g-lad xx

NEWS

「結婚の自由をすべての人に」訴訟・札幌地裁の弁論で原告弁護士がカミングアウト、「愛する人と家族として共に人生を歩むという当たり前の権利を性的マイノリティにも認めてほしい」

2020年10月29日

 同性どうしの結婚が認められないのは憲法違反だとして道内の同性カップル3組が国に賠償を求める訴訟(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)の弁論が10月28日、札幌地裁で行われ、判決期日を2021年3月17日として結審しました。この弁論の中で、原告代理人の加藤丈晴弁護士が、自身もゲイであるとカムアウトし、「愛する人と家族として共に人生を歩むという当たり前の権利を、性的マイノリティにも認めてほしい」と訴えたことが、感動を呼んでいます。

 この日の弁論では、国側は「憲法は同性婚を想定していない」「同性愛者でも異性と結婚でき、婚姻制度を利用できるので、その点に法令上の区別はない」「結婚によらずに継続的な関係を結べるから、同性婚できなくても、同性愛者の尊厳を傷つけない」というオドロキの陳述をしました(国側の意見陳述の全文はこちら)(当然ながら…「むちゃくちゃ」「まともな反論もできないのに、どうしても同性婚に反対したいのだね」など、鬼のように批判のコメントが上がっています)

 これに対し、原告代理人の加藤丈晴弁護士は、「しかし、次の例を考えてみてください。以前アメリカには、白人と黒人など異人種間の結婚を禁止した法律がありました。このような法律が人種差別にあたり、黒人など有色人種の尊厳を傷つけるものであることに争いはないでしょう。ところが国は、このような法律についても、白人も黒人も、異人種との結婚ができないのは同じだから、人種差別ではない、とでも主張するのでしょうか。また、白人と黒人は、お互いに婚姻によらずに相手を人生のパートナーとして継続的な関係を結ぶことは可能であるから、このような法律は黒人の尊厳を傷つけるものではない、とでも言うのでしょうか」「国の主張は、詭弁でしかありません。私たちは、愛する人と結婚する権利を求めているのです。また、そのような愛する人との関係を、国から認めてもらいたいと望んでいるのです。そして、愛するパートナーとのかけがえのない関係が、公認されない関係として、社会に受け入れられないことで、日々尊厳が傷つけられているのです」と、的確にわかりやすく反論しました。そして、「少し個人的な話をします」と前置きして、自身が高校生のころに同性愛者と自覚し、社会に認められない存在であることに悩み始めたと語り、「この裁判は、誰もが自分らしく生きることを国から保障されるという意味で、全ての人の尊厳に関わる。裁判所には、ひるむことなく、堂々とした違憲判決を下されることを望みます」と締めくくりました(加藤弁護士の意見陳述の全文はこちら

 加藤弁護士のカミングアウトのニュースは、SNSでも反響を呼びました。
「勇気あるカミングアウトに拍手を」
「涙出てきた。人が人を愛して婚姻を望むなら国は祝福するべきだとサンデル先生も言ってたよね」
「これだけの舞台で顔を出して名前を出して話す勇気って想像を遥かに超えるし、ここまでの道のりで色んな決心を重ねきたのだなと、先生に会った時の色々な場面を思い出しました」
「これは傍聴したかったなあ!仕事なんかほっぽらかして休めばよかった」
「絶対に!勝訴!してほしい」
などなど。
 実際に加藤弁護士をご存じの方からは「驚いた」という声もいくつか上がっていました(これまでほとんど公にはしてこなかった様子が窺えます)
 結婚の平等をめぐる歴史的な裁判で、まさに「愛する人と家族として共に人生を歩むという当たり前の権利を、性的マイノリティにも認めてほしい」という全国のみなさんの思いを結実させるために(誹謗中傷に晒されたりするかもしれないリスクも覚悟のうえで)カミングアウトの一大決心をされたのだと思います。その思いの尊さに胸が打たれます。心からの感謝と拍手を贈りたい気持ちです。
 
 東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁でも進んでいる「結婚の自由をすべての人に」訴訟。結審は札幌地裁が初めてです。来年3月17日、札幌で初めての司法判断が示されることになりそうです。札幌地裁にはぜひ、日本の人権の歴史に残るような真っ当な判決を下していただきたい、と強く願うものです。
 
 
参考記事:
同性婚訴訟結審 判決は来年3月(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20201028/7000026165.html
同性カップルの結婚を認めないのは差別か? 違憲訴訟が結審 北海道札幌市(HBC)
https://www.hbc.co.jp/news/edd7dabac56d4b4458690ed659cae880.html
札幌・同性婚訴訟 判決は21年3月17日に 一連訴訟で初判決か(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20201028/k00/00m/040/218000c
同性婚訴訟、原告弁護士が弁論で「個人的な話をします」(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASNBX744NNBXIIPE025.html

INDEX

SCHEDULE