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台湾で結婚の平等を求める音楽イベントが開催され、25万人が参加

2016年12月12日

 台湾の国会でいよいよ、同性婚法案(民法改正案)の審議が始まっています。台湾の立法院(国会)は三読会制で、11月8日に第一読会で可決され、17日に第二読会(司法法制委員会)の審議が始まりました(法案が成立するためには、第三読会で承認される必要があります)。24日に開かれた公聴会では、同性のパートナーを持つ人やLGBTの子を持つ親らが合法化を訴え、会場の外でもLGBT権利擁護団体らが集会を開き、後押ししました。ここには、人気アイドルのAARONも登場し、「Legalize Gay Marriage」(同性婚を合法化せよ)と書かれたシールを腕に貼り、性的少数者への平等な権利を訴えました。

 同性愛に寛容で(台北市政府はパレードを支援しつつ、性的少数者への理解を深める教育も実施)、同性婚を支持する民進党の蔡英文氏が総統に就任したことで同性婚の実現は固いと見られていましたが、ここにきて、反対派の活動が強まっています。12月3日には台北、台中、高雄で同性婚合法化に反対するデモが行われ、18万人近くの人が参加したそうです。主に「伝統的な家族」を重視する宗教保守派の人たちが「家庭の形が破壊される」などとして反対し、学校教育で性的少数者に触れていることに対しても「学校が同性愛者を養成している」と批判しているそうです。
 台灣伴侶權益推動聯盟の理事長、許秀雯氏は「合法化が現実に見えてきたことで、隠れていた反対論が表に出てきた」と分析します。民放の11月の世論調査では、同性婚合法化に反対する人は全体の43%で、賛成(42%)をわずかに上回ったそうです。
 
 同性婚を認める法案の内容も焦点となります。今回の民法改正案は、「婚姻は男女の当事者自らが決める」とする条文の「男女」を「双方」に変更し、性の区別を条文からなくすことで同性婚ができるようにするものです。これに対し、法学者から「(男女間を前提とした)結婚は文化であり、民法で定義を変えることが許されるのか」といった声も上がり、台湾の法務部(法務省)は、民法とは別に特別法を作り、同性のパートナーを持つ人々の権利を保障する法案を準備しているといいます(その場合、同性婚ではなく、同性パートナーシップ法ということになるのでしょう)。民法改正案に比べ、反対派にも受け入れられやすいとみられている。司法法制委員会は公聴会での意見を踏まえて草案を練り直し、立法院の本会議(第三読会)にかけます。今月26日に本会議が行われると見られています。
 同性婚合法化を推進する東華大学講師の黄盈豪氏は「台湾の基本的人権の重視と多元化社会を象徴するものだ」と意義を強調しています。
 
 そんななか、世界人権デーにあたる12月10日、先日のパレードの会場である総統府前広場(凱達格蘭大道)で、結婚の平等を求める団体による音楽イベントが開催され、参加者は主催者発表で25万人にも上りました(台湾のLGBT関連イベントとしては過去最大。もちろん、アジアでも最大です)
 イベントには、たくさんのアーティストが出演したほか、チャン・ツィイーやファン・ビンビンといった中国の人気タレントたちもビデオメッセージを寄せるなどして支持を表明しました。チャン・ツィイーはビデオメッセージの中で「誰にでも家族を持つ権利がある」と、ファン・ビンビンは「人は誰でも幸せを求める権利がある。愛の力は最も偉大なもの」と語っています。
 また、民進党の徐佳青副秘書長(副幹事長)も登場し、「民進党が同性婚を支持する立場は変わらない」とエールを送りました。改正案を提出した同党の尤美女氏や野党・時代力量の黄国昌氏、林昶佐氏ら賛成派の立法委員(国会議員)が駆けつけたほか、グーグル台湾の代表など企業関係者も支持を表明しました。
 このイベントの模様を、たくさんの方たちがインスタグラムにアップしていて、規模の大きさや臨場感、結婚の平等を求める方たちの思いが伝わってきます。

 総統府の黄重諺報道官は10日、蔡英文総統は全ての人々が婚姻について平等な権利を持つことを支持している、「われわれはLGBTにも結婚する権利があると認識している」とコメントしました。黄報道官は、すでに立法院で討論が進んでいると強調。社会で多くの対話がなされ、寛容になることで対立や非難を少なくし、LGBTの人権保障に関する制度を完全なものにできれば、としています。
 この日、総統府にはレインボーカラーで「♀♀=♀♂=♂♂」というメッセージがライティング(プロジェクション)されました。

 また、台中市ではこの日、同性婚への支持を表明するため、市が新庁舎など3ヶ所でレインボーフラッグを掲げました。台中市では昨年10月から同性カップルの関係を認めるパートナー登録の受付が始まっています。
 
 それから、同日、『海角七号 君想う、国境の南』で台湾映画としては歴代最高ヒットを記録している(日本でも話題になった『KANO 1931海の向こうの甲子園』の総合プロデューサーも務めている)ウェイ・ダーション監督が、「すでに存在する事実を否定するのは理解できない」と語り、同性婚合法化への支持を明らかにしました。 
 来月26日から台湾で公開される監督の最新作『52Hz I love you』では、女優のサンドリーナ・ピンナとリー・チェンナーが同性カップルを演じ、最新の予告編映像には結婚式のシーンも登場しているそうです。監督は映画に登場する同性カップルについて「ごく普通の、どこにでもいる人として描いた。二人の愛を特別なものだとは思っていない。同性愛は世の中に普通にあるもので、自分にとってはごく自然なこと。反対理由を捜すのではなく、受け入れる理由を考えるべきだ」と語っています。 
 
 
 


台湾で18万人規模のデモ 同性婚の合法化に反対し支持派と衝突も(livedoor)
http://news.livedoor.com/article/detail/12373115/

台湾、同性婚合法化に試練(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO10150900R01C16A2000000/

人気アイドルのAARONも支持活動に登場!「同性婚の合法化」本格審議に声を上げる―台湾(レコードチャイナ)
http://www.recordchina.co.jp/a156284.html

総統府前で同性婚支持の音楽イベント 20万人参加か/台湾(フォーカス台湾)
http://www.excite.co.jp/News/world_g/20161210/Jpcna_CNA_20161210_201612100005.html

同性婚の合法化に中国芸能人も注目!チャン・ツィイーやファン・ビンビンが支持を表明―台湾(レコードチャイナ)
http://www.recordchina.co.jp/a157468.html

蔡総統、「同性婚」への支持表明 社会の寛容さに期待/台湾(フォーカス台湾)
http://japan.cna.com.tw/search/201612110005.aspx?q=%E5%90%8C%E6%80%A7%E5%A9%9A

台湾の蔡英文氏が同性婚への支持を表明 「我々にも平等な権利がある」(livedoor)
http://news.livedoor.com/article/detail/12402606/

台湾最高ヒット作のウェイ・ダーション監督、「すでに存在する事実」同性婚合法化を強く支持—台湾(Biglobe)
https://news.biglobe.ne.jp/international/1212/rec_161212_6795011872.html

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