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7月5日は都知事選、LGBTフレンドリーな候補者は?

2020年07月01日

 7月5日は都知事選です。東京都として同性パートナーシップ証明制度を導入することに賛成かどうかなど、LGBT関連の政策についての各候補者の考えが明らかになってきましたので、お伝えします。


 7月1日の東京新聞で、東京都小平市在住で13年同居する女性カップルのことを取り上げた記事が掲載されました。お二人は「引っ越しの際に都営住宅を探したこともあったが、同性パートナーとは入居できないとわかり、あきらめた」といいます。都の条例では「都、都民、事業者は、性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」と明記されていますが、「基本は啓発や普及。理解を進めるのが大前提」(都人権部)で、相談窓口はあるものの、行政による救済や処分の規定はありません。都営住宅の同性パートナー入居について、担当課は「検討中」と答えています。同性パートナーシップ証明制度については、今年3月の都議会総務委員会で、都人権部長が「婚姻関係のあり方そのものにかかわるものであり、広範な国民的議論が必要な課題」と繰り返し、消極的な姿勢を見せました。
 条例でLGBT差別の解消をうたいながら都営住宅に同性カップルが入居できず、パートナーシップ証明も受けられないのは矛盾ではないか、実効性が乏しいとの声が、専門家からも上がっているそうです。
 次に都知事になる方にはぜひ、都営住宅への入居やパートナーシップ証明を実現していただきたいですね(併せて、「夜の街」を目の敵にせず、二丁目を守ってくれるような方に当選していただきたいです)



 さて、LGBT関連の政策についての各候補者の考え方をご紹介します。

 まず、ハフィントンポストが各候補者の公式サイトや選挙公報、日本記者クラブでの会見内容から①新型コロナ対策、②東京オリンピック・パラリンピック、③雇用・働き方、④子育て・女性に関する政策、⑤LGBTに関する政策、5つの項目に分けて、主要候補者の公約や主張をまとめた記事の、⑤LGBTに関する政策をご紹介します(5つの中にLGBTを入れてくださっているところがありがたいですね)
 
⑤LGBTに関する政策
山本太郎氏:
 性的マイノリティへの「都パートナーシップ条例」を制定し、同性婚実現に向けて国への働きかけを行うと宣言した。また、災害時において、「安否確認時に同性パートナーも家族として対応する」など性的マイノリティの権利保護を推進するとしている。
小池百合子氏:
 「性的マイノリティのアウティング対策」を公約に掲げている。
宇都宮健児氏:
 「同性カップルのパートナーシップ制度の導入」を公約に掲げる。LGBTの子どもたちやその保護者をサポートするための相談窓口の設置なども盛り込んだ。
小野泰輔氏:
 「同性パートナーシップ都条例」の制定を宣言。また、「同性間に限らず使えるパートナーシップ制度(東京版PACS)も合わせて検討」するという。
立花孝志氏:
 LGBTに関する政策について、選挙公報などに直接的な記述はなし。37項の「東京都への緊急提言」として、「東京のダイバーシティ」を掲げている。



 それから6月27日、ニュース配信ネットメディア「Choose Life Project」が主催し、Youtubeでライブ配信されたオンライン討論会に、山本太郎氏、小池百合子氏、宇都宮健児氏、小野泰輔氏の4候補が出席しました。
 東京都では現状、渋谷区や世田谷区など一部の区や市で同性パートナーシップ証明制度が始まっていますが、これを(茨城県や大阪府のように)都として導入するかどうかについては、山本氏、宇都宮氏、小野氏が「○」、小池氏が「△」と回答しました。7月1日から川崎市で施行されたような罰則付きのヘイトスピーチ禁止条例の制定では、山本、宇都宮両氏が「○」、小池、小野両氏が「×」と意見が割れました。

 以下、この討論会でのダイバーシティについて各候補が語ったところをご紹介します。
津田(司会):ダイバーシティという点で、知事になられたらみなさんはどういった都政を作り上げていきたいのか?
山本:まず他者を認める。自分以外の人たちを認め合うことの根本になるのは、経済的安定が必要だと思っています。混乱した世の中で、どういう苦境に立ったとしても、東京都は絶対に救ってくれる。どんな手を使っても都民を救うんだという気概のある人に、私は都知事になっていただきたい。それが担保されてからの多様性になっていくんだろうと。ヘイトスピーチに対して規制をするのは、私は必要だと思っています。それ以外にもやらなきゃいけないことはいっぱいある。誰と結婚しようが、そんなことは、政治権力に何を言われることもないんです。みんながやりたいように、誰かを傷つけるわけではなく、自分らしく生きることをどう行政として支えられるか。その根本的な部分を積み上げていく必要がある。その基礎となるのは、経済的安定。それをまずやっていきたいと思っています。
小池:以前、ダイバーシティというと、それはどこの駅にあるのかね?と言われたことがありました。男性女性、それだけではありません。障害のあるなしもそうであります。国、さまざまな帰属するところの問題。これを超えてこそ、力になるんだと。一本足打法というのでは、日本は危ないです。ですから多様な方々が自己実現ができる東京、それを目指して参りました。女性政策も、かつてないスピードで、内容で進めて参りました。シニアの方も、子供さんも、その力を活かせるということから、これまでもさまざまな都税について3500億円の圧縮・事業の見直しをして、健全な財政を進めてきたのも、それらの政策を実現するためであります。東京大改革2.0、さらに進めて参ります。
宇都宮:最近、ZoomでLGBTの方と対談しましたが、その方たちが一貫して言っているのは、「自分たちは社会的に存在しない存在になっている」と。「制度として認めてもらいたい」と強く言われるんですね。東京都内では、渋谷区と世田谷区にパートナーシップ制度ができましたので、そこで自分たちが認められたという感じを持っている。でも東京都内は引っ越しが多いですから、他の区に行ったとたんにそういう制度の保障がなくなるわけです。LGBTの方は、東京都こそがパートナーシップ制度を作ってもらいたい、すべての市や区にできない限り、移転するとその権利がなくなります。だから東京都がそういう制度を作る。そのことによって、国を動かすことを期待しています。ご承知のとおり、ヨーロッパでは同性婚法はできています。アジアでは台湾でできています。これは世界的な潮流なんですね。だからもし小池さんが、ダイバーシティというようなことであれば、世界の最先端を行くような制度をぜひ東京でも取り組むべきじゃないかと思っています。
小野:私も同性パートナーシップ制度はもちろん進めるべき。しかも、費用なしで、届出ができる、証明書ができるぐらいまで、東京は世界の都市として進まなきゃいけないと思います。そして、今の世論はすごく分断されていますよね。自分自身がどういう思想を持っているのかというのを、みんな調べて、そしてひとつのツイートで判断してしまうようなところがあります。でも私は熊本県の副知事をやっていたときから、一人ひとりにお話を聞いて、党派とか関係なくお話を聞いてきました。一人ひとりに向かって、知事はしっかり正面から向き合う。色をつけて、最初から予断を持って話すんではなくて、それぞれの立場を尊重して進んでいく。それこそが、丁寧にやっていくダイバーシティなのかなと思いますので、この姿勢はずっとつづけていきたい、一生つづけていきたいと思います。



参考記事:
同性カップル都営住宅入れず LGBT差別禁止条例あるのに<都知事選・現場から>(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/39096
都知事選、誰に投票すればいい? 主要候補者5人の公約を比較してみると...。立候補者一覧も掲載(ハフィントンポスト
https://www.huffingtonpost.jp/entry/tokyo-election-2020_jp_5ef9378bc5b6acab28437435
都知事選、4氏が討論会 コロナ対応の評価で違い際立つ(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASN6W6GY5N6WUTIL00F.html
小池都知事ほか3候補が答える同性パートナーシップ、ヘイトスピーチ対策(クイックジャパン)
https://qjweb.jp/journal/26902/


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