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マーベルの映画にゲイとレズビアンのスーパーヒーローが登場!

 7月にサンディエゴで開催されたコミコンで2021年公開予定の『ソー4(Thor: Love and Thunder)』に登場する女戦士、ヴァルキリーがレズビアンもしくはバイセクシュアルであることが発表されました。2010年公開予定の『エターナルズ』にゲイのスーパーヒーローが登場する(ゲイの俳優を起用する)ことなどとともに、マーベルがいよいよ本気でLGBTのダイバーシティ&インクルージョン施策に乗り出したことが窺えます。

 
 今や「スター・ウォーズ」シリーズに大差をつけて世界歴代1位の興行収入を記録しているMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース。スパイダーマンやアベンジャーズなど、マーベル・コミックが生んだキャラクターたちの世界)。『アイアンマン』(2008年)から『アベンジャーズ』(2012年)までをフェーズ1、『アイアンマン3』(2013年)から『アントマン』(2015年)までをフェーズ2、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)から『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)までをフェーズ3としていますが、7月18日(現地時間)から開催されていたサンディエゴのコミコン(2019 Comic-Con International: San Diego)で、いよいよフェーズ4についてのアナウンスがあり、世界中の注目を集めました。その中で、2021年公開予定の『ソー4(Thor: Love and Thunder)』に登場する女戦士、ヴァルキリーを演じるテッサ・トンプソンが壇上で「まず初めに、彼女はキング(王)としてクイーン(女王)を探さなければなりません。そのことが最優先で、彼女には考えがあります」と語り、ヴァルキリーがレズビアンもしくはバイセクシュアルであることが明かされました(ちなみにテッサ・トンプソン自身もバイセクシュアルで、ジャネール・モネイとの交際が噂されていました)
 この時点でヴァルキリーがマーベル・スタジオ作品史上初のLGBTQヒーローになると見られていましたが、その後マーベル・スタジオの社長兼プロデューサーであるケヴィン・ファイギが「その答えはイエスだ」と公式に認めました。「彼女がLGBTQであることがストーリーにどのようなインパクトを与えるかは、ただ『ソー4』についてだけでなく我々が製作している映画すべての表現レベルで見受けられるようになる」
 ヴァルキリーがクィア(セクシュアルマイノリティ)であることがフェーズ4以降のMCUにとってキーとなっていくようです。
 ちなみに『ソー4』では、(『ブラック・スワン』でレズビアン的なシーンを演じてアカデミー主演女優賞に輝いた)ナタリー・ポートマンが、ソー(クリス・ヘムズワース)の元恋人ジェーン・フォスター役として帰ってくる(しかもムジョルニア(ハンマー)を操る雷神として)ということも話題になっています。
 『ソー4』は2021年11月5日、全米公開予定です。


 それから、「マーベル社がゲイのスーパーヒーローの映画を製作?」で『エターナルズ(The Eternals)』に初のゲイのスーパーヒーローが登場する、オープンリー・ゲイの俳優が演じる予定だということをお伝えしていました。今回のコミコンでは、『エターナルズ』自体のお披露目はあったのですが(なんと、アンジェリーナ・ジョリーや、ガチムチ界のアイドル、マ・ドンソク様も出演します)、ゲイのキャラクターや演じる俳優については、未発表のままでした。PRIDE.comの記事によると、どうやらヘラクレスがMCUで最初のゲイのスーパーヒーローになるようだ、そして、オープンリー・ゲイの俳優、ウィルソン・クルーズが『エターナルズ』に出演することをほのめかしているそうです。
 『エターナルズ』は2020年11月6日、全米公開予定です。

 なお、MCUの(スーパーヒーローに限らず)最初のゲイのキャラクターは、すでに『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)に登場していました。ヴィライン(悪役)であるサノスが破壊した後の世界で、スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)が集めた生存者たちの中にGozie Agboというゲイのキャラクターがいて、ジョー・ルッソ監督自身が演じているそうです。ジョー・ルッソは「物語に関わるキャラクターがゲイであることや、彼の日常を何気なく描きたいと思いました。誰もが過ごしている日々の生活を表現したい。大勢に届く世界規模の映画ですから、多くの方々がスクリーンのどこかに自分自身を見つけられるのが大事だと思っています」と、もう一人の監督である兄弟のアンソニー・ルッソは「アメリカほど同性愛が自由ではない国もあります。この手の映画に(同性愛の)要素を入れれば、そうした国々にも響くところがあると思うんです」と語っています。

 さらに、今年公開された『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に、MCU映画史上初めてトランスジェンダー俳優が起用されたことも明らかになっています。
 ピーター・パーカー(スパイダーマン)やMJの同級生として出演しているザック・バラクは現在23歳で、この映画で大作映画デビューを果たした新人俳優。FtMトランスジェンダーだそうです。ザックは、MCU映画に出演した初のトランスジェンダーとなりました。
「アメコミに詳しいわけではないけど、幼い頃から読んできたコミックは、僕にとって大切なものなんだ。しかもアメコミのストーリーには、トランスジェンダーにとってすごく本質的につながる部分がある。特に、本当の正体を隠しているキャラクターにはね」
「例えば、(『スパイダーマン:ホームカミング』では)ピーター・パーカーがティーンエイジャーでいることと、ヒーローとしての人生のバランスが描かれた。それってすごくトランスジェンダーっぽいし、僕がまさに日常的に感じていること。特にトランスジェンダーとして周りになじむために、時々本当のアイデンティティとは違うことをしなきゃいけないのかとプレッシャーを感じることがある。自分の真実と闘わなきゃいけないんだ」
「だからこそ、この映画に出演できたことはものすごく意味のあることで、これが誰かにも意味のあることになってほしい」
 一方、スパイダーマンを演じたトム・ホランドは、「キャラクターの未来について僕は知らないし、管轄外だから話すことはできないけど、これから数年後のマーベルでは、様々な人にスポットライトが当たることはわかっている。今の世の中はストレートの白人男性だけというほど単純じゃない。そこで終わらないし、これからの映画でタイプの違う人を描く必要がある」と『Gay Times』で語っています。


 ハリウッドのエンタメ業界では、近年ますますLGBTQのキャラクターや俳優を起用する流れが高まっていますが(逆に、クィアのキャラクターをストレートの俳優が演じることが「ストレート・ウォッシング」として批判されるようになっています)、MCU映画ではこれまでLGBTQの俳優やキャラクターは1人も登場したことがなく、マーベルのライバルであるDCコミックスがLGBTQのキャラクターを積極的に起用してきた(ドラマ『SUPERGIRL/スーパーガール』ではトランスジェンダーのヒーローが出演し、『バットウーマン』ではレズビアンのヒーローが主役を務めた)ことに比べ、遅れを取っていました。
 これではマズイということでマーベル社も動きだし、ヴァルキリーがクィア女性としての役割を担うことになり、『エターナルズ』にゲイのスーパーヒーローが登場することになり、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でジョー・ルッソ監督自身がゲイのキャラクターを演じ、そして『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』にトランスジェンダーのザックが出演、というように、少しずつLGBTQがフィーチャーされるようになってきたのです。
 というわけで、来年の『エターナルズ』、そして再来年の『ソー4』の公開を楽しみに待ちましょう。





『マイティ・ソー』ヴァルキリー、次回作はセクシャルマイノリティの側面描く ─ 『エターナルズ』にも同様のキャラクターが登場へ(THE RIVER)
https://theriver.jp/thor4-valkyrie-lgbtq/

「ソー4」に登場のヴァルキリー、マーベル・スタジオ初のLGBTQヒーローに!(QETIC)
https://qetic.jp/film/thor-valkyrie-190722/324216/

Hercules Might Be Gay in Marvel Studios' Upcoming The Eternals(PRIDE.com)
https://www.pride.com/geek/2019/4/03/hercules-might-be-gay-marvel-studios-upcoming-eternals

MCU映画に史上初「トランスジェンダー俳優」が出演、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17285358

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