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名古屋にセクシュアルマイノリティのためのグループホームがオープンしました

2015年12月30日

 精神疾患などを抱えるセクシュアルマイノリティのためのグループホーム「虹望寮」が名古屋市守山区にオープンしました。全国でも珍しいそうです。周囲の理解を得られずうつ病などで苦しむ人が安心して暮らせる場に、と当事者らが中心になって立ち上げたものです。
 
 「虹望寮」は、セクシュアルマイノリティをサポートする名古屋市の一般社団法人「虹望会」が今年8月にアパートの4部屋、11月に近くの別のアパートの4部屋を確保して、障害者総合支援法に基づく共同生活援助事業所として運営されることになったものです。現在はうつ病やパニック障害などの6人が入居しているそうです。

 アパートの1室に設けた事務所にスタッフが交代で24時間常駐し、朝と夕方には入居者の部屋を訪問。買い物や掃除を手伝ったり、履歴書の書き方を指導したりして社会復帰を支えます。

 虹望会の6人のスタッフのうち、4人はセクシュアルマイノリティの方だそうです。管理者の金丸ユウジさんは女性として生まれ、性別適合手術を受けて今は男性として生きる方です。セクシュアルマイノリティは精神疾患の罹患率が高いと言われていますが、3月に知人が自ら命を絶ったことで、ホームの必要性を痛感したそうです。

 精神保健福祉士の常松巡来(めぐる)さんは「不安で眠れない」といった相談にも応じています。「性同一性障害の人は入院先ですら、病室が男性用なのか女性用なのか、という不安がある。そういう悩みのない場にしたい」「お願いだから死なないで。あなたは一人じゃない、と伝えたい」と語ります。

 不眠で昼夜逆転の生活になっていた入居者3人が生活のリズムを取り戻し、仕事を始めました。寮の事務長、速見早紀さんは「いちばんの変化は自己肯定感の高まり」だと語ります。「親から『家の恥。できそこない』などと言われ、『自分はだめな人間』と思い込んでしまう人は多い。その環境から離れて暮らすことで自分を取り戻せる」

 虹望会では来年、就労支援事業としてカフェを開く予定もあるそうです。
 虹望寮は、「うつ」などで6ヵ月以上の受診歴のある方や発達障害の方などは福祉手帳がなくても入居できるそうです。家賃は水道光熱費込みで49,000円と決して高額ではなく、さらに公的家賃補助として10,000円受け取ることができるそうです(所得制限あり)
 
 身近な友人を自死で亡くした経験のある方、うつやパニック障害を患った経験のある方は決して少なくないと思いますが(筆者もその一人です)、孤立しがちなうつの当事者が同じセクシュアルマイノリティの方の支援を受けられるこのような施設は、本当に意味のあるものと言えます。今はメンタルヘルスが良好な方も、こうした施設(セクシュアルマイノリティのセーフティネット)が存在するということを知っているだけで、安心感を得られるはずです。虹望寮というグループホームが誕生したこと、その意義は計り知れないものがあります。
 
 

性的少数者が支え合う家 名古屋にグループホーム(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASHDT6S4QHDTOIPE02Z.html

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