を持った、と書かれてしまった。でも、今は2015年よ。もしそうだとしても、だからどうしたの、と思うわ。ただセクシュアリティはプライベートな問題のはずなのに、同性愛者はそれを話題にしないといけないような風潮がある。今はとても保守的な時代なんだと思うわ」
「1950年代は同性愛を題材にした小説がとても多く書かれていたけれど、私が調べた限りハッピーエンドはこの原作だけ。当時、同性愛者たちが、お互いをサポートするグループなど存在しなかった。孤独の極みにあったということが重要だわ。でも同性愛が今も違法な国がいくつもある。だからそのことには声を上げないといけない」
 
 現地の映画専門誌の星取り表では、『CAROL』がダントツでトップを走っていて、パルムドール予想だけではなく、ケイトが再びオスカーを獲るのでは?とまで騒がれていましたが、ルーニー・マーラだけが女優賞を受賞する結果となりました。ケイト・ブランシェットの受賞がなかったことについて聞かれた審査委員長のジョエル・コーエンは、1作品に賞は1つなど細かくルールがあり、受賞者を決める過程は「ある意味チェスのゲームのようだった」と語りました。すでにニューヨークに戻ったルーニーの代わりに賞を受け取ったトッド・ヘインズ監督は、ルーニーを讃えるとともに「ケイトが本作の演技で今後も称賛され続けることに疑いの余地はない。二人の女性が同作を素晴らしいものにしてくれた」と語りました。

 『CAROL』について海外メディアからも相次いで絶賛のコメントが寄せられています。
「CAROLは感情の奥にまで引き込まれる非常に美しいラブストーリーである。登場人物が内面に抱える影やニュアンスは、最上級の知的さと、息をのむような身のこなし、そして洗練されていながらも身近な制作手法によって見事に表現されている」(ヴァラエティ誌)
「ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの傑出した演技」(ハリウッド・レポーター誌)
「素晴らしすぎて、見終わった今でもトランス状態から抜け出せない」(★★★★★ガーディアン紙)
「水のしずくが次第に水かさを増していくように、物語が進むにつれて感情がこみ上げ、最後には溢れ出す、そんなラブストーリーだ。どこを切り取っても美しく、完璧に作り込まれており、2人の美しい女優たちが輝きを放っている」(The Playlist)
「ケイト・ブランシェットのキャリア史上最高の演技を引き出した、格別に美しい作品」(★★★★★テレグラフ紙)
 
 『エデンより彼方に』も本当にボロボロ泣ける名作でしたが、『CAROL』も期待できそうです。2016年初春、全国でロードショーが決定しています。楽しみですね。

 


パルムドールは仏映画『Dheepan』にすぐ決まった!コーエン兄弟ら審査員会見【第68回カンヌ国際映画祭】(シネマトゥデイ)
http://www.cinematoday.jp/page/N0073480

女優賞はルーニー・マーラ、女性同士の恋描く「CAROL」にカンヌもため息(映画ナタリー)
http://natalie.mu/eiga/news/148323

ケイト・ブランシェット×ルーニー・マーラ、美しき女同士の愛にカンヌが絶賛!(シネマトリビューン)
http://cinetri.jp/report/carol_cannes/

【カンヌ国際映画祭】パルムドール最有力!?『Carol』ケイト・ブランシェットが同性愛について熱弁(Cinemacafe.net)
http://www.cinemacafe.net/article/2015/05/20/31332.html


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