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南極で初のプライドが開催されました

 2020年11月18日、南極観測局など極地で働くLGBTQの人々が「氷の世界」にレインボーのポールを立て、初の「ポーラー・プライド」を祝いました。11月18日は科学・技術・工学・数学の分野で働くLGBTQの国際記念日に当たります。ポーラー・プライドは南極探検200周年を記念する行事の一環として開催されました。


 11月18日、南極や北極の観測局などで働くLGBTQの人々がレインボーフラッグを掲げたり、レインボーフラッグのポールを立てたりしてポーラー・プライドを祝う写真がソーシャルメディアに一斉に掲載されました(#PolarPrideのハッシュタグとともに)。レインボーカラーをあしらったペンギンやシロクマのピンバッジの画像もありました。

 ポーラー・プライドは外務・英連邦省極地地域局の公認・出資の下、英国領南極地域とサウスジョージア・サウス&サンドウィッチ諸島で公式に開催され、各国の極地地域のLGBTQも参加しました。
 英国南極観測局によると、11月18日はInternational day of LGBTQ+ people in STEM(science, technology, engineering, and mathematics)に当たり、この観測局をはじめ南極地域が強力にSTEMをフォーカスしているため、この日に開催されました。
 
 International day of LGBTQ+ people in STEMは、科学・技術・工学・数学の分野におけるLGBTQの業績や障壁に光を当て、その人たちを祝福する日です。
 職場のLGBTQへの敵視、差別のせいで、STEM分野で働くLGBTQの28%が離職を考えたことがあり、トランスジェンダーではしょっちゅう辞めようかと考える人が20%にも上っています。自然科学の分野でのLGBTQの研究者の1/3が現役の間、クローゼットにとどまることを余儀なくされています。トランスジェンダーやノンバイナリーの科学者の1/2が職場でハラスメントに遭っています。ゲイ・バイセクシュアル男性の理系の学生の中でそのまま学術研究に携わろうと思う人は、異性愛者よりも少ないということも明らかになっています。これらの統計は、STEM分野のLGBTQが他の分野より大きな困難に直面していることを物語っています。
 なぜ11月18日がInternational day of LGBTQ+ people in STEMに選ばれたかというと、天文学者であり偉大なゲイ・アクティヴィストであるフランク・カメニー※が初めて職場での差別禁止を最高裁に訴えた日から数えて60周年を迎えることを記念したものです(1960年、カメニーが最高裁に訴えた訴状が受理された日が、11/18でした)
 
※フランク・カメニーは20世紀の偉大なゲイの活動家の一人で、同性愛者差別に対して初めてアメリカの最高裁判所に異議を申し立て、ストーンウォール以前の最初期のデモを率い、ゲイであることを公にした初めての連邦議員候補でもありました。精神医学界が同性愛を精神病と決めつけることへの抗議や、ソドミー法撤廃への闘いにも携わりました。
 
 英国領南極地域のバロネス・サグ領事は、ポーラー・プライドは、この地で働く人にとって「LGBTQの同僚へのサポートを示し、多様性を祝福する」機会だと声明で述べました。「私はまた、この地の同僚が南極の保護という活動により自信を持って携わってくれるようになるためにも、インクルージョンを望んでいる」
 
 南極探検隊で生物地理学を担当し、カミングアウトしているヒュー・グリフィス博士は、「この声明は、南極で働いている人々のLGBTQの支援とインクルージョンの可視化として偉大なステップだと感じる」と述べました。
「初期の探検隊員は、彼らが直面していた差別や孤絶の解決を望んでいた。同時に科学者のコミュニティではオープンに語られてこなかった。この声明は、素晴らしいインクルージョンに向けた重要な前進を示している」

 英国南極観測局によると、ポーラー・プライドは南極観測200周年を祝う行事の一環でもあるそうです。
 11月は、南極地域の夏の始まりでもあります。英国領南極地域とサウスジョージア・サウス&サンドウィッチ諸島では、何組かの同性結婚式も予定されているそうです。

 日本にも昭和基地があり、南極地域観測隊として赴任すると1年4ヵ月くらい帰って来れないそうですが、もし観測隊がLGBTQにとって差別的でとてもじゃないけどカミングアウトできないような環境だったとしたら、当事者の隊員の苦しみはいかばかりか…と胸が痛みます。英国でも以前はそのような状況があったそうですが、当事者+アライの方々の活動の積み重ねのおかげで、こうして南極でもオープンに多様性を祝し、国が極地のLGBTQを公に支援するまでになったのは、素晴らしいことです。
 
 プライドは世界中で行なわれているとはいえ、まさか南極や北極ではありえない(パレードしても観客はペンギンかシロクマしかいないよね)と思われていたことでしょうが、2020年、このような形でプライドが実現しました。今や、南極大陸にもレインボーフラッグが掲げられ、プライドはついに全大陸へと到達したのです。となると、次の目標は…宇宙でしょうか?
 

参考記事:
First Polar Pride Raises Rainbows Over North and South Poles(Advocate)
https://www.advocate.com/pride/2020/11/20/first-polar-pride-raises-rainbows-over-north-and-south-poles

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