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第1回BLアワード大賞受賞の傑作『窮鼠はチーズの夢を見る』が、大倉忠義さん主演で映画化されます

 名作との呼び声高い水城せとなさんのBL(ボーイズラブ)漫画『窮鼠はチーズの夢を見る』(および続編の『俎上の鯉は二度跳ねる』)が実写映画化され、6月に公開されることが明らかになりました。

 原作の『窮鼠はチーズの夢を見る』は、レディースコミック誌『NIGHTY Judy』に2004年から連載された作品で、2009年「第1回BLアワード」で大賞に輝いています。

<あらすじ>
学生時代から「自分を愛してくれる女性」とつきあい、受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた大伴恭一。ある日、後輩の今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会すると、「昔からずっと好きだった」と突如、想いを告げられる。今ヶ瀬の一途なアプローチに振り回されていくうちに、やがて恭一は、胸を締め付けるほどの恋の痛みに翻弄されていく……。

 REAL SOUNDの「大倉忠義と成田凌で実写映画化『窮鼠はチーズの夢を見る』から読むBL漫画の進化」という記事で、この作品の魅力が熱く語られていましたので、ご紹介します。
「連載誌のテーマであるエロスも多分に表現されながら、水城らしい人間味溢れるBL作品が16年前から存在していたことに驚く。今でこそノンケとゲイの恋は、いちジャンルとして確立しているが、当時の同性愛に対する差別的な空気感を含めた今作品のような内容にはなかなか出会えない。
 その時代、BL作品の読者は「腐女子」と呼ばれていたが、今では一般的に読まれる作品が増えてきた。それは、男と男のというより、人と人との恋愛模様がいかに難しく真剣なものかということを描くものが増えたからだろう。
 去年ドラマ化されたよしながふみの『きのう何食べた?』のゲイカップルはすでに恋物語を通過していて、食生活を通して人と生きることにフォーカスを当てている。ボーイズラブ作品というよりも料理漫画なこの作品が多くの人に読まれるのは、他人と過ごす生活そのものに共感できるからである。現代は、もはやBL作品は腐女子だけのものではない。だからこそ今作品も、映像化され多くの人の目に映るのではないだろうか。
 作品中、大伴の元彼女が、自分か今ヶ瀬か選ぶように迫り、答えられない大伴に「迷うの? 男と女だよ?」と言い放つシーンがある。たった一言で表現される容赦のないセクシュアルマイノリティへの視線。水城らしい鋭いセリフである。
 このように水城が描くキャラクターには、綺麗な絵柄の反面、人は案外欲望に弱く、思っていることや言っていることが二転三転するのは当たり前で、無意識に倫理に反してしまうこともザラにある、そんな本当は見たくない人の本性のようなものを見せられる。
 大伴という主人公は、「自分(大伴)のことを好きな人が好き」なために恋人がいても迫られると関係を持ってしまうという人間らしいダメっぷりで、妻と離婚することになったり人妻と関係を持ったり、BL作品ながら男女の生々しいやりとりも詳細に描かれている。今ヶ瀬は、「自分以上に貴方を好きな人間はいない」と強気に迫るが、目を瞑ったままでは関係は発展しないと大伴自身に明確な選択を求め続ける。
 今まで恋愛において受身だった大伴には、惹かれている自分に気が付いていてもそれを決断する勇気がない。再会した彼女を選べば“ノンケ”として楽だが……。
 深い愛情とともに強烈な嫉妬の感情を抱えている今ヶ瀬の駆け引きや収拾のつかない気持ちがふんだんに描かれ、実らない恋を諦められない姿は見ていてとても苦しい。一方、30歳にして本当の恋を知らないかもしれないという大伴は、自分が男に好意を持つこと自体が非常事態でパニック寸前。二人は時間も身体も心も費やして少しずつわかりあっていく」

 もしかしたらBLというものに(リアルなゲイじゃない、などの理由で)抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらの予告編動画をご覧いただければ、きっと、アリかも…と感じていただけるのではないでしょうか。決してリアリティがないわけではなく、ノンケに一途な恋心を抱くゲイの姿に(過去の自分の姿を重ね合わせて)共感を覚えるかもしれませんし、ノンケの元カノが(ホモフォビアをあらわにした)キツいセリフを放ってしまうあたりに現実の厳しさ(というリアリティ)を突きつけられた感を覚えるかもしれません。
 BLといえば以前は「腐女子」のためのファンタジーという(ややアンダーグラウンドで「特殊」な〕イメージがあったかもしれませんが、『おっさんずラブ』のようなありえないほど熱烈な純愛の傑作(ゲイプライドも表現されていました)や、『きのう何食べた?』のような性愛の先にあるパートナーシップを描く名作も映像化され、もはやBLというカテゴライズや線引きはあまり意味をなさなくなっており、メジャーでメインストリームなゲイ作品の名作の宝庫として認知されるようになってきていると言えます。2020年、続々とBL作品が映像化されるそうですが、それは「『おっさんずラブ』の大ヒットにより、クローゼットにしまわれ続けていたボーイズラブ需要が顕在化したことが大きな要因」だと言われています(「BL総選挙!「BLアワード2020」スタート!ノミネート作品1月24日発表!」より)。最近、バイバイなんとかというホモフォビア垂れ流しのひどい作品が問題視されましたが、BLかどうかは関係なく、製作サイドがどういうスタンスでゲイを描くか(見識とか心意気)が重要なのではないでしょうか。
 
 『窮鼠はチーズの夢を見る』の監督は、『世界の中心で、愛をさけぶ』『リバーズ・エッジ』などの名匠・行定勲さんです。行定さんは、『マリ・クレール』の連載「行定勲のシネマノート」で、「私も『贅沢な骨』では同居する友だちに密かに心を寄せるレズビアンを描き、『リバーズ・エッジ』の登場人物でいじめられっ子の山田一郎はゲイだった」「人間の多様性を認め、それを表現する映画が増えていき、LGBTの存在を理解するきっかけになってきたと思う。偏見ほど世界の視野を狭めるものはない。人間は一人一人違っていいのだ」と語っています。

 主演は関ジャニ∞の大倉忠義さんです。大倉さんはこれまでにも、ゲイや、ゲイに恋慕われる役柄を演じてきました。例えば、2010年公開の『大奥』では、松島から手厚い寵愛を受ける美少年・鶴岡を演じています。同年に発売された関ジャニ∞のアルバム『8UPPERS』のDVD特典『8UPPERS FEATURE MUSIC FILM』では、村上信五さん演じるジャッキーへ想いを寄せるジョニー役を好演しています(ファンの間で語り継がれる名作だそうです)。そして、2017年の舞台『蜘蛛女のキス』では、ゲイのモリーナと心を通わせる革命家ヴァレンティンを熱演しています(男どうしのキスシーンもありました)。今回の『窮鼠はチーズの夢を見る』については、「素直に、とてもピュアなラブストーリーだと思いました」「人が人を好きになるということに境界線はないということを、この映画を通じて感じてもらうきっかけになればと思います」と語っています。

 なお、特集:2020年春のオススメ映画では、やはりBL漫画の実写映画化作品である『性の劇薬』(あのもちぎさんがオススメしています)や、台湾で評判になったゲイ映画『君の心に刻んだ名前』、少年どうしの淡い恋を綴ったオランダ映画『BOYS/ボーイズ』、ものすごくゲイに厳しいジョージアの国立舞踏団を舞台にした『ダンサー そして私たちは踊った』などの情報も追加掲載しておりますので、ご覧ください。
 

窮鼠はチーズの夢を見る
公開日:2020年6月5日(金)全国ロードショー
原作:水城せとな「窮鼠はチーズの夢を見る」/「俎上の鯉は二度跳ねる」(小学館「フラワーコミックス α」刊)
監督:行定勲
脚本:堀泉杏
出演:大倉忠義、成田凌、吉田志織、さとうほなみ、咲妃みゆ、小原徳子
配給:ファントム・フィルム



 

参考記事:
映画『窮鼠はチーズの夢を見る』水城せとなの人気コミック実写化、大倉忠義×成田凌の切なく狂おしい恋(FASHION PRESS)
https://www.fashion-press.net/news/46939

大倉忠義と成田凌で実写映画化『窮鼠はチーズの夢を見る』から読むBL漫画の進化(REAL SOUND)
https://realsound.jp/book/2020/02/post-509524.html

成田凌、大倉忠義に「一瞬で恋に落ちた」『窮鼠はチーズの夢を見る』予告(cinemacafe.net)
https://www.cinemacafe.net/article/2020/02/17/65847.html

関ジャニ大倉、全裸ベッドシーンでR指定映画に挑戦「おれすげー映画撮ってる」 #窮鼠はチーズの夢を見る(COCONUTS)
https://coconutsjapan.com/johnnys/kyusohacheesenoyumewomiru-ookuratadayoshi-kanzyani/25595/

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