g-lad xx

NEWS

【追悼】米同性婚実現のヒーロー、イーディス・ウィンザー

2017年09月15日

9月12日、アメリカで同性婚(結婚の平等)の実現のために闘ったレズビアン女性、イーディス・ウィンザーがマンハッタンの病院で亡くなりました。88歳でした。妻のジュディス・ケイセン・ウィンザーと担当弁護士が発表しました。

 イーディス・ウィンザーは、前妻のシーア・スパイヤーが亡くなった際に、連邦遺産税として36万3053ドル(約4000万円)の支払いを求められたため、米国政府を相手取った訴訟を起こしました。二人は44年間連れ添っており、2007年にカナダで結婚もしていました。彼女は、婚姻は男女間のものと定義した連邦法「結婚防衛法(DOMA)」の条項により、婚姻関係にある人が受けられる税控除を自身は受けられず、違憲だと訴えました。
 2013年6月、連邦最高裁は彼女の訴えを認める判決を下しました。イーディスはこの歴史的勝訴を受け、「私たちは法廷に求めたもの、すべてに勝訴しました。この出来事は、不名誉の終わりを意味し、さらに新しいスタートでもあります。同性愛者は、さらなるレベルの尊厳を得たのです」と語りました。
 そして、この時の判決を踏まえ、2015年、連邦最高裁が同性婚を合憲とする判決を下したのです。イーディスの勇気ある闘いが、アメリカ全土での結婚の平等の実現に道を開きました。
 
 ジュディス・ケイセン・ウィンザーは「世界は自由、正義、平等を求めて戦う小さくとも不屈の戦士を失った」と語りました。「イーディは私の人生の光だった。彼女はLGBTQの光であり続けるでしょう。彼女はLGBTQコミュニティを愛し、彼らも彼女を愛していました」 
 
 オバマ前大統領は声明で「平等に向けての米国の長い旅は、正しいことを堂々と述べる強い意志を持った静かなヒーローたちによる、数えきれない小さな行動に導かれた」とし、数日前にイーディスと会い、彼女の行動が米国にもたらしたものの重要性について語ったと明らかにしました。「イーディほど小柄な人はあまりいない。そしてアメリカにこれほど大きな変革をもたらした人も少ない」
 また、ビル・クリントン元大統領は「自分の権利を主張しながら、イーディは何百万もの米国人と彼らの権利をも擁護した」とツイートしました。
 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事も「ウィンザーはニューヨークの精神を体現していた。多くの人が直面する問題を取り除くために献身的に活動した」と追悼のコメントを発表しました。
 ニューヨークのビル・デブラシオ市長もツイッターに「倫理観にガツンと衝撃を与えた」と投稿し、彼女の貢献を称賛しました。

 イーディス・シュレインは1929年、フィラデルフィアでユダヤ系ロシア人移民の家庭に生まれました。テンプル大学で勉強し、1950年に卒業した後、きょうだいの友人であるソウル・ウィンザーと結婚。夫婦は1年も経たないうちに離婚し、イーディスはニューヨークへ。ニューヨークでは、コンピューター・プログラマーとしてIBMで働きました。そして1965年、長年のパートナーとなるシーア・スパイヤーと出会います。まだ同性愛が「犯罪」「精神病」として扱われていた時代で、周囲に打ち明けられないまま、事実上の夫婦として生活していました。その後、二人はゲイ&レズビアンの権利を擁護する団体に入り、数多くの行進やパレードに参加しました。シーア・スパイヤーは2009年、心臓病の合併症で亡くなり、その死をきっかけに米政府と法廷で闘うことになりました。
 2013年6月26日に「結婚防衛法(DOMA)」を撤廃する最高裁判決が下され、その4日後に行われたニューヨーク・プライドは祝賀ムードで盛り上がり、イーディスを讃えるプラカードも掲げられました。イーディスはオープンカーに乗ってパレードを行進し、沿道の喝采を浴びました。





米同性婚合法化に道、E・ウィンザーさん死去 オバマ氏も哀悼(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/e-windsor-idJPKCN1BO0FJ

ゲイ権利の先駆者イーディ・ウィンザーさん死去(BBC)
http://www.bbc.com/japanese/41253293

イーディス・ウィンザーさん死去 同性愛者の未来変える(DAILY SUN)
https://www.dailysunny.com/2017/09/13/news0913-7/

同性愛者たちの「ヒーロー」、イーディス・ウィンザーが88歳で死去(FRONT ROW)
http://front-row.jp/_ct/17116600


INDEX

SCHEDULE