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港区の同性パートナーシップ証明制度は、区が「契約書(標準様式)」を提供するという新しいものになりそうです

2019年11月17日

 東京都港区が条例によって同性パートナーシップ証明制度を導入する意向を明らかにしましたというニュースを2月にお伝えしていましたが、もう少し具体的なことが明らかになってきました。要綱による制度導入ではなく、条例の制定を目指すそうです(条例によって同性パートナーシップ証明制度を導入する自治体は渋谷区、豊島区、茨城県に続いて全国で4例目)。そして、これまでの同性パートナーシップ証明制度は、渋谷区を除いてほぼすべて、宣誓を行い、宣誓受領書を証明書として発行する(いわゆる世田谷方式)だったのですが、港区の場合、渋谷区寄りの、独自の制度となるようです。


 港区は以下のように「(仮称)みなとマリアージュ」と名付けた制度の素案をまとめ、公表しました。
 制度の目的は「性的マイノリティの方を対象として、性的指向や性自認にかかわらず、誰もが人生を共にしたい人と家族
として暮らすことができるという人権を尊重して導入する」ということ。
 制度の概要は、「二人の契約関係を基礎として共同生活関係を捉え、その関係を区が受けとめるもの」です。
・二人が共同生活関係に関する契約を交わす。
・区が示す契約書(標準様式)を用いることで、容易に契約を交わすことができる。契約書は、標準様式を基本としつつ、二人のニーズに合わせた内容を盛り込むことができる。
・公証役場で公正証書の作成又は私文書認証を受け、区に申し込めば、区が二人が契約したことを確認し、「みなとマリアージュカード」を交付する。
・「みなとマリアージュカード」は、トランスジェンダーに配慮し、本名のほか、戸籍上の性別とは異なる性別の名前(通称名)を記載することができる。
・私法上の契約を基礎とすることから、法律上の婚姻とは違い、婚姻・親族・姻族関係といった身分関係を創設しないため、戸籍に影響しない。
 制度の対象者は、双方若しくは一方が区内在住である(または双方が転入を予定している)成年で、配偶者がおらず、他のパートナーシップ制度など)を利用していないカップル(同性でも異性でも)で、外国籍の人でも利用できます。

 渋谷区では、同性パートナーシップを証明するにあたり、公証役場で作成した公正証書を提出する必要があるという制度でしたが、港区の場合は、区が提供する標準様式をもとに契約書を準備したのち、公証役場で契約書(公正証書)を作成してもらうか、契約書(私製)の私文書認証を受けて、これを戸籍関連書類・本人確認書類と一緒に提出するという、新しいパターンになります。公正証書に類する書類を提出することを必須とするという点では、渋谷区に次いで2例目となります(中野区は、提出した公正証書に対して受領書を発行するというオプションがありますが、必須ではありません)

 また、港区は、「区がホームページ等で示す契約書(標準様式)は、他者の関与なく(誰にもカミングアウトせずに)契約したい人も活用できるメリットがある」と考え、制度を利用しない(カードの交付を受けない)場合であっても、区がホームページ等で提供する契約書(標準様式)を使って二人が私的に契約を交わすことができるようにするそうです。これは全く新しいものです。これまで様々な事情で役所に届出を出すことができなかった方たちも(「結婚の誓い」ではないですが)パートナーシップを確認しあうことができます、それを応援しますよというスタンスです(素晴らしいですね)
 
 港区では12月10日まで、パブリックコメント(ご意見)を募集しており、区民の皆さんからいただいた意見を検討したうえで、2020年2月予定の区議会に条例案の提出を目指します。
 
 2017年12月に、1人のゲイの方が港区議会に提出した同性パートナーシップの認証などを求める請願が採択されました。そこから長い時間をかけて、よりよい制度を作ろうということで何度も議論が重ねられ、このような形にたどり着いた、ということではないでしょうか(今後報道されるのではないかと思いますが、きっと様々なドラマがあったことでしょう)。条例制定まで、もう少し、行方を見守っていきましょう。
 
 


LGBT、港区もパートナー制 20年の条例施行目指す(日経新聞)
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO5223371015112019L92000

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