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号泣必至の名作、藤本郷さんの『帰郷』がpixivで公開されました

2018年12月21日

 今年は『弟の夫』の実写ドラマが公開され、大きな反響を呼びましたが、実は今から約15年前、一般誌でゲイのことを正面から描き、賞を獲った作品がありました。
 2003年1月10日発売の『ビッグコミックスペリオール増刊号』に掲載された藤本郷さんの『帰郷』は、「小学館第51回新人コミック大賞」の佳作を受賞した作品でした。
 藤本郷さんはすでに『G-men』誌上で活躍していましたし(『バディ』でも紹介したはず…紹介記事を書いた記憶があります)、小学館コミック大賞の佳作を受賞した!すごい!ということで、掲載誌を読んだ方もいらっしゃると思います。しかし、若い方はご存じないでしょうし、読んだことのない方のほうがずっと多く、幻の名作になっていたと思います。
 そんななか、藤本さんがpixivで『帰郷』を公開し、ネット上で36,700人超の方が読み、「こんな名作があったなんて…」「泣いた」など、反響を呼んでいます。

 『帰郷』は、クマ系のゲイ・昌史が主人公で、1年前、帰省したときに両親にカムアウトしたものの、理解してもらえず、特に父親には激しく拒絶され、勘当同然だったのですが、そんな父親が亡くなったという知らせで1年ぶりに帰郷することになり…という物語です。
 ぜひ読んでいただきたいので、あまり詳しくはお伝えしませんが、世の中でゲイがまだまだ受け入れられていない時代のリアリティ、親子関係の機微、ゲイとしての葛藤やプライドが描かれ、確かな画力とストーリーテリングもさることながら、藤本さんのゲイとしてのまっすぐな思いが結晶した、涙なしには読めない名作です。
 ゲイの方だけでなく、どなたが読んでも共感できるような、ある意味で『弟の夫』のテーマを先取りした、社会に正面から問う、歴史的な意義を持った作品でした。
 
 藤本さんは『帰郷』の公開後、自身のTwitterで、当時はあまり読者からの反響もなく、がっかりした、編集の方から「ゲイものは今は載せられない。次はゲイものじゃない別の話を描いて」と言われ、あれこれ考えたものの、やる気が失せてしまい、次の作品を描くことはなかった、と語っていらっしゃいます。
 2003年当時は、小学館に限らず、青年コミック誌でゲイの作品を描き続けることは難しかったに違いありません。そこに風穴を開け、佳作として掲載されたことがまず、奇跡的で、素晴らしいことだったと思います。きっと『帰郷』に涙し、勇気づけられたゲイの方は、全国にたくさんいらしたはずです(編集部にハガキを出すのはハードルが高かったかもしれませんが)
 
 ともあれ、そんな、素晴らしい作品が、多くの方の目に触れられるようになったことは、本当にうれしいことです。ぜひ、ご覧ください。
 
藤本郷『帰郷』
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=72168402

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