g-lad xx

NEWS

法律上パートナーとの関係が同性どうしとみなされる外国籍のトランス女性に在留特別許可が下りました

 法務省は9月2日までに、在留資格がないまま日本人の男性のパートナーと17年間暮らしてきた東南アジア出身のMtFトランスジェンダーの方に在留特別許可を認める決定をしました。お二人は法律上は同性カップルと見なされますが、同性カップルに在留特別許可が下りたのは2例目となります。弁護団は「同性カップルの権利保護につながる」と評価しています。
 
 
 在留特別許可は、法相が特別な事情があると認めた場合に在留を許可する制度です。国のガイドラインでは、許可を認める積極的な要素の一つとして「日本人と結婚していること」が挙げられています。
 従来は日本人と結婚して夫婦になった方、内縁関係にある異性カップルに対して在留特別許可が与えられてきましたが、今年3月、訴訟を経て、日本で25年間パートナーと連れ添ってきた台湾籍のゲイの方に初めて在留特別許可が下りました
 
 MtFトランスジェンダー(トランス女性)のAさんは東南アジア出身で、出身国での宗教的・文化的な理由により、幼い頃から精神的・肉体的暴力を受けてきたそうです。子どもの頃は、家族からも「男らしくない。男らしくしてやる」などと言って独り山の中に置き去りにされるなど、日常的に暴力を受けてきたそうです。1981年、Aさんはエンターテイナーとして興行ビザで来日しました。日本では性自認を理由に差別を受けることはなかったため、「もう母国には戻らない」と決意し、1993年にビザが切れた後も、滞在し続けたそうです。2001年、日本人の男性会社員Bさんと出会い、2002年から同居し、結婚同然の生活を送っています。2013年、Aさんは肺がんの手術を受けましたが、健康保険がないため、医療費は男性が負担したそうです。2015年、今度はBさんがくも膜下出血で倒れ、Aさんが救急車を呼んで病院に運びました。Aさんと一緒にいなければ、命はなかったかもしれないとBさんは振り返ります。入院し、手術を受けたBさんに寄り添いながら、Aさんは「この人とずっと一緒にいたい」と強く感じました。渋谷区と世田谷区で日本初の同性パートナーシップ証明制度が施行されたというニュースを見て、お二人は2016年、パートナーシップ合意契約と遺言の公正証書を作成しました。そして2017年、きちんとした形で一緒にいることを認められたいという思いで弁護士に相談し、(母国への強制送還のリスクも承知の上で)入国管理局に出頭し、オーバーステイであることを告げた後、手続きを経て在留特別許可を申請しました。そして今年8月14日、「定住者」として在留特別許可が出ました。在留特別許可が付与されたとわかった瞬間、泣き崩れたといいます。
 
 法務省出入国在留管理庁は、「素行や生活スタイル、社会への定着性や人道的な配慮など、これまでの在留状況を総合的に判断した」としています。
 
 9月2日、都内で開かれた記者会見で、Aさんは「ありがとう、日本」と感謝を述べ、「健康保険にも加入できてうれしい」と涙をぬぐいました。
 弁護団の中川重徳弁護士(東京都に同性愛者差別をやめさせた歴史的な「府中青年の家」裁判を担当した方)は、「二人とも高齢になり、重い病気を抱えており、法律上の性別に関係なく、支え合って生きている。家族であれば一緒に生きるべき。それが夫婦、家族というものだろうと、強く訴えました」と語りました。
 熊沢美帆弁護士は、「入管も、審査の段階から二人に配偶者用の書類を用意してくれ、妻、夫という呼び名で対応してくれていた」と、その配慮や理解を評価しました。そして、「審査にはガイドラインがあり、そこでは法律婚を前提としている。カップルの婚姻関係が真摯なものか、成熟したものかという判断基準があるが、今回は、婚姻はしていなくとも、二人の関係が真摯で成熟したものという判断がされたのだと思う」と語りました。
 そのうえで、このケースをきっかけとして同性カップルも同じように在留が認められることが望ましいと、両弁護士は語ります。
 中川弁護士は「Aさんは『いい国』と言ってくれているが、実際には日本でトランス女性の方は決して生きやすくありません。(法律上の性別が同性であれば)結婚もできません」「G7で同性婚や同性パートナーシップを保障する制度がないのは日本だけ。日本が胸を張ってLGBTQの人々に対して本当に『いい国』だと言えるように、日本の社会や法律が(同性婚などを)認めていかなければいけない」「お二人は支え合って生きてこられた。同性どうしでも、家族という状態であるということを加味しようという流れになってきていると思う。この判断がスタンダード、そして法律の制度になっていってほしい」と語ります。

 日本でも、今年2月に同性婚を求める一斉提訴が行われました。全国で何組もの同性カップルが、同性婚の法制化を求めて国を訴えています。
 三輪晃義弁護士は、今回のAさんの在留特別許可はその同性婚裁判にも関係があると語っています。「国は、『憲法24条は同性どうしの結婚を想定していない』という主張をしています。ただ今回明らかになったように、想定せざるを得ないような事態というのは、日本のあらゆるところで起きていると思います」
「今回、在留特別許可という形でそれが国が認めるという判断をしたということで、本当は国も想定しないといけないということはわかりはじめているんじゃないでしょうか」

 Aさんは日本での同性婚法制化に関して「希望を持っています。もしそうなったら、私たちはすぐにでも婚姻届を出したい」と語りました。「だって家族ですもん。心の中ではこの人は私の旦那です」
 


同性パートナーに在留特別許可 「ありがとう、日本」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASM924DZQM92UTIL00T.html

同性カップル、国が在留許可 不法残留外国人に(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190903/ddm/012/040/109000c

「日本で居場所が見つかった」。外国籍トランスジェンダー女性に在留特別許可が付与される(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/transgender-woman-permission-stay_jp_5d6c8751e4b0cdfe05722cf5

「この人と一緒にいたい」不法滞在の外国人トランス女性に在留許可。入管はパートナーとの関係性重視か(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/couple-law-suit
 

INDEX

SCHEDULE