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聴覚障害を持つ子どもにLGBTへの理解を深めてもらうためのDVDが制作されています

2017年08月01日

 ろう・難聴など聴覚障害を持つLGBT(性的マイノリティ)の方たちの生き方を聴覚障害の子どもに伝えるためのDVD『11歳の君へ~いろんなカタチの好き~』の制作が進んでいます。

 企画したのは、自身も聴覚障害を持つ映画監督の今村彩子さん。今村さんは生まれつき耳が聞こえず、テレビ番組を楽しむことができませんでしたが、お父さんがビデオレンタル店で字幕がついている洋画を借りてくれて、初めて『E.T.』を観て感動し、「大人になったら多くの人に元気や勇気を与えるような映画を作りたい」という夢を抱き、19歳の時にアメリカに留学し、映像制作を学びました。「聞こえない人のことを一般の人たちに知ってもらいたい」と20歳の時から、ろう・難聴者の学校生活や家族、職場などのドキュメンタリー映画を撮り続け、これまでに27本の作品を制作し、全国各地で映画の上映と講演をしてきました。昨年の秋、友人にゲイであるとカミングアウトを受けたことをきっかけに「LGBT×ろう・難聴」について考えるようになり、『11歳の君へ~いろんなカタチの好き~』の制作を思い立ったそうです。
 
 「耳が聞こえないことは、車いすや白杖の方と違って、見ただけではわかりません。また、LGBTであることも目に見えません。耳が聞こえないLGBTの方は、抱える悩みも多く、誰かに相談したくてもLGBTに関する知識や理解のある人が少ないため、アドバイスを得ることが難しいという現状があります。また、LGBTのコミュニティに参加したくても、コミュニケーションの壁が立ちはだかります。その解決方法のひとつとして手話通訳を頼みたくても、自分が当事者であることが通訳者にわかってしまうため、ひとりで悩みを抱えてしまうことが多いのです」と今村さんは語ります。

 「聴覚障害・同性愛・HIV患者の男性「居場所を」」(朝日新聞大阪)は、二重、三重のマイノリティ性によって居場所を見つけづらい方がいるということを切実に物語る記事ですが、その中で、ろうLGBT支援団体「Deaf-LGBT-Center」が製作した「ろうLGBTサポートブック」や当事者への取材に基づき、聴覚障害を持つLGBTの方が困ることとして、以下のことが挙げられています。
・手話の使える性的少数者のサークルや医療・教育・法律などの現場が少なく、専門性の高い相談をしづらい
・聴覚障害者や手話通訳者の間で自分のセクシュアリティを知られたくないのに広まる恐れがある
・性的指向や性自認に関する差別的な表現を聴覚障害者から手話でされたり、健聴者から陰口を言われたりする
 LGBTの中で手話が使える人が増えて、LGBTろう者がコミュニティにとけこめるようになること。また、聴覚障害を持つ方たち(ろう・難聴者、聞こえない人)の間でLGBTへの理解が深まり、支援者が増えること。どちらもとても大切だと言えそうです。
 今回の今村さんのDVDは、後者への働きかけを目的としたものです。

 DVDは二部構成となっており、第一部では、ろうのレズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、5名の方の学校生活や家庭、職場についてのインタビューと再現ドラマが、第二部では、ろう学校で教員をしているオープンリー・ゲイの前田健成さんがナビゲーターを務め、LGBTの知識を手話で学べる映像が収録されています。
 第一部に登場する手話講師の菊川れんさんはMtFトランスジェンダーの方で、24歳の時、聴覚障害者で男性から女性になったアメリカ人の方に出会い、自分の気持ちに正直に、女性として生きることを決意したそうです。れんさんは「必ず目標となる人がいる。自分の思うままの生き方をすればいい」と語ります。
 
 このDVD『11歳の君へ~いろんなカタチの好き~』の制作費に充てるため、クラウドファンディング(インターネット上で資金を募る)が展開されていますが、多様な自分と性、そして、恋愛の形があるということを多くの方に知ってもらうため、金額をワンコイン(500円)に設定し、応援を500人以上の方からいただくことを目標としています(すでに達成されていますが、1000人に再設定されています)
「LGBTと聞こえないことについて、周囲の人が情報や知識を得ることで、当事者の気持ちが軽くなる部分もあります。ろう・難聴の子どもたちにもLGBTの子はいます。今回のプロジェクトを通して500人以上の方から応援を集められたら、それだけたくさん応援してくれる人がいると伝えられます。金額よりも人数を集めることの方がハードルが高いと感じていますが、一人の500歩よりも500人の一歩が社会を変える力を秘めていると思います」
 
「共感した」「応援したい」「力になりたい」と思ってくださったら、ぜひ、ワンコインでご支援していただき、メッセージをお送りください。

ろう・難聴 × LGBT の子どもたちに、500人のエールを届けたい!


  

「多様な生き方、いいんだよ」聴覚障害の子ども向け…LGBT紹介DVD制作(読売新聞)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170815-OYTET50022/

聴覚障害×LGBTテーマにDVD制作中 名古屋の映画監督(中日新聞)
http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=479466&comment_sub_id=0&category_id=113&from=news&category_list=113



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