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RUSH裁判は弁護側の訴えを退ける無慈悲なものでした…控訴の予定です

2020年06月18日

トークイベント「RUSHをめぐる最前線」で浮き彫りになった厳罰主義施策の理不尽さ」「RUSH裁判のこれまでとこれから」でお伝えしたように、これまでに何千人もの方が、法律をよく知らずにRUSHを個人輸入したり所持したりして逮捕されたり、拘留されたり、職を追われたり、悲惨な目に遭っています(なかには自殺した方もいらっしゃいます)。有害性で言えばアルコールやタバコより低いRUSHが、麻薬並みの薬物に指定されたことによって、厳しい規制が行われるようになり、そのような社会的制裁を受ける方がたくさん出てきているのは理不尽と言うほかありません。いわば、薬の有毒性ではなく「社会の有毒性」によって「人生を台無しに」されているのです。そんな状況を改善しようと、ヒデさんという方が立ち上がり、多くの弁護士さんが味方になり、おかしい法律はおかしいと言おうじゃないか、という趣旨の裁判が起こされていたのでした。
 
 この3月、最終弁論がありました。ヒデさんがRUSHを個人輸入した件について懲役1年6ヶ月の求刑がなされていたのに対し、弁護人は無罪を主張していました(詳しくはこちら
 そして6月18日、千葉地裁で判決が言い渡されました。弁護側の訴えを退ける判決でした。
 
 どちらかというと穏やかで人の良さそうな印象の裁判長から、弁護側の主張に対して逐一、これこれこういう理由で認められない(訴えを却下する)という、理詰めながら無慈悲なお話が、だいたい20分くらいにわたって展開され、懲役1年2ヶ月、ただし執行猶予を3年つけるという判決が下されました(録音が許可されていないため、可能な限りメモは取ったものの、ここで全文をお伝えすることは難しいです…後日、判決文が明らかになったら改めてお伝えしたいと思います)
 
 裁判終了後、弁護団の森野弁護士から判決のポイント、総括的なお話がありました。
 RUSHの「精神毒性」と「保健衛生上の危害」(指定薬物の要件)について、間接的に、ごくわずかでもこれに該当するのであれば、これを指定薬物とする判断は不当とは言えない、という判断だったが、これではあまりに要件を緩めすぎていて、世の中にある食品や薬など、何でも薬物に該当しかねない、ということ。
 アルコールやタバコはそれぞれの歴史があるからよしとする一方、それらより全然有害性が低いRUSHを指定薬物にしてしまってよいのか、適切な判断が必要ではないか、ということ。
 指定薬物だからということで厳しく取り締まられ、逮捕、拘留、懲戒免職など、たくさんの方たちの人生に影響を及ぼしてしまっていることに対し、どこまで思いが至っているのか…無慈悲ではないか、といったことでした。
 
 ヒデさんは、「控訴を考えております。今後ともご支援、よろしくお願いいたします」と深々と頭を下げていらっしゃいました。
 
RUSH裁判のこれまでとこれから」でお伝えしたように、これまで、税関で輸入が発覚したり、職質で発覚したりして、すでに何千人もの方々が影響を受けています。取り調べを受けても、軽い方だと起訴されずに済んでいますが、量がたくさんだったり、他の件でも何かあったりすると、拘留されたり、罰金刑を科されたり、実刑になる方もいらっしゃるそうです。
 また、最近は、ネットでの「○○あるよ」と誘うような(実際に持っているわけではない、ある意味ファンタジー的な)書き込みに対しても、過去に遡って調べられ、突然呼び出されて厳しく追及されるという事例も起こっているそうです。
 
 こうした厳しい追及は、指定薬物という麻薬並みの扱いになっているがゆえの悲劇です。
 例えばフグは猛毒を持っている有害極まりないものですが、資格を持った人が取り扱うことで人々への健康被害を防いでいる、というように、世の中に数多存在する有害物質の人体への影響を最小限にするための規制の仕方はいろいろありえるのに、指定薬物として刑罰を科すという硬直した対応によって、多くの人々の人生にダメージを与えている、と森野弁護士はおっしゃっていました。
 例えばオーストラリアでは、RUSHが一時、規制されそうになったけど、ゲイコミュニティの運動で、撤回させることができた、という話もあります。社会のあり方が大きく関わってくるのです。
 今後、控訴審(高裁)で判断を変えていただくためには、「この問題が社会に認知されていない。議論を広げていくことが課題だ」と森野弁護士はおっしゃっていました。
 
 g-lad xxは控訴審も見守りながら、この問題をさらに考えていきたいと思っています。

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