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日本人の同性パートナーと20年以上連れ添ったにもかかわらず国外への退去を命じられた台湾籍のゲイの方が、男女の事実婚カップルと同様の特例許可を求めて訴訟を起こしたことに関連し、同性国際カップルの在留資格をめぐるシンポジウムが開催されます

2017年11月14日

 今年3月、日本人の同性パートナーと20年以上連れ添ったにもかかわらず国外への退去を命じられた台湾籍のゲイの方が、性的指向に基づく差別で憲法が保障する「法の下の平等」に反するとして国に退去強制処分の取消しなどを求める訴訟を起こすことが報じられました。
 この方は、関東地方に住む40代の男性で、1992年に留学の在留資格で来日し、その後も短期滞在のビザで2回入国し、日本滞在中に現在のパートナーと知り合い、1994年から同居しています。その翌年、HIVへの感染がわかり、パートナーの励ましのもとで治療を続けてきた一方、パートナーが抑うつ的になって働けなかった時期は彼が家計を支えるなど、お互いに精神的な支柱となってきたといいます。
 彼はビザが切れた1994年から不法滞在状態でしたが、同性愛に理解のない母国の家族とも疎遠で、日本で息を潜めるように暮らし続けていました。2013年になって、HIV陽性者を支援する団体の代表を介して性的マイノリティの人権問題に取り組む弁護士とつながり、不法入国や不法滞在でも特別の事情があれば認められる「在留特別許可」を求める方向で相談していました。
 しかし、入国管理局への出頭を準備していた昨年6月、職務質問で不法滞在が発覚し、逮捕されました。特別許可も下りず、東京入管は昨年11月に退去強制令書を発付。いつ強制送還されてもおかしくない状態だそうです。
 特別許可が下りなかった理由は不明ですが、法務省のガイドラインは許可すべき要素として日本人との結婚を挙げており、「同性カップルであるがゆえに夫婦同然の関係が考慮されなかった」として、訴訟では、入管側の裁量権逸脱を認め退去強制令書の発付処分などを取り消すよう求めるとのことです。
 同居を始めて23年がたち、パートナーは50代後半になりました。男女のカップルであれば、事実婚であっても退去強制処分が取り消された判例は少なくありません。彼は「二人で年を重ねてきた。彼は私の家族。日本で一緒に、静かな老後を迎えたい」と訴訟に期待を託します。

「同性の夫婦関係、考慮せぬは違憲」 台湾の男性提訴へ(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK3N26CFK3NUTFK001.html




 この裁判に関して12月10日、同性カップルが直面する困難を解消する法的保障を求めて2010年に設立された「特別配偶者法全国ネットワーク事務局(略称:パートナー法ネット)」が、同性国際カップルの在留資格をめぐるシンポジウムを開催します。現在日本で外国人同性パートナーに配偶者ビザが発行されないために生じる問題と、同性国際カップルの法的保障のあり方について考えるものです。
 上記の訴訟を紹介するほか、外国人パートナーに在留資格が与えられず、日本に家族生活の基盤が築けない、将来国外退去の可能性もあるなど困難を抱えるカップルが実名で登壇し、パネルディスカッション等を実施します。LGBT法制に詳しい明治大学法学部教授の鈴木賢氏とともに「外国人同性パートナーにも在留資格が欲しい」「外国人とも結ばれる同性婚や同性パートナーシップ法が欲しい」といった当事者の声を取り上げ、議論します。なお、当日は、台湾人原告の方の登壇も予定されています。

パートナー法ネット & 明治大学現代中国研究所 共催
シンポジウム「同性国際カップルの在留資格をめぐって」
~ ふたりを引き裂く日本の法制度のゆくえ ~ 
日時:2017年12月10日(日)14:00〜17:00(13:30開場)
会場:明治大学駿河台校舎グローバルフロント1F多目的ホール
参加申込:こちらから
 

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