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女性装の東大教授・安冨歩氏が東松山市長選への出馬を表明

2018年06月22日

 6月21日、任期満了に伴う東松山市長選挙(7月1日告示、同8日投開票)に、同市在住でMtFトランスジェンダーの東大教授・安冨歩氏が無所属で出馬する意向を表明しました。

 記者会見した安冨氏は「現職だけが出馬して無投票になるのを避けるために決意した」と立候補の理由を説明し、「虐待防止など子どもたちを守ることを中心にした政策を進めたい」と述べました。
 
 LGBTの政策について問われた安富氏は、こう語っています。
「私はLGBTという概念はあまり認めていなくて、たとえばゲイというものは存在しないと思っているんですね。性的な指向を口実にした差別だけが存在している。そういう人を攻撃するという暴力だけがある。その暴力を受ける人々をまとめてゲイと呼んでいるにすぎない。暴力がなくなれば、そういう名前で与えられる概念、カテゴリーはなくなると思うんですね」
「私はLGBTというのは存在しないと考えているので、LGBTを理解することもなければ、支援することもない。ただ、性的指向や性自認を口実としたすべての暴力とは対決する決意はあります」
(質問:今おっしゃったことは市政に反映される?)
「もし市長になったら、与えられた権限をすべて使って、そのような差別者と対峙していきたい。性自認であろうが国籍であろうが、いかなる差別や暴力も許されない。そんなことがあったら私たちの社会はボロボロになってしまう。暴力に対して暴力で立ち向かっても何の意味もないので、私は対話というかたちで実現していく。それは口を聞くということだけではない。音楽かもしれないし、遊ぶことかもしれない。いずれにせよ、そういう差別をしてしまう心性と向き合わないかぎりは、差別というのはなくならないと思います」
(記者会見の動画はこちら

 
 安冨歩氏は大阪府出身で京都大学大学院経済学科修士課程修了。2000年に東京大学総合文化研究科助教授に就任、2009年から東京大学東洋文化研究所の教授をつとめています。そして、性自認が女性に近いことに気づき、2013年から女物の服を着るようになり、「女性装の東大教授」として有名になりました(「女装」とは性自認が男性の人がするものなので、「女性装」という言い方をしているんだそうです)。なお、性的指向は女性に向いているそうです。安富氏が自身の「女性装」について語った素敵なインタビューがWeb上にたくさんありますので、読んでみてください(たとえば、「自分は男性のフリをしていた」 東大教授・安冨歩さんが"女性装"で感じた安心感東大教授・安冨歩はなぜ「男装」をやめたか〜女性装をしてみたら、私と世界はこう変わった、など)
 つい先日、6月3日には、東京大学の安田講堂で、メンズサイズのかわいい洋服を提供するファッションブランド「blurorange(ブローレンヂ)」のデザイナー・松村智世さんと共同で男女の垣根を越えたファッションイベントを開催しました(「ファッションは自由に楽しんでいい」 東大で"男女の垣根"を越えるファッションショーを開くわけ
 また、安冨歩氏は、もともと経済や社会についての研究者だけあって、『もう「東大話法」にはだまされない〜「立場主義」エリートの欺瞞を見抜く〜』など社会評論的な多くの著書を発表しています。特に『あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。』は広く支持を得ているようです(「あなたが苦しいのは社会システムが狂ってるからです」東大教授・安冨歩の発言になぜ共感が集まるのか
 
 


 
東松山市長選 安冨氏出馬へ/埼玉(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20180622/ddl/k11/010/055000c

「女性装」東大教授出馬へ 埼玉県東松山市長選(東京新聞/共同通信)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018061101002397.html


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