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8/5、札幌地裁で同性婚訴訟の原告カップルらが証言台へ、日本初の同性婚判決は来年2〜3月になる見込み

 全国5つの地方で行われている「結婚の自由をすべての人に」訴訟(Marriage For All Japan)のうち札幌地裁で初めて、8月5日(水)に原告と証人への「尋問」※1が行われます。ハフィントンポストの「同性婚訴訟は正念場へ。最初で最後の尋問「抽象的な同性愛者の話ではなく、目の前の人がどう生きるかという話」」から、この尋問が持つ意味をお伝えします。

※1 尋問:訴訟において証拠調べの最終段階となるのが、本人尋問・証人尋問です。本人や証人が実際に裁判所の法廷に来て、公の場で語り、その言葉が「証言」とし調書化され、裁判所の証拠となります。

 昨年2月14日、国が同性結婚を認めないのは婚姻の自由を保障する憲法24条や法の下の平等を保障する憲法14条に違反しているととして、全国の戸籍上同性であるカップルが札幌、東京、名古屋、大阪で一斉提訴を行いました。9月には福岡で追加提訴が行われ、また、今年3月には熊本県在住の同性カップルも原告に加わりました。
 一斉に提訴されたものの、各地裁の進行状況は異なり、特に今年に入ってからは、新型コロナウイルスの影響で裁判が延び延びになっている地裁もあります。そんななか、札幌地裁は、他の地裁よりも進行が早く、8月5日の弁論期日※2に、原告と証人への尋問が行われます(東京、名古屋、大阪は今年2月に第4回期日が実施されて以降、中断が続いています)
 Marriage For All Japan共同代表理事で弁護士の寺原真希子氏によると、札幌地裁の進行が早い理由のひとつは「訴訟指揮がしっかりしているから」だそうです。「国は当初『憲法は同性婚を想定していない』と繰り返すのみで、実質的な主張をしてきていませんでした。これに対して、札幌地裁では、裁判所が国に対して、『しっかり説明をしなさい』と指示をしました。充実した審理をすることについて積極的な姿勢が伺えます」。ただし、訴訟指揮が丁寧であることと原告の主張が認められるかは別問題だそうです。「判決の結論にかかわらず、裁判所が一つひとつの論点について丁寧な理由を述べることを期待しています」

※2 期日:裁判では、裁判官や検察官、弁護士らが出廷し、書類を提出したり、意見陳述を行ったり、公開の法廷で双方の代理人が意見陳述を行ったり(口頭弁論)、原告や証人が直接意見を述べたり(尋問)、(場合によっては)和解のための話し合いが行われたり、判決が言い渡されたりという節目のことを「期日」と言います。

 札幌では3組の同性カップルが原告になっています。昨年4月の札幌地裁の意見陳述期日で、原告の一人、20代の佳織さん(仮名)は、「私たちは交際12年になる女性どうしのカップルです。私たちの日常生活は本当にありふれたものです」と語りはじめました。パートナーに夕食を作ってもらったり、休みの日に一緒に出かけたり、他のカップルと何も変わらない生活を送っています。でも、「非常事態が起きれば、異性どうしのカップルとは比べものにならないくらいの障害が待ち構えています」。もしどちらかの身に何かあったとき、法律上の親族ではない佳織さんには、連絡が来る保障はありません。結婚できないことが壁となり、どれほど深く互いのことを思っていても将来を描くことはできません。「常に不安定な立場。支えあって生きる二人が同性どうしだというだけで、なぜ」と佳織さんは訴えました。数年前まで不安と失望で「早くこの世からいなくなりたい」と自殺を考えていたことも明かしました。「結婚できず、刹那的な関係を結ぶ人が多いのでは。家族になれないことで孤独を抱えたままの人もいます」「この人と一緒にいたいと思った時、支えになるのが結婚という制度。同じ人間なのに、異性どうしでなければ認められないのはおかしい。国が私たちの存在を無視しているのと同じです」

 8月5日の10時から札幌地裁で行われる期日では、原告5人に対する本人尋問と、原告の姉1人への証人尋問の計6人に対する尋問が行われるそうです。
 寺原氏は「これまで法的な主張についてのやりとりをしてきましたが、次回は原告や証人に対する尋問が行われます。尋問で話すことは裁判における『証拠』となる重要な場面です」「尋問が終わると判決期日を決めて弁論が終結するため、裁判の最終局面になります」「まず一人ずつ証言台に立ち、原告代理人からの主尋問が行われます。原告や証人は一問一答形式で答えていきます。その後、被告代理人である国側からの反対尋問が行われ、必要があれば裁判官からも補充尋問があります」
 寺原氏によると、今回の訴訟では国側はほとんど反対尋問をしてこない可能性が高いといいます。「原告や証人は同性婚が認められないことによる不利益など、個人的な話について語っていくことになると思います。(国側も)個人の経験を否定することはできないので、おそらく反対尋問では国はほとんど質問してこないでしょう」
「今回の訴訟では憲法違反か否かが問われているので、学説などのいわゆる“机の上”での議論に重きをおいて、裁判所が判決を下すおそれがあります」
 この尋問の意義について寺原氏は「同性婚ができないことで、こんなに深刻な不利益を被ったり辛い状況に追い込まれている、まさに『個人の尊厳』が侵害されているんだということを立証するのが、今回尋問を行う目的です。そのためには、一人ひとりの当事者の実態をしっかりと裁判官に伝える必要があります」と語ります。「この訴訟の根源に、憲法13条や24条2項が謳う『個人としての尊重』、『個人の尊厳』という視点があることを、裁判官には改めて思い出してもらいたいと思います。尋問は、同性婚がないことによって個人の尊厳が日々傷つけられていることを判決に反映させるための重要な局面です」と語ります。「このことについては、これまで我々弁護士も書面で強く主張してきましたが、やはりご本人から裁判官に対して生の声を直接伝えることでしか、伝わらないことがあります。この訴訟は、“どこかにいる抽象的な同性愛者”の話ではなく、いま、目の前にいる人が、今日、明日をどう生きるかという話なんだということを、裁判官には改めて認識してもらいたい。今回の尋問はそのために必要なものです」

 寺原氏は、おそらく10月頃には弁論が終結し、来年2月~3月頃に地裁判決が出るのではないかと見ています。
 同性婚に関する日本で初めての裁判所の判断が、来年2月~3月頃に札幌地裁で出ることになりそうです。その後、東京や名古屋、大阪でも順次、判決が下されることになります。
 札幌地裁の判決が他の地裁判決へ影響するのかどうか、という点について、寺原氏は「裁判官はそれぞれ独立した存在なので、他の地裁の裁判官がどのような判決を下しても、自らの判断に従って判決を下すことになります」と語っています。「ただ、同性婚についての初めての判決であり、また、札幌は高等裁判所も所在する大きな都市でもありますので、他の地裁の裁判官への心理的な影響は否定できません」
 
 それぞれの地裁で判決が下された後、原告(同性カップル側)が勝っても、被告(国側)が勝っても、負けた方が控訴し、高等裁判所に持ち込まれ、控訴審判決後も負けた方が上告し、最高裁判所へと続いていく(最終的に5年くらいかかる)と見られています。
 寺原氏は「実は原告への尋問が行われるのは、地裁が最初で最後なんです」と語ります。高裁での控訴審は、1回の期日で終わることも多く、期間は半年ほどで終わることも少なくないそうです。最高裁では代理人による弁論は行われる可能性はあるものの、原告の尋問は行われないそうです。
「そのような意味でも、ぜひ札幌地裁の尋問に注目してほしいと思います」

 

 
参考記事:
同性婚訴訟は正念場へ。最初で最後の尋問「抽象的な同性愛者の話ではなく、目の前の人がどう生きるかという話」(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f21584fc5b66a5dd6377eae

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