g-lad xx

NEWS

群馬県が同性パートナーシップ証明制度を導入へ

2020年11月05日

 群馬県の山本一太知事が県として同性パートナーシップ証明制度を導入する方針を固めたことが11月4日、明らかになりました。互いを人生のパートナーと宣誓したカップルに対し、県が公的な証明書に当たる宣誓受領証を発行するもので、県営住宅での同居なども可能にするそうです。県民の多様性を尊重する取組みの一環で、都道府県としては3例目となる見通しです。


 群馬県は現在策定中の次期総合計画ビジョンの中で「多様な県民」の「多様な幸福」の実現を目指す方針を掲げています。外国籍住民との共生の在り方を示す「多文化共生・共創推進条例」の制定なども進めています。
 山本知事はこうした取組みの一環として、制度の導入を判断しました。群馬県では昨年1月に大泉町が全国の町村で初めて同性パートナーシップ証明制度を導入していますが、県内全域での導入に向けて働きかける方向です。
 導入時期についてはまだ示されていませんが、都道府県では茨城県、大阪府に次いで3例目となる見通しです。

 群馬県では現在、県営住宅で同居できるのは民法に基づく親族らに限定されており、同性カップルなどは対象外です。同制度の導入により、パートナーシップ証明(宣誓受領証)があれば同性カップルでも入居申請できるようになります。県立病院でも家族同様に面会したり、病状の説明を受けたりできるようになります。
 また、県が新婚夫婦や結婚予定者に発行している「ぐんま結婚応援パスポート」(通称「コンパス」)の配布対象にも加えられるそうです。「コンパス」を提示することで、県内を中心とする飲食店や理美容店、金融機関など約1500店で割引や特典などのサービスを受けられます。


 群馬県では2015年にセクシュアルマイノリティ支援団体「ハレルワ」が発足し、当事者の居場所づくりや、「ぐんまにじいろ成人式」の開催、行政・教育機関・企業等での研修・講演などの活動を行なってきました。県も「ハレルワ」と連携して何度か講演会を実施してきたほか、今年2月には啓発資料「LGBTってなに?」を作成しました。「ハレルワ」はまた、不登校などの若者を支援するNPO法人「アリスの広場」との共同で、LGBTQや不登校、引きこもりなどの若者が集まれるフリースペース「まちのほけんしつ」の開設を計画し、今年クラウドファンディングを実施しています。「ハレルワ」の活動が県の施策に及ぼした影響は小さくないと言えるでしょう。
 
 11月1日で同性パートナーシップ証明制度導入自治体は全国で64となり、同性カップルがパートナーシップ証明を受けられる自治体の人口の合計(カバー率)は全人口の30%を超えましたが、都道府県としてはまだ茨城県、大阪府だけです(三重県では伊賀市のゲイカップルの働きかけもあり、岡本市長が鈴木県知事に県としての導入を求めるという動きもあります)。市区町村としては(区議会市議会で偏見・無理解に基づく差別的な発言で猛反対する議員の方がいたりして)なかなか進まないところもあるのが実情ですが、都道府県として制度が実現すれば、広く、県内のどこに住んでいる方でも証明を受けられるようになる、公的にパートナーと承認されるわけで、たいへん素晴らしいことです。群馬県に続き、都道府県としての取組みが広がることを期待します。
 

参考記事:
LGBTカップル公認へ「パートナーシップ制度」 群馬県が導入方針固める 権利拡充で多様性尊重(上毛新聞)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/252273

INDEX

SCHEDULE