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埋め込み型医療機器によって1年間HIVの感染を防ぐ最新の予防法が発表されました

2019年07月25日

 第10回国際エイズ学会HIV科学会議(IAS2019)※で、マッチ棒サイズの医療機器を体内に埋め込むことによって最長1年にわたってHIV感染を防ぐ「革命的な」予防方法が発表されました。

※国際エイズ学会HIV科学会議(IAS)は、国際エイズ会議の間の年に隔年で開催される会議で、HIV/エイズに関する医科学分野の研究を中心に発表と意見交換が行われます。


 7月23日、メキシコシティで開催されていた第10回国際エイズ学会HIV科学会議(IAS2019)で、マッチ棒サイズの埋め込み型の機器(上写真)についての初期の臨床試験の結果が発表され、PrEPのように潜在的に感染リスクの高い人々のHIV感染を最長1年にわたって防ぐことができると示唆されました。
 埋め込み型の機器には「MK-8591」と呼ばれる分子が用いられます。MK-8591は現在市販されている薬剤の約10倍のHIV抑制効果を持ち、耐性発現に対する障壁が非常に高いことがわかっています。
 開発チームは、この機器が、ゆくゆくはHIV感染拡大を抑制するための新たなアプローチを提供する可能性があると主張しています。
 米製薬MSD研究所のウイルス学世界臨床開発部門を統括するマイク・ロバートソン氏は、「この医療機器は薬剤を徐々に放出し、体内の薬剤濃度を一定に保つ。予防的に投与すれば、実際に感染を防止することができる」と語りました。
 
 欧米や台湾、韓国などでもすでに行われているPrEPは、HIV感染の危険性が高い人たちが抗HIV薬の錠剤を毎日服用することによって、HIVを予防する手法ですが、毎日忘れずに薬を飲み続ける(飲んだり飲まなかったり、あるいは途中でやめたりという場合は予防しきれない可能性が出てきてしまう)というハードルがあります。
 ロバートソン氏は、この新たな機器、もしくは同じ有効成分を含む錠剤を月1回服用することにより、HIV感染リスクの高い集団に対してさらに多くの選択肢を提供できるとの考えを示しています。
「リスクが最も高い人々はさまざまな人口集団に属する。例えば欧米地域では、男性と性交渉を持つ男性は依然として新規感染率が最も高い集団となっている」
「だが世界では、エイズ罹患率が最も高いのはサハラ以南アフリカの若い女性で、これも新規感染が最も多く発生している集団の一つだ」
 
 国連の報告では、2018年の世界のエイズ関連死者数は約77万人で、2010年以降で3分の1減少しています。一方で、新規HIV感染率の低下の仕方は、世界中で減速しているそうです。
 
 23日には、HIVワクチンの安全性と忍容性(副作用にどれだけ堪えられるか)を評価する最近の臨床試験に関する最新の分析結果も発表されました。
 第2相の臨床試験では、被験者のワクチン忍容性が良好であることが示されています。
 現在は第3相の臨床試験の計画が進められているそうです。
 
 PrEPに加え、今回の埋め込み型の予防法が実用化され、開発中のワクチンの安全性が確認されれば、HIVに感染する方も劇的に減っていくのではないでしょうか。期待がかかります。

 また、エイズが「死に至る病」でなくなったということだけでなく、HIV予防がこのように進歩していくことで、HIV陽性者がひどい差別を受けることが無くなっていくことにもつながるのではないでしょうか。




埋め込み型HIVワクチン、臨床試験で有望な結果(AFPBB News)
https://www.afpbb.com/articles/-/3236660

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