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エルトン・ジョンが、日本国籍ゆえに英音楽賞から外されたクィア・アーティストRina Sawayamaを応援してくれています

「ネクスト・ガガ」とも称され、英国で大ブレイク中の新進気鋭のシンガーソングライターで、パンセクシュアルであることをオープンにしているRina Sawayamaが、英国籍がないことを理由に「マーキュリー賞」の候補から外され、波紋を呼んでいます。そんななか、以前からRina Sawayamaの才能を絶賛していたエルトン・ジョンが、あらためて彼女のデビューアルバム『SAWAYAMA』を推して応援してくれました。 


 
 リナ・サワヤマは1990年に日本の新潟県で生まれ、4歳の時に英ロンドンへ移住。名門ケンブリッジ大学を卒業し(学生時代は人種差別によるいじめに苦しんだそう)、大学卒業後に音楽活動を本格始動させ、2013年にシングル「Sleeping in Waking」でデビュー。2017年にはシャミールとのコラボレーション「Tunnel Vision」含むミニアルバム『Rina』をリリースし、『FADER』誌の「2017年知っておくべきアーティスト」や、『DAZED』誌による「DAZED 100(次世代を担う100人)」に選出されるなど、大きな注目を集めました。モデルとしても活躍し、『VOGUE』誌やアディダス、ヴェルサーチといった大型ブランドのキャンペーンにも起用されました(昨年は「VOGUE JAPAN Women of the Year 2019」を受賞しています)
 2018年9月には、ジェンダーレスな恋愛感情を歌う「Cherry」をリリースし(ダンサーが全員ゲイと思われる素敵なMVも発表し)、その際、自身がパンセクシュアルであることをカムアウトしました。これまでになくパーソナルで、ポリティカルだというこの楽曲についてRinaは、こう語っています。「私はいつも女の子についての曲ばかり書いてきた。これまで自分の曲で男性について触れたことがないと思ったから、その理由について話したかった。(パンセクシュアルの人は)私にとってはまだ表舞台での露出が少ない。自分のセクシュアリティをあまり受け入れることができなかったのは、TVにもどこにも、指を指して「ママ、見て! 私が言っていたのはあの人みたいなことだよ!」と言えるような人がいなかったからだと思う」「トロイ・シヴァンやヘイリー・キヨコのような素晴らしいミュージシャンがすでに世の中にはいる。みんなが声をあげていくことで、アンダーグラウンドな世界に留まっているだけじゃなく、メインストリームにクイアな感覚を浸透させていくことは可能だと思う」
 昨年6月、米『Bustle』マガジンの「プライドマンスにあなたを踊らせてくれる17人のブリティッシュLGBTQアーティスト」という記事で、サム・スミスやジョージ・マイケル、ボーイ・ジョージらと並んで、フィーチャーされました。7月にはブリトニー・スピアーズ、カイリー・ミノーグ、クリーン・バンディットらと並んでブライトン・プライド(英国最大級のパレード)のステージでライブを行なっています。
 昨年11月には、超強力なメタル・サウンドに乗せて人種差別による怒りと解放を歌う「STFU!」をリリースし、話題になりました。
 今年1月には、「Comme Des Garçons (Like The Boys)」をリリース、「どうすればRinaにいつも愛をくれるゲイの方々と同じような自信を持つことができるか」という歌で、華麗で躍動的なクラブ・トラックです(MVでは、Rinaが男の子っぽく振る舞いつつ、やはりセクシーな男性たちにかしづかれるシーンも出てきます)。ブラジルのドラァグクイーン、パブロ・ヴィタールをフィーチャーしたリミックス版も発表しています。
 そして今年4月、デビュー・アルバム『SAWAYAMA』がリリースされ、英『Guardian』紙の〈The best album of 2020 so far〉に選出されるなど、高い評価を得ています。
 「STFU!」「Comme Des Garçons (Like The Boys)」に次ぐ3rdシングル「XS」は、コマーシャリズムのバカバカしさに焦点を当てた曲で、MVは通販番組のパロディで、Rina自身があやしい商品を売ってる女社長の役をコミカルに演じていて、キャンプです(ゴミ捨て場で倒れてるシーンとか、二丁目ノリかも)
 そして「今、家族だと思っているクィアな友達にこの歌を捧げます」として4thシングル「Chosen Family」が発表されました。「“Chosen Family”は私にとって、とても特別な曲です。「選ばれた家族」という概念は、奇妙なものです。LGBTQ+の人々は、しばしば家から追い出されたり、家族、友人、コミュニティから疎外されます。これは信じられないほどの痛みを伴う経験で、彼らは新しく「選ばれた」家族を見つけることで状況を改善します。「We don't need to be related to relate, we don't need to share genes or a surname(共感のための共感はいらない 苗字や遺伝子を共有しなくたっていい)」という歌詞は、相違を感じている全ての人が、彼らが愛されていると感じることができる、「選ばれた家族」を見つけるための招待状です。私は今、家族だと思っているクィアな友達にこの歌を捧げます。私は彼らをとても愛していて、彼らがいなければ、今自分が生きていると思えないので、心からに彼らに感謝しています」
 5月にはアルバムからの最後のシングルカットとなる「Bad Friend」のMVが公開されました(日本の酒場で紳士の恰好をしたRinaが友人と酒を飲み、殴り合いに発展するというものでした。その変幻自在っぷり、表現の幅の広さに驚かされます)。この曲はSpotifyで話題の新譜を紹介する超人気のプレイリスト「New Music Friday」において、30もの国と地域で選出されています。 
 
 しかし、これだけ話題になり、評価され、素晴らしいアーティストであるRina Sawayamaが、英国とアイルランドで毎年最も優れたアルバムに贈られる「マーキュリー賞」の最終候補の12組に選ばれず、波紋を呼んでいます。
 『SAWAYAMA』は、エルトン・ジョンが自身にとっての「アルバム・オブ・ザ・イヤー」だと絶賛し、英メディアの平均レビューで8.9の高評価を獲得する大本命であったにもかかわらず、「マーキュリー賞」や「ブリットアワード」といった英国の音楽賞には英レコード産業協会(BPI)が国籍条項を設けているため、英国への永住権は持つものの国籍は日本であるRina Sawayamaは、選ばれなかったのです(他の英作曲家賞は、直近の1年間英国に住んでいたことを証明できれば受賞資格を満たすそうです)
 Rina Sawayamaは米『Vice』のインタビューで「本当に胸が痛みました。人生の全てをここで過ごしました。少なくとも祝福される資格があると思う方法でイギリスに貢献してきたと感じていました」と、無念を語りました。
 この報道を皮切りに、マーキュリー賞のスポンサーでもあるBBCをはじめ、『Guardian』紙、『Independent』紙など20以上のメディアがこの問題を取り上げました。
 「#SawayamaIsBritish」のハッシュタグが英国のトレンド1位となり、国籍条項の撤廃を求める署名活動など、Rinaへの支援の輪が広がりました。
 そして、英国が世界に誇るサー・エルトン・ジョンは、自身のインスタグラムであらためて、『SAWAYAMA』を「自分が好きな2020年の2つのアルバム」の1つに推し、応援してくれました。
 
 いつか「マーキュリー賞」や「ブリットアワード」の国籍条項が見直され、Rina Sawayamaが受賞できるようになるとともに、UKのクィア・アーティストとしてさらに世界的な活躍を見せてくれることを期待します。
 

Rina Sawayama『SAWAYAMA』



参考記事:
リナ・サワヤマの新曲はジャパン セクシャルなポップソング(iD)
https://i-d.vice.com/jp/article/m7qe3p/stormzy-wiley-beef-explainer
「ネクスト・ガガ」と称賛されるリナ・サワヤマの素顔 #30UNDER30(Forbes JAPAN)
https://forbesjapan.com/articles/detail/29356
The 1975も魅了した日本人、リナ・サワヤマが発信する歪んだ社会へのメッセージ(Rolling Stone Japan)
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/33663
リナ・サワヤマ、LGBTQ+の友人に捧げる新曲「Chosen Family」配信(音楽ナタリー)
https://natalie.mu/music/news/374032
あのエルトン・ジョンが29歳の日本人女性シンガー・ソングライターを大絶賛(デイリースポーツ)
https://www.daily.co.jp/gossip/foreign_topics/2020/06/18/0013433142.shtml
エルトン・ジョンも注目するリナ・サワヤマ、デビュー・アルバムから「Bad Friend」のMV公開(CDJournal)
https://www.cdjournal.com/main/news/rina-sawayama/86204
音楽に国境はない 国籍を理由に英音楽賞受賞の夢を断たれた歌手リナ・サワヤマさんが訴えたかったこと(Yahoo!)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200731-00190896/

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