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東京都、パートナーが同性である都職員への慶弔休暇などの適用を検討へ

2020年09月30日

 9月29日の都議会定例会で、パートナーが同性である東京都職員への慶弔休暇などの適用について、小池百合子都知が「検討を進める」と述べました。
 
 昨年8月、パートナーが同性である東京都職員が慶弔休暇や結婚祝い金などの職員向け福利厚生制度を受けられないのは不当な差別だとして都人事委員会に改善を求めました。しかし今年7月、この措置要求が却下され、性的指向を理由とした差別を禁じる都人権尊重条例に反するのではないか、との声が上がっていました。

 都政新報は9月15日〜25日、都に改善要求を行なったTさんとSさんに取材し、「虹の彼方 LGBT職員の労務環境」という連載記事を掲載しました。
 お二人は2018年の都議会第3回定例会で人権擁護条例が可決されたことで、都が(千葉市や大阪市などと)同様に運用を改善するのではないかと期待していましたが、昨年4月の全面施行後も、職員労務に関しては具体的な取組みが見られなかったため、行動を決意したそうです。しかし、約1年が経って、却下の判定が下りました。
 判定書によると、これまでに休暇や福利厚生など制度利用の申請がなかったことや要求の趣旨から「婚姻制度の前提の変更を求めている」とし、措置要求制度では取り扱わない「立法的措置」の要求と見なされたそうです。
 これに対し、Tさんは「他の自治体では立法的措置がなくても運用で認めており、そうした対応を求めたのに…」「私たちは決して優遇を求めているわけではない。普通の職員として扱ってもらいたいだけ」と、Sさんは「都は性的マイノリティの人権啓発など外面ばかりの印象。都庁に差別的な制度が残っており、それに苦しむ職員がいることにも目を向けてほしい」「私たちの行動で少しでも困っている職員のことがわかれば、行政側も動いてくれると信じたい」と語っていました。
 9歳年上の同性パートナーと生活を共にする50代の都立学校教員のSさんは、特に介護休暇の緊急性の高さを感じています。配偶者や事実婚のパートナーには180日以内の介護休暇が認められているのに、同性パートナーは対象外だからです。
 大阪府では、同性パートナーと暮らす府職員にも介護休暇や慶弔休暇の取得を認めており、府の同性パートナーシップ証明などがあれば受けられます。今年7月には鳥取県でも認められました。大阪府も鳥取県も、カミングアウトの強要やアウティングを防ぎながら手続きできるようにする方法に腐心しているといいます。
 一方、東京都は昨年12月、性自認と性的指向に関する基本計画を策定し、窓口担当職員らへの講習会の実施など、継続的な普及啓発を盛り込んだ一方で、当事者の職員のための取組みは、採用試験時の性別記載欄の廃止にとどまり、休暇や福利厚生に関することは盛り込まれませんでした。都総務局人事部は「現在の婚姻制度を前提として、まずは都民一人ひとりの理解を得ることが必要」と強調、他の道府県や政令市の事例を調査・研究している段階で、具体的な検討には至っていないのが実情です。
(都政新報「虹の彼方 LGBT職員の労務環境」より)



 そうしたなか、小池百合子都知事は29日、都議会定例会の代表質問で、都職員休暇制度について「職員一人ひとりの不安を解消し、性自認及び性的指向、育児や介護の事情にかかわらず活躍できるような制度の見直しを検討していく」と述べました。都によると、現在認めていない同性パートナー間の慶弔休暇などについても検討を進めるとのことです。

 都が、具体的な検討には至っていなかったところから「検討を進める」という姿勢へと転じたことは前進として評価できます。今後のさらなる進展を期待します。

 

参考記事:
<論戦 都議会>都職員 休暇制度の見直し検討 同性カップルにも配慮(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/58671

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