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「SUUMO」で同性カップル入居可能物件が検索できるようになります

2017年02月22日

 大手住宅情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーが、夏頃をめどに、同性カップルも入居できる物件を検索できるサービスを導入するそうです。
 
 リクルート住まいカンパニーは、「LGBTの人たちが、賃貸住宅でパートナーとの同居に制約を感じたり、入居そのものを断られたりと、物件探しに苦労している現状がある。理解のあるオーナーの物件を紹介し、物件探しを支援したい」として、「SUUMO」で扱う賃貸住宅について、同性カップルの入居が可能だとうたう物件を登録する取組みを来月から始め、部屋の方角や駐車場の有無といった情報と同じように検索できるサービスを夏頃をめどに導入する予定だそうです。(大家さんがLGBTに偏見を持っているがゆえにこれまで入居を断られるケースがあったため、理解ある大家さんの物件をそれとわかるようにしてゲイカップルやレズビアンカップルを支援したりという今回の趣旨からいうと、検索して「同性カップルの入居が可能」であれば、当然同性の友人どうしのルームシェアも可能でしょうから、申し込みに際して同性カップルと申告する必要はないと思います)

 NHKのニュースでは、同性カップルが賃貸住宅への入居を拒否されるケースが後を絶たないとして、その実態を取材し、課題を探っていました。
 東京・練馬区に住む鈴木雄一朗さんは、3年前から賃貸マンションで男性のパートナーと同居しています。一緒に過ごす時間を作り、生活費も節約したいと考えて同居を決意した二人。しかし、物件を見つけるまでには、思いもかけない苦労があったそうです。
 男性二人で入居したいと不動産会社に申し出たところ、「家族ではない」として、相次いで断られたのです。「部屋を汚されそう」とか「周囲の住民とトラブルになるのではないか」といった、いわれのない理由も挙げられ、下見すらさせてもらえませんでした。不動産会社を回っては断られる状況が続き、一時は同居をあきらめかけたといいます。入居を承諾してくれた今のマンションを見つけるまで半年かかりました。
 鈴木さんは、物件を貸す側に、同性愛者に対する根強い偏見があったと感じています。「何度も断られていらだちを感じましたし、同時に『これが現実なんだ』と痛感させられました。『男性二人だから入居を認められない』と判断するのではなく、私たちがまっとうに生活していることを知った上で、判断してほしいのです」と訴えています。

 こうした偏見の根強さは、賃貸住宅を貸す側の意識調査からも見えてきます。
 住宅情報サイトの運営会社が、物件のオーナーを対象にした意識調査で、同性カップルの入居をどう感じるか尋ねたところ、「入居してほしくない」「入居許可をためらう」といった否定的な回答が、ゲイカップルで47%、レズビアンカップルで38%にも上りました。その理由を自由回答で尋ねたところ「トラブルや騒音が心配」、「周囲の目が気になる」、「接し方がわからない」などといった回答がありました。

 LGBTの現状に詳しい早稲田大学法学部の棚村政行教授は、鈴木さんのように入居を拒否されるケースは、氷山の一角にすぎないと指摘します。そのうえで、棚村教授は「住まいを確保できないのは、生活の基本が脅かされているということで、当事者にとっては死活問題だと思う」と語っています。「LGBTの人たちに、入居拒否などの差別的な対応をする業者に対しては、行政が指導できると考えられる。また行政は、賃貸住宅のオーナーや不動産会社などが、LGBTの人たちに対する差別や偏見をなくし理解を深めるよう、啓発を進める必要がある」

 同性カップルの住まいの確保をなんとかして支援できないかということで、近年、行政や企業で様々な取組みが始まっています。
 2013年、LGBTフレンドリーな企業「リブスター不動産」が運営する「LGBT不動産」が立ち上げられました。
 同年、NPO法人グッド・エイジング・エールズと株式会社シェア・デザインが連携し、日本初のLGBTフレンドリーなシェアハウス「カラフルハウス」が杉並区に誕生しました。
 2014年、LGBTフレンドリーな不動産仲介会社「メディレクト」(母体は『G-men』を発行する古川書房)が立ち上げられました(現在は廃業しているようです)
 2015年の渋谷区のパートナーシップ条例は、証明書を持った同性カップルを結婚した夫婦と同等に扱うよう、区内の不動産会社に求めています。
 世田谷区の不動産コンサルタント(おそらく「IRIS」)では、賃貸住宅を貸す側の偏見や不安をなくそうという取組みを進めています。物件を探している同性カップルと面談し、勤務先や収入に加えて、ふだんの生活ぶりや人柄などに至るまで、きめ細かく聴き取り、その内容を紹介状にまとめ、物件の管理会社やオーナーに渡しています。当初は入居を拒否していた相手が、紹介状を読み、受け入れたケースも出ているといいます。同社の須藤啓光代表は「LGBTの人たちに対する漠然としたマイナスイメージを払拭できれば物件を貸してもらえるのではないか。LGBTの人たちのことを知る機会が増えれば、オーナー側の意識も変わってくると思う」と語っています。
 また、最近、世田谷区が同性カップルも区営住宅に入居できるよう条例を改正する方向で調整を進めているというニュースがありました。
 今回のリクルート住まいカンパニーの取組みは、渋谷区や世田谷区などに限らず、広い地域で同性カップルの入居を支援できるもので、画期的と言えるでしょう。
 
 リクルート住まいカンパニーはダイバーシティ推進施策の一環として、2015年から性的マイノリティへの理解を呼びかける研修を実施しています。また、同年、企業向けのLGBTセミナーイベント「work with Pride」に協賛(会場を提供)しています。
 同社のLGBT施策において中心的な活躍をしている(研修の講師なども務めている)田辺貴久さんは、今回の検索サービスについて「LGBTに対する差別や偏見がないと表明している物件の情報を、まとめて閲覧できるようになります。これを安心材料にして、部屋探しをしてほしい」と語っています。





LGBTの人たちが入居可能 物件検索サービス開始へ(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170215/k10010876841000.html

News Up LGBTの人たち 住まいの確保は?(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170221/k10010884321000.html

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