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国連事務総長がコロナ禍で「LGBTが攻撃を受けやすくなっている」と警鐘を鳴らし、LGBT差別をなくそうと世界に呼びかけました

2020年05月18日

 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は5月16日(現地時間)、コロナ禍で、LGBTがこれまでも受けてきた差別・攻撃・暴力の危険性がいっそう高まっていると警鐘を鳴らし、「差別に対抗し、すべての人が自由と平等と尊厳と権利をもって生きられるよう、一緒に立ち上がろう」と呼びかけました。

 グテーレス国連事務総長は16日に発表した声明で、LGBTの人々はこれまでも、誰を愛するか、何者であるかという理由で差別や攻撃、殺人に直面してきたが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、ヘルスケアへの新たな障害に直面しているとともに、さらにスティグマの悪化を経験していると述べました。
「警察が、LGBT個人や組織をターゲットに、誤った指令を出しているとの報告がある」
「国連は、すべての人が保護され、コロナ危機の対応から排除されないようにする必要性だけでなく、これらの不正にも目を光らせ続ける」
「差別に対抗して、また、すべての人が自由と平等と尊厳と権利をもって生きられるよう、一緒に立ち上がろう」

 また、ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官も、声明で「私たちは、世界中の多くのLGBTIにとってスティグマと差別が厳しい現実であり続けていると認識している」と述べました。
「そして悲しいことに、今年のIDAHOBITを祝うにあたり、このパンデミックが、世界中の多くの場所で、この状況を悪化させていることが明白だと言わなくてはいけない」
「LGBTIの人々は、しばしばスティグマや差別や暴力にさらされている。医療機関を利用しようとする時でさえも。そして、最も悲しいことは、ロックダウン中の過程においてさえも、そうなのだ」
「ある場所では、LGBTがウイルスの拡大のスケープゴートとして扱われるところもある」
「私はみなさんに、LGBTの人々を苦しめている差別と暴力を取り囲んでいる沈黙を破って、ヘイト(憎悪)に立ち向かうよう、呼びかけます」

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 韓国の『中央日報』紙は、このグテーレス国連事務総長とバチェレ国連人権高等弁務官の声明が、ソウルのゲイクラブでの集団感染をめぐる状況に言及していると見る記事を上げています。
 ソウルの梨泰院(イテウォン)のクラブなどで集団感染が広がったことが5月7日、明らかになりましたが、そのクラブの中にゲイクラブも含まれていたことから、一部のメディアやSNSなどでゲイバッシングの動きが強まり、性的指向が公になることで自身に危害が及ぶことを恐れる方たちが検査を受けられずにいると報道されていました。
「国連事務総長名義の今回の声明は最近、ソウルの梨泰院を中心に広がった新型肺炎の集団感染に関連したものとみられる。梨泰院集団感染が広がった場所とされるクラブなど遊興施設の中で性的マイノリティが利用する所があるということがわかり、インターネットを中心に性的マイノリティを非難する声があがった」
「感染の可能性がある人々の中に性的マイノリティが含まれている可能性と、性的マイノリティが防疫当局に協力する過程で性的指向の公開を余儀なくされる状況が続き、人権問題が浮き彫りとなった。その後、防疫当局は「梨泰院一帯の訪問者」に検査対象を広範に広げて匿名の検査を保障すると明らかにした」
 こちらの記事でお伝えしたように、梨泰院のクラブでの集団感染に際して、医療の専門家や大学教授らが次々に「防疫のためには性的マイノリティへのバッシングは逆効果だ」「プライバシーを最大限守ってこそ検査を避ける感染者を減らせる」と述べ、政府もこれを擁護し、LGBT団体がソウル市に申し入れを行い、11日から匿名検査が実現し、ホン・ソクチョンやハ・リスのような当事者タレントも検査を呼びかけ、匿名性を保証したことで検査数が8倍に増えました。
 韓国での新規感染者は16日から3日連続で10人台にとどまり、防疫当局は、今週1週間をさらに見守る必要があるとしながらも「梨泰院クラブ集団感染が統制範囲の中で安定するものと見通した」と報じられています。
 
 
参考記事:
国連事務総長「性的少数者、コロナの主犯にレッテル…殺害危険に直面」(中央日報)
https://japanese.joins.com/JArticle/266028
韓国、クラブ発コロナ感染落ち着くか…新規感染者15人、3日連続で10人台に(中央日報)
https://japanese.joins.com/JArticle/266047

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