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同性愛者が初めて難民認定、母国での迫害を理由に

2019年07月03日

 日本政府が昨年、同性愛への迫害を理由にした初めての難民認定を出したことが明らかになりました。認定された難民の方は、出身国で同性との性行為を行ったことを理由に逮捕され、2年間収監されていましたが、保釈中に来日し、難民申請していました。

 出入国在留管理庁(入管庁)は、関係者の保護のため、この難民認定について、出身国や人数、性別、詳細な認定理由を明らかにしていませんが、少なくともこの難民の方の出身国では同性との性行為が禁錮刑の対象になるとのことです。
 
 今回のケースで入管庁は、同性愛について「人格または自己同一性に密接に関わり、変更することが困難な特性」であると認め、帰国すれば逮捕されるおそれがあるため、難民条約の「特定の社会的集団の構成員であることを理由に迫害を受ける恐れがある」ケースに該当すると判断したそうです。

 2005年、死刑を怖れてイランから逃れて難民申請していたシェイダさんに対し、最高裁が「同性愛者であることを黙っていれば生きていけるだろう」として強制送還を言い渡すという残酷な判決を下したことを思い出す方もいらっしゃることと思います(幸い、シェイダさんは、第三国に出国し、強制送還を逃れました)。その時代のことを記憶している方にとっては、本当に感慨深いニュースになったことでしょう。

 今では、欧米の多くの国で、同性愛者への迫害を難民認定の理由にすることは当然のことになっていますが、同性愛を「迫害を受ける恐れ」の十分な理由だとして難民認定する例は1990年代以降、各国で少しずつ出てきました。日本ではそもそも難民の受け入れが少ないということ、世間の同性愛への認識が遅れていたこともあり、2019年の今になって、ようやくこのような判断が出ることになりました。
 
 認定NPO法人難民支援協会の石川えり代表理事は、国際社会では性的マイノリティへの迫害を理由とした認定は一般的であるとし、「このケースでようやく一歩前進したものとして歓迎したい」とコメントしました。「日本は難民認定の基準が厳格だが、今後も国際基準に沿い、より多くの難民を認め、審査を待つ間の生活保障も支援金などで拡充させるべきだ」と述べました。
 
 国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)によると、中東やアフリカを中心に約70ヵ国が同性間の性行為を禁じており、サウジアラビアやイラン、スーダンなどでは死刑にされる恐れもあり、迫害の対象になっています。


 

同性愛迫害、初の難民認定=母国で収監、保釈中申請-政府(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019070201043

同性愛理由に母国で迫害の恐れ 政府が難民認定(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASM723SMMM72UTIL00Y.html

同性愛者 難民認定 政府、出身国での迫害理由に(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190702/ddm/041/040/047000c

同性愛迫害 難民認定 政府が初 出身国で逮捕、保釈中(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019070202000156.html

同性愛迫害、初の難民認定=母国で収監、保釈中申請-政府(nippon.com)
https://www.nippon.com/ja/news/yjj2019070201120/

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