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足立区長がLGBTQからの意見をヒアリング、区職員や議員への研修、パートナーシップ制度導入などの要望が出されました

2020年11月12日

 白石区議による区議会での「同性愛者ばかりになると足立区が滅ぶ」といった同性愛者差別発言が問題視され、その後、区議が謝罪したものの、批判の声が上がり続けている問題で、東京都足立区は、区長らが出席して当事者から直接話を聞く意見交換会を3回開きました。当事者からは「区の職員や教職員、議員などへの研修や啓発活動を継続してほしい」「同性パートナーシップ証明制度を導入してほしい」「これを機に、変化できる区として全国の見本となる自治体になってほしい」といった声が上がりました。
 
 足立区役所での意見交換会は、10月29日、11月4日、10日と計3回開催され、区側からは近藤弥生区長をはじめ7人が出席、当事者はのべ14人が参加しました。

 NHKによると、4日に開かれた意見交換会では、「区の職員や教職員、議員などに複数回研修を行うなど、研修や啓発活動を継続してほしい」「男女別の制服を採用している区立の中学校もあるので、多様性を認めてほしい」といった要望がありました。
 近藤区長は「行政の姿勢も問われていると思う。例えば教育現場で悩みを受け止められる場をつくるなど、複合的に取組みを進めていきたい」と答えました。

 朝日新聞によると、10日に開かれた意見交換会では、区内外に住む当事者6人が出席しました(ゲイであることを公にしている教師として知られるシゲせんせーの姿も見えます)
 この回では、同性パートナーシップ証明制度の導入を求める声が上がりました。区内に住むレズビアンの方は、パートナーとの家探しでの苦労や、病気の時などに病院で公的に関係を認められない場合の難しさを語りました。「万が一の時の不安が常にある。『仕方がない』で済ませるのはもう嫌です」
 足立区出身で、子どもを望み、育てる性的マイノリティの交流会などを開く一般社団法人「こどまっぷ」共同代表の長村さと子さんは、「知られていないだけで、同性カップル間で育てられている子どもはすでにたくさんいます」と語り、性的指向などに関係なく多様な家族が利用でき、子どもとの関係も公的に認められる「ファミリーシップ制度」の導入を提案しました(素晴らしい提案。実現すれば全国初です)
 意見交換会ではほかにも、単身の当事者に向けた施策の整備や、就労支援、区立中学での男女別制服の見直しなどを求める意見が上がりました。「区議の発言は、区の風土の問題。研修や啓発を強化してほしい」との声もありました。
 近藤区長は「一つひとつ意見交換をして、できることからやっていきたい」と述べました。

 「これを機に、変化できる区として全国の見本となる自治体になってほしい」というのが、参加したみなさんの共通の思いだったと思います。以前にも差別発言で批判された議員の方がアライに生まれ変わったケースもありますし、区長さんにもぜひ「足立区が生まれ変わった」と言われるような取組みを進めていただきたいです。続報を楽しみにしましょう。

 
【追記】
 白石区議が12日、区議会厚生委員長を辞任しました(厚生委員会は福祉や衛生に関する施策を審議します)。委員会では理由を「一身上の都合」とだけ述べたそうで、委員からは「発言の責任を取ると明確に言ってほしかった」と批判の声も上がったといいます。この記事を書いた毎日新聞の記者の方は、「先日の本会議で述べていた「性の多様性を受け入れられるよう努力する」の中身を聞きたかったのですが、取材にも応じませんでした」とコメントしています。
 

参考記事:
性的マイノリティーの人たちと意見交換会 東京 足立区(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201104/k10012695521000.html
「仕方ない」はもう嫌 性的少数者、足立区長と意見交換(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASNCB6W55NCBUTIL02J.html
LGBT差別発言の東京・足立区議 「一身上の都合」で厚生委員長を辞任(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20201112/k00/00m/040/157000c

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