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新型コロナウイルス感染症の重症患者を救うため、アメリカがゲイ・バイセクシュアル男性の献血禁止措置を緩和しました

 新型コロナウイルス感染症の重症患者に対して、回復した元患者から採取した血漿を輸血する治療法が有望視されているなか、アメリカでは献体の確保が喫緊の課題となっていますが、これまで献血を禁じられていたゲイ・バイセクシュアル男性たちが声を上げ、献血禁止規定を緩和することに成功しました。
 
 いったん感染した後に回復し、抗体ができた方から採取した血漿を投与するという治療法は、1930年代に開始され、ポリオ、エボラ出血熱、はしか、SARSなどで用いられてきた実績があります。
 中国では、武漢の新型コロナウイルス感染症重症患者10人に対し、回復した方の血漿を輸血したところ、7人でウイルスが検出されなくなり、症状が大幅に改善したとの報告が上がっており(詳しくはこちら)、韓国やカナダ、そしてアメリカでも血漿を投与する治療が試みられています。(血漿治療法についてわかりやすくまとめた記事はこちら
 現在アメリカは深刻な血液不足に陥っています。ソーシャル・ディスタンシングにより、献血センターに行く人の足が遠のいたこと、パンデミックの影響でおよそ2700件の献血イベントが中止されたことなどが影響しています。回復した生存者からの血漿提供が求められている今、血液不足は特に喫緊の課題です。
 
 一方、アメリカでは、輸血によるHIV感染を防ぐため、ゲイ・バイセクシュアル男性は最後にセックスした時から数えて1年間経っていないと献血を認めないという規定が設けられており、ゲイコミュニティはこれを差別的だとして撤回を求めてきました。
 この禁止措置に最も怒りの声が上がったのは、2016年のフロリダ州オーランドでのゲイクラブ銃撃事件の時です。愛するパートナーや友人、ゲイの仲間たちが撃たれて緊急に輸血を必要としているのに、自分では献血できない人がほとんどだったからです。「私は同性の夫と結婚している。でも献血をする資格はないんです」「仲間を救うため、私が最も必要とされているときに、何もできない。本当に悔しいです」(AFP「米ゲイクラブ銃乱射、同性愛者の献血制限に怒りの声」より)
 新型コロナウイルス感染症でニューヨークを中心にアメリカで大勢が亡くなっているなか(ゲイコミュニティでもすでに亡くなった方が何人もいらっしゃいます)、治療薬もなく、血漿投与による治療法に望みをかけて、政府も回復した患者の献体の確保に乗り出しました。そこで再び、ゲイ差別的な献血ガイドラインの撤回を求める声が大きくなりました。
 ニューヨークの救急医、ダラ・キャスは、「COVID-19に感染して、今は回復したゲイの男性の同僚を何人も知っているわ。死にかけている患者に血液や血漿が提供できないなんて、もはや犯罪行為よ」とツイートしました。
 そして4月2日、ついにアメリカ食品医薬局(FDA)が献血ガイドラインを改定することになったのです。ただし、完全に撤廃されるのではなく、1年の待機期間が3ヵ月に短縮されたという話です。
 
「このようなポリシーは、偏見ではなく科学に基づいて制定されるべきです」と、歴史あるLGBT団体「ラムダ・リーガル」所属弁護士でHIVプロジェクト・ディレクターのスコット・ショーテス氏は述べました。「ラムダ・リーガルは、こうした差別的なポリシーが改善されたことを喜ばしく思います。ですが、未だ差別的です。今後もさらなる改定が行われることを期待します」
 
「今回の勝利は……不完全勝利です」と、すでに2万4000人の署名を集めているLGBT団体「GLAAD」は嘆願書で訴えています。「我々は引き続き、禁止規定の完全撤廃を求めていきます」


 なお、ゲイ・バイセクシュアル男性の献血禁止措置は、世界的に広く見られます。同性婚を認めているような欧州の国々ですら、献血を禁止したり、待機期間の制限を設けたりしています。(下記の地図は2016年1月現在のもの)

 日本ではどうなっているでしょうか。日本赤十字社公式サイトでは、「献血をご遠慮いただく場合」として、「エイズ、肝炎などのウイルス保有者、またはそれと疑われる方」という項目のなかで、過去6ヵ月間に「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった」「男性どうしの性的接触があった」方が「献血をご遠慮いただく場合」に該当するとされています(詳しくはこちら
 たとえずっと特定のパートナーとしかセックスをしていないとしても、パートナーが男性であるというだけで、献血が認められないのです。
 
 
 
参考記事:
同性愛者も献血できるようにガイドライン改訂、米食品医薬局(Rolling Stone Japan)
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/33628

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