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ジェットエアウェイズのパイロットがゲイの乗客の「命を救った」と感謝されています

2018年08月07日

 アラスカ航空が男女のカップルを隣り合って座らせるためにゲイカップルに席の譲渡を強要したとして炎上しておりますが、対照的に、ジェットエアウェイズ(インドで最も人気のある航空会社)のパイロットが、とあるゲイの乗客の命を救ったというニュースをお伝えします。
 
 ジャガトというネパール人ゲイ男性は、英国に留学後、亡命を希望していましたが、申請が認められず、入管に拘留され、8月5日午後に本国に強制送還すると言い渡されていました。彼はワゴンに乗せられ、ロンドンのヒースロー空港に連れて行かれ、入管の係官に引きずられて飛行機に載せられました。ジェットエアウェイズの飛行機は、ムンバイに向けて5:05に離陸する予定でした。
 「私は殺される」とジャガトは泣き叫びました。「もし戻って来たら、体をバラバラに切り刻んでやる」というメールが彼の家族から届いているのを、記者も確認しました。彼は泣き叫びながら、もう一度亡命希望の申請をする権利があると言いました。
 そうして、飛行機は約1時間遅れて5:54に離陸しました。ジャガトを乗せずに。

 航空会社は、人々を国外追放する場合、英国の法に従わなくてはなりません。しかし、パイロットだけは、誰を飛行機に乗せるか乗せないかを決める権利を持っています。まだこのパイロットへの取材ができていないため、ジャガトの命を心配してのことかどうかはわかりませんが、ともかくこのパイロットは、ジャガトを降ろしたのです。
 ジャガトは再び、入管の収容施設に戻されました。彼は「パイロットが私の命を救ってくれた」と語りました。
「手にひどいあざができていた。まだ震えが止まらない。トラウマになりそうだ。幸い、自殺しようとは思わなかった」
 
 そもそも、ジャガトは、ネパールの全国紙にゲイだということが載った(アウティングされた)ことをきっかけに、たびたび脅迫のメールを受け取るようになりました。「もし戻って来たら体をバラバラに切り刻んでやる」と母親からメールが届きました。「留学で英国にやったというのに、立派になる代わりに男好きになったのか? 気でも狂ったか?」「恥を知れ。私が死にたい気分だ」
 ネパールでは、法的には同性愛は違法ではありませんし、憲法で擁護されているくらいですが、社会的には依然としてタブーなのだそうです。
「彼らの信念と伝統が、私をバラバラにして埋めようとしている。アンチゲイの人々が待ち構えており、命の保証はない。帰国はありえない」
 
 しかし、英国の入管職員は、彼がゲイだと信じませんでした。また別の時には「黙ってさえいれば、カトマンズで「人生をやり直す」ことができる」と言われたそうです。
 ウィリアムという英国人が、ジャガトをサポートしています。彼はネパール人男性と結婚しており、夫の強制送還も恐れています。ウィリアムは、彼も「同じ立場だ」と語ります。
「無力感を感じる。政府は、問題から目をそらしている」
 英国のLGBT団体も、亡命を希望する多くのLGBTを死に追いやっているとして当局を非難しています。
(日本でも2000年代にイランから逃げてきたゲイ男性の難民認定を東京地裁と高裁が却下するという事件が起きています) 


 なお、ネパールは南アジアの中では最もLGBTフレンドリーな国として認知されています。2008年、オープンリー・ゲイのスニル・パントが国会議員に当選し、最高裁が政府に対しLGBTIの権利を保証する法整備を行うように指示し、2009年には政府が同性婚法の検討委員会を設立、そして2015年、新憲法にLGBTIの保護が盛り込まれ(世界で3番目)、パスポートに第3の性を追加することが認められました。首都カトマンズでは毎年、プライドパレードが開催されています。
 それでも、ゲイがオープンに生きることはまだまだ厳しいようです。こちらの記事にも、ヒジャダ(インドで言うヒジュラ)と呼ばれるMtFトランスジェンダーは昔から認知されてきたものの、ゲイをカミングアウトするのは社会的に非常に厳しい状況だと書かれています。

 
 


UK: Pilot 'saves life' of gay asylum seeker by refusing to fly him to Nepal(GAYSTARNEWS)
https://www.gaystarnews.com/article/uk-pilot-saves-life-of-gay-asylum-seeker-by-refusing-to-fly-him-to-nepal/#gs.rFO6en0

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