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高級ブランド「ロエベ(LOEWE)」が伝説のドラァグクイーン、ディヴァインをフィーチャーしたコレクションを発表

2020年07月01日

『ヘアスプレー』主演のニッキー・ブロンスキーがレズビアン・カミングアウトというニュースをお伝えした直後で、何か因縁めいたものを感じますが、オリジナル版『ヘアスプレー』で巨体のママ・エドナを演じた伝説のドラァグクイーン、ディヴァインをフィーチャーしたコレクションを、スペインの高級ブランド「ロエベ(LOEWE)」が手がけ、オンライン・エキシビションも開催中です。

 
 ディヴァイン(Divine=神々しいという意味があります)は、1970年代〜80年代という、今ほどドラァグクイーンが世の中に認知されていなかった時代に活躍し、全米、全世界にその名を轟かせた伝説のドラァグクイーンです。100kgを超える巨体と、極端に額を広くして元の眉毛のはるか上に眉毛を描くような大胆なメイクがトレードマークです。「YOU THINK YOU'RE A MAN」「Shoot Your Shot」など数々のレコードも出した歌手で、ツアーでいろんなところを回ってパフォーマンスしているのですが、俳優としてのほうが有名かもしれません。ディヴァインは同じボルチモア出身のゲイの映画監督ジョン・ウォーターズと意気投合し、1968年からジョン・ウォーターズ作品に出演してきました。至上最低の悪趣味映画として名高い1972年の『ピンク・フラミンゴ』では、「世界で一番下品な人間」の座を争い、犬のウンコを食べるという強烈な演技を見せ、世紀のカルト・スターとなりました。そして1988年、ジョン・ウォーターズ初のメジャー作品『ヘアスプレー』に出演した後、心肥大で亡くなりました。
 ルポールのスーパーモデル的なハイファッションなスタイルとは対極にあるような、ディヴァインの凶々しいまでのアングラ感、「キャンプ」「クィア」の極地ともいうべきありようは、それゆえに多くの熱狂的なファンを生み出しましたし、永遠に語り継がれるだろうと思います。

  
 そんな「凶々しい」「世界一下品な」イメージのディヴァインを高級ファッションブランド「ロエベ」がフィーチャーしました(昨年、ニューヨークのメトロポリタン美術館が「キャンプ」を大々的にフィーチャーしたように) 
 ロエベのクリエイティブ・ディレクターを務めるジョナサン・アンダーソンは、このチャレンジングなコレクションを発表した経緯について「一人の男性、パフォーマー、そしてパーソナリティとして、彼は私の全てのセンスを刺激します。私にとって、彼は自己決定を体現した存在でした。このプロジェクトは、とても興味深いクリエイティブ・チャレンジとなりました。クリエイティブの自由性、現在の世界的状況への対応を含め、とてもタイムリーなイニシアティブだったのです。これこそが、まさにディヴァインそのものであると思うのです。どういった形であろうと、彼ならではの独自の世界観を創り出すこと。現在において、過去よりさらにこのことに向き合う時なのです」と語っています。
 ロエベは、マドリードで毎年開催される国際芸術フェスティバル「フォト・エスパーニャ」に出展するため、ディヴァインの記録や写真に基づいたエキシビション(展示)を企画していましたが、コロナ禍の影響で「フォト・エスパーニャ」自体が中止になってしまい、カプセルコレクションの製作も、まだ完成を見ていないそうです。その代わり、伝説の肖像写真家グレッグ・ゴーマン(ゲイの方です)によって撮り下ろされたポートレートや、ディヴァインが着用したホワイトのドレス、出演作のフライヤー、本人のメイクアップケースといった貴重なアーカイブをロエベが引き継ぐこととなり、現在、オンライン・エキシビションが開催されています。限定コレクションも発売され、収益の一部は「VISUAL AIDS」およびボルチモア・プライドに寄付されます。9月末までロエベの公式サイト内で開催中です。



 
参考記事:
ロエベがドラァグ界のダークヒーロー、ディヴァインに捧げる限定コレクションを発表!オンライン・エキシビションも開催中(FashionPost)
https://fashionpost.jp/news/184010
暗雲を吹き飛ばしそうな楽しいコレクション「Loewe Divine」が限定発売されます!(Numero)
https://numero.jp/akotanaka-190/
LOEWE、ディヴァインに焦点当てた限定コレクション発売(HIGHSNOBIETY)
https://highsnobiety.jp/p/loewe_divine/

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