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国会議員にLGBTへの差別をなくすための法律の制定を求める「レインボー国会」に約300名が集まりました

2017年03月10日

 3月9日、LGBTへの差別をなくし、世間の人たちの理解を深め、より公正で平等な社会をつくるための法制定を国会議員に求める「レインボー国会」という院内集会が衆議院第一議員会館で開催され、平日の昼間にもかかわらず300名もの参加者が集まり、大会議室は熱気に包まれました。与野党の国会議員による超党派の「LGBT議連」のメンバーら12人のほか、来賓として三枝成彰さん、勝間和代さん、経団連や国連の方らが挨拶し、数名のLGBTからの訴えが行われ、最後に法律の研究者の方の話で締めくくられました(本当は質疑応答も予定されていましたが、時間がなくなり、行われなかったそうです)

 BuzzFeedの記事で、LGBTからの訴えが詳しくレポートされていましたので、ご紹介します。
 トランスジェンダーの歌手・麻倉ケイトさんは、「幼いころに、大きくなったらお母さんのようになれると思っていました。でも、小学校に入ってから男女に分けられ、違和感に直面しました。男性の身体に閉じ込められて、ガーンとショックを受けました。『なんで私はスカートを履いたらあかんの』と言うと、周りに怒られたり、からかわれたりして、自分の心を隠すようになりました。トイレ問題もありました。先生に心ないことを言われて、すごく落ち込んで、学校を休むような子どもでした。大人になってからもカミングアウトできなくて悩んでいて、自傷行為を繰り返したこともあります。今はいい理解者に出会って、やっとカミングアウトできました。今は前向きに生きています。コンサートで訪れた時に、ラオスの教育者が『才能には性別は関係ない』と言っていました。日本もそういうふうになってほしいと思います」と語りました。
教科書にLGBTをネットワーク」共同代表の室井舞花さんは、「今年度、学生指導要領が改定されます。多様な性を生きる子どもたちに配慮した内容を入れてほしいと活動しています。13歳の時に初めて、女の子に恋をしました。その時、教科書に『誰もが異性に興味を持つ、関心を持つ』と書いてあるのを見て、自分は間違っているんだと印象づけられ、ショックを受けました。それから十数年経っていますが、教科書にはまだ同じ内容が書かれています。そして、自尊心を傷つけられ、自分が間違っていると思う子どもたちが今も教室の中にいます。それに堪えられないと思って、キャンペーンを立ち上げています。すべての多様な性を生きる子どもたちだけではなくて、さまざまな立場の子どもたちが、自分は自分のままでいいと、安心して育っていくことができる環境を求めて活動していきたいと思っています」と語りました。
 映画『Coming Out Story 〜カミング アウト ストーリー〜』でもフィーチャーされたトランスジェンダーの高校教師・土肥いつきさんは、「京都で10年間、トランスジェンダーの子どもたちとの交流会をやっていました。おそらく日本でいちばんトランスジェンダーの子どもたちと接している当事者です。トランスボーイ、トランスガールが何十人も集まっています。今日は、性同一性障害特例法の変えてほしいと思って来ました。子どもたちに、将来、性別変更をしたかったら、君は実子をつくれない。仮に実子がいたら、子どもが20歳になるまで性別変更ができないんだよ、とは言えないです。将来の夢は何?という質問に、手術という答えは聞きたくないです。あまりにも現在の特例法だと、子どもたちの人生の選択肢があまりにも狭すぎる。そのことを理解していただいて、ぜひ子どもたちのために特例法の『子なし要件』と『手術要件』を緩和してください」と語りました。
 トランスジェンダーのライター・畑野とまとさんは、「今の性同一性障害特例法には、子なし要件、手術要件、離婚要件という重大な人権違反になりうる項目が入っています。性別変更ができる法律のある国で、子なし要件があるのは日本だけです。手術要件を撤廃した国は、ヨーロッパでは18カ国、南米では3カ国、アメリカでは3分の1の州、カナダのほとんどの州、アフリカで2カ国、アジア・オセアニアで7カ国に及んでいます。日本はものすごく遅れた状況です。離婚要件についても、欧米ではほとんど撤廃されています。日本がもし世界に誇れる素晴らしい国だというなら、立ち遅れている人権課題についてご一考いただきたい」と語りました。
 ドイツ証券・共同株式営業部長の柳沢正和さん(グッド・エイジング・エールズでの活躍などでも有名です)は、「企業の管理職、そしてゲイ当事者としてお話しさせてください。企業現場で、子どもをもっているレズビアンカップル、違う性のトイレを使いたいと思っているトランスジェンダーたちが、どんどん顕在化する中で、法整備がどうしても遅れてしまっているのが現状ではないでしょうか。LGBTに対する国レベルの考え方が出てこない中で、私たち企業の現場は混乱しています。日本社会が少しでも働きやすい社会になることを願っています」と語りました。

 最後の研究者の方のお話は、とても意義あるものだったようですが、いかんせん時間が押していたため、端折った形で行われたそうです。参加者の方からのレポート(tweet)によると、このようなお話だったようです。
 日本大学の鈴木秀洋准教授は、LGBTに関する法整備についてお話しました。当事者はもちろん、その家族・友人も悩みを抱えているし、児童虐待やいじめもある、云々。割愛された原稿の「最後に」の部分にとてもいいことが書いてあったそうです(画像右上)
 独立行政法人労働政策研修・研究機構の内藤忍さんは、「理解促進法じゃだめ!」「差別禁止法じゃないと効力が無い!」と強調していたそうです。
 
 それから、今回のレインボー国会では「SOGIハラ(ソジハラ)」という新しい言葉が提唱されたそうです。
 一昨年頃から「LGBT」に代わる言葉として、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の英語の頭文字をとった「SOGI(ソジ)」という言葉が使われはじめています。「SOGIハラ」は、このSOGIに関連する差別やいじめ、いやがらせを指します。望まない性別での生活を強いられたり、学校や職場などで社会的な不利益を被ったりすること全般を示す言葉だそうです。

 今回のレインボー国会を主催したのは、LGBT法連合会やアムネスティ日本、研究者の方、松中権さんらによる実行委員会です。松中権さんは昨年9月、一橋大学ロースクールで起きたゲイの方の自殺の報道を受けて、「もしかしたら、6階のベランダに放心状態で手をかけていたのは、自分だったかもしれない…」と思い、学校や職場でLGBTに対する偏見や嘲笑、いじめ、暴力が蔓延している現状をなんとかして変えたいという思いを強くし、「世界に誇れる日本へ!LGBTへの差別をなくして、「ありのままの自分」で生きやすい社会を実現する、法律をつくってほしい!」という署名キャンペーンを始めました。そして、本気で国会議員の方たちに働きかけを行うため、研究者や法律家、人権団体の方などとともに実行委員会を立ち上げ、昨年11月に最初の院内集会を開催しました。この時は、松中さん、増原裕子さん&東小雪さん、杉山文野さん、村木真紀さんらが訴えを行いました。今回のレインボー国会は、もっとたくさんの参加者を得て、いろんなLGBTの方の訴えや研究者の意見も伝え、著名人なども招き、議連の方たちに熱い思いを届けるイベントとして開催されたものと思います(大会議室を埋め尽くす300名もの方たちの熱気や、著名人や権威ある方の挨拶など、通常のロビーイングでは実現できない、イベントだからこその効果があったと思います)
 院内集会はまた今後も続けて開催される予定だそうです。
 
 ちょっと前までは、東京のパレードでずらりと有名企業のブースが並ぶとか、渋谷区や世田谷区や那覇市や札幌市で同性パートナーシップ証明制度が実現することなんて、誰も予想してなかったと思います。しかるべき手段で働きかけを行っていけば、行政も、企業も動くのです。政治家だって例外ではありません(性同一性障がい特例法も、上川さんらが国会議員に働きかけて実現したものです)。LGBT差別禁止法の実現も、決して非現実的なものではありません(「Yes, we can」です)。後世から見たら、僕らは今、ひとつの重要な「初めて」が実現する(日本で初めて法律としてゲイが認められる日が来る)、その歴史的な転換点に立ち会っているのではないでしょうか。そういう意味でも、都合が合う方はぜひ、次回のレインボー国会に参加してみてはいかがでしょうか。
 

「LGBTへの差別なくして」新しい法律を求める当事者たち 切実な叫び(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/kazukiwatanabe/20170309?utm_term=.bmV1e0ldx#.tePyl3k6D

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