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昨年の新規HIV感染者数が発表されました

2015年05月29日

 4月に「東京都の昨年の新規HIV感染者数が発表され、20代で過去最多となりました」というニュースをお伝えしましたが、先ごろ、厚労省が昨年の新規HIV感染者数を発表し、新たにHIV感染がわかった人の数(エイズを発症した人を含む)が1546人と過去3番目に多い結果となり、そのうち20代が349人と過去最多を記録したことがわかりました。

 厚労省エイズ動向委員会の報告によると、2014年に報告された新規HIV感染者は1,091名、エイズ患者は455名であり、両者を合わせると1,546名で、過去3番目に多い結果となりました。これまでの累積感染者数(凝固因子製剤による感染例を除く)は24,000名に達しました。
 感染経路別に見ると、新規HIV感染者のうち、同性間の性的接触による感染者が789名(72.3%)で異性間の性的接触による感染者が179名(16.4%)でした(年齢が上がるに従い、異性間性的接触の割合が高くなる傾向が見られました)。男性同性間の性的接触による感染者数は、2007年以降、ほぼ横ばいの推移となっています(増加を食い止められているのは予防啓発の効果のおかげと言えるのではないでしょうか)。また、新規エイズ患者の感染経路は、同性間の性的接触による感染者が258名(56.7%)、異性間の性的接触による感染者が120名(26.4%)でした。
 地域別で見ると、新規HIV感染者は、東京都を含む関東・甲信越が53.3%、近畿が18.9%などとなっています。2010年以降、九州からの報告数が増加傾向にあり、2014年は初めて100名を超えたそうです。新規エイズ患者の分布はHIV感染者とほぼ同様です。
 年代別で見ると、新規HIV感染は20代〜30代に集中しており、今回12年ぶりに20代の合計(349名)が30代(347名)を上回りました。新規エイズ患者は30代、40代に多い傾向が続いています。厚労省エイズ動向委員会は「20代のHIV罹患率の高さと60歳以上のHIV感染者およびエイズ患者数の増加に対し早急な対策が必要であろう」としています。
 また、保健所などでのHIV検査の受検件数は145,048件(前年は136,400件)と前年から増加しており、相談件数も増加しています。「HIV感染者、エイズ患者の早期発見、早期治療のために検査の必要性をこれまで以上に広報することが求められる。また、陽性者への支援や医療・福祉等の整備もよりいっそう進める必要がある」
 報告資料はこう結ばれています。
「国においては、HIV感染の現状と正確な情報を広く国民に向けて広報し、また各自治体にあっては地域の発生状況に基づいたHIV感染対策に取り組むことが求められる。特に、近年増加傾向が見られる九州ブロックの特に沖縄県においては、積極的な自治体の関与が必要と言える。感染者の過半数が男性同性間性的接触によること、ならびに男性異性間性的接触による感染者にエイズ発症割合が高い傾向にあることをふまえ、外国国籍の感染者も含め、エイズ予防指針に基づき、予防啓発・早期発見・早期治療に向けた対策、相談等の支援などの対策を進める必要がある」
(詳しくはこちら

 厚労省エイズ動向委員会の岩本愛吉委員長は「感染予防の情報を理解しないまま、性的接触を持つ人が増えているのではないか。身近にHIV感染の可能性があることを、10代のうちから啓発することが大事だ」と語っています。また、「各自治体においては、引き続き、エイズ予防指針を踏まえ、個別施策層(特にMSM=ゲイ・バイセクシュアル男性)を中心に、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業に取り組むとともに、国民のHIV/エイズに対する関心を高め、受検行動に結びつけるよう、普及啓発に努めることが重要である」ともコメントされています。


HIV感染、20代が最多 1091人中349人(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH5W6D49H5WULBJ01J.html

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