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コロラド州のオープンリーゲイの知事が「パニック・ディフェンス」禁止法やPrEPを推進する法案に署名

2020年07月20日

 米コロラド州のオープンリーゲイのジャレッド・ポリス知事が、「パニック・ディフェンス」を禁じる州法をはじめ、LGBTQの権利を擁護するいくつかの法案に署名しました。


 「パニック・ディフェンス」とはゲイやトランスジェンダーに恐怖心を覚えてパニックになり、過剰反応することを指します。ヘイトクライム(憎悪犯罪)の加害者たちは、何の罪もないゲイやトランスジェンダーを暴行したり殺したりする言い訳として「パニック・ディフェンス」をずっと悪用してきました。
 1998年10月7日未明、ワイオミング州(コロラド州の隣です。『ブロークバック・マウンテン』の舞台もワイオミング州でした)のララミーで、21歳の大学生、マシュー・シェパードさんが、ゲイであることを理由に2人組の男から激しい暴行を受け、5日後に亡くなるという痛ましい事件がありました。犯人の1人は「ゲイパニック・ディフェンス」を持ち出して情状酌量を訴えましたが、幸いなことに裁判官はこれを却下し、2人とも終身刑になりました。
 マシュー・シェパード殺害事件を受けて、人種や宗教、障害を理由としたヘイトクライムに対して厳罰を科す連邦法の対象を同性愛者やトランスジェンダーにも拡大すべきだとの声が高まり、クリントン大統領が改正法案を連邦議会に提出しましたが、共和党によって否決され続け…ようやく成立を見たのはオバマ政権になってから、2009年10月のことでした(この法律は、マシューと同時期に殺害された黒人男性の名前も加わった「マシュー・シェパード、ジェームズ・バードJr.ヘイトクライム防止法」と呼ばれています)。一方、「パニック・ディフェンス」自体を禁じる法律も、2014年にカリフォルニア州で成立しました。その後もイリノイ州、ロードアイランド州などが続き、今回のコロラド州で11州目となります(他に7州とワシントンD.C.でも検討中です)
 しかし、このような州法がないテキサス州では、ゲイを刺殺した男の刑罰が軽かったことから「ゲイパニック・ディフェンス」が今も通用していることへの批判の声が高まりました。マサチューセッツ州でも、ゲイが何日間も監禁され、暴行を受けた事件で、容疑者の10代の若者が「ゲイパニック」が引き金となったことを主張し、問題となりました。
 2018年、連邦裁判所でLGBTQに対する暴行に対する法的正当性を訴える際に「ゲイパニック」や「トランスパニック」を使って弁護してはならないとする「ゲイパニックおよびトランスパニック・ディフェンス禁止法」が連邦議会に提出されました。この法案を提出したエド・マーキー上院議員は、個人の性的指向や性自認が「暴力を受ける口実となってはならないし、法廷をヘイトの場にしてはならない」と述べました。「ゲイパニック、トランスパニックを利用した抗弁は、LGBTQコミュニティに対する理不尽な恐怖と偏見によるもので、刑事訴追の正当性を脅かすものです。こうした抗弁は禁止し、すべてのアメリカ人が尊厳と慈悲の心をもって扱われなければならないのです」
  
 この連邦法案はまだ成立を見ていませんが、今回、(ワイオミング州の隣にある、保守的な中西部の)コロラド州が、パニック・ディフェンスを禁止する州法を定める11番目の州となったことの意義は小さくありません。
 ゲイ男性として初めて州知事になったジャレッド・ポリスは、州都デンヴァーのLGBTQセンターで法案に署名しました。
「私たちは子どもの頃からずっと、このコロラドというヘイト・ステイトで育ってきました」とポリス知事は語りました。「今日、コロラドは、ばかげた、時代遅れな、陰湿な「パニック・ディフェンス」を禁止し、かつての差別的だった時代から本当に隔たった地点に辿り着きました」
「この法案は、コロラドのすべてのコミュニティを安全に、健康にすることに寄与するでしょう」と、性犯罪の検事であるアマンダ・ゴール氏はコロラド弁護士協会とともに述べました。「誰かがSOGIによって暴力のターゲットとされた時、私たちは公正に裁かなくてはいけない、そしてこの法案は、法廷でバイアスのかかった議論や頑迷な議論は認められないということを保証するものです」
 コロラド州初のトランスジェンダーの議員で、この法案の主要な推進者となったブリアナ・タイトゥーン議員は、「最も危険にさらされやすく、保護が必要な黒人のトランス女性にとって、この法案がどれだけ重要な意味を持つことか」と、署名のセレモニーで述べました。
 
 なお、ポリス知事は、ツルバダやテノホビルのようなPrEPの薬を薬剤師が処方することを可能にする法律にも署名しました。これによって、特に山間部の地域でのゲイ・バイセクシュアル男性の医療へのアクセスが拡大されることが期待されます。
 ほかにも、未成年者が出生証明書のジェンダーを変える際の申請を簡単にする法律も成立しました。これまでは性別移行のプロセスに際し、ライセンスのある医療機関からの診断書の提出が必要でしたが、これを不必要とするものです。


 アメリカの南部や中西部では、信教の自由を盾に同性愛者差別を正当化するような「宗教の自由回復法」法が導入されたり(マイク・ペンス副大統領も、インディアナ州知事だったときにこの法律に署名しています)、LGBTQが生きづらい州も多いのですが、こうしてLGBTQの州知事や議員が誕生することで、ずいぶん変わっていくんだなぁと実感させられます。
 なお、今年は大統領選だけでなく、連邦下院議員や上院議員の1/3の改選、そして州および地方で選挙によって選ばれる様々な役職(議員、教育委員、保安官など)の選挙もあります。LGBTQの候補者を支援するLGBTQ Victory Instituteによると、今年そうした公職に立候補するLGBTQは史上最高の850人に上る見込みだそうです。 
 
 
 
参考記事:
Colorado Bans Gay and Trans 'Panic' Defenses, Eases Access to PrEP(Advocate)
https://www.advocate.com/politics/2020/7/14/colorado-bans-gay-and-trans-panic-defenses-eases-access-prep?utm_source=Pride+Media&utm_campaign=d1f2232fa7-Advocate+Newsletter&utm_medium=email&utm_term=0_11dd7c7578-d1f2232fa7-361517721
息子を殺した男は「ゲイパニック」を言い訳にした。もう悲劇を繰り返させないで(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/judy-shepard/gay-20180903_a_23515024/
Rainbow Wave 3.0? Record Number of LGBTQ+ Candidates on 2020 Ballots(Out)
https://www.out.com/politics/2020/7/17/rainbow-wave-30-record-number-lgbtq-candidates-2020-ballots?utm_source=Pride+Media&utm_campaign=3754e98ba3-Newsletter&utm_medium=email&utm_term=0_11dd7c7578-3754e98ba3-361517721

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