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「自分史上最高のドラマ」アンケートで『おっさんずラブ』が圧倒的1位に輝きました

2021年01月17日

 文春オンラインが「人生で最も心に残っている『自分史上最高のドラマ』は何ですか?」とのアンケート調査を行なったところ、『おっさんずラブ』が圧倒的1位に輝きました。

 このアンケートは、文春オンラインが、メルマガの読者に対して、これまで日本で放送されたすべてのTVドラマを対象に、「自分史上最高のドラマ」を尋ねたもので、3433票(男性51%、女性49%)もの熱い声が集まりました。昨年7月3日から31日までの約1ヶ月間にわたって実施され、1位=7点、2位=5点、3位=3点、4位=2点、5位=1点として集計。同一タイトルのシリーズ作品、リメイク作品は1つの作品として集計したものです。
 結果、3位の『半沢直樹』(467票)、2位の『JIN -仁-』(481票)に大差をつけて、『おっさんずラブ』(690票)が1位に選ばれました。(なお、最終回でまさかのゲイカップルが誕生した「逃げ恥」が8位にランクインしていました。『きのう何食べた?』などは圏外でした)

 『おっさんずラブ』(テレ朝系)はもともと、春田(田中圭さん)と黒澤部長(吉田鋼太郎さん)、長谷川(落合モトキさん)の三角関係を描くラブコメとして2016年12月31日深夜に放送された単発ドラマですが、視聴者からの絶賛を得て、2018年には全7回の連続ドラマとしての放送が実現しました。2018年版は、田中圭さんと吉田鋼太郎さんは続投で、長谷川と同じような役柄の牧凌太を林遣都さんが演じ、「はるたん」と牧のカップルは視聴者の熱い支持を得ました。深夜ドラマ枠で視聴率は1桁台でしたが、Twitterトレンドで毎週上位を独占するほどの反響を呼び、社会現象ともなり、数々のドラマ賞でグランプリや最優秀俳優賞を獲得し、同年の流行語大賞にも選ばれ、映画化も決定しました。2019年には『おっさんずラブ-in the sky-』がシーズン2として放送され、キャストや設定が大きく変更されました。
 男どうしの恋愛を描く作品といえば、以前は同性愛を「ネタ」にしてイロモノ、キワモノとして描くような作品がほとんどでしたが、『おっさんずラブ』は違いました。テレ朝ドラマ部の若手女性プロデューサー・貴島彩理さんが、イマドキの同性愛への偏見が全くない世代の人として、自らの経験から発想した王道の恋愛ドラマとして『おっさんずラブ』を誕生させ、「誰かを傷つけてしまうドラマになっていないか」という配慮をしながら、また、キャストの皆さんもきちんと趣旨を理解したうえで真面目に演じてくれたおかげで、あのような名作となったのです(こちらに貴島さんの語りが収録されています)
 そうして大真面目に「おっさん」の純愛を追求した結果、現実離れしてると感じさせるほど直球で盛大な告白のシーンや、プライドを感じさせるほど大胆なカミングアウトのシーンなどが盛り込まれ、ゲイが観ても素晴らしいと感じさせるような感動的な作品になっていたと思います。初めて男性どうし(しかも中年の男性)の恋を大真面目に描いた王道の恋愛ドラマであり、世間の方たちにもLGBTQにも支持されるようなドラマでした。そういうドラマの出現を時代が求めていた(長い間、待っていた)ということも言えるでしょう。以前のような、それこそノンケの「おっさん」の、ゲイをバカにして嘲笑するような感覚で作られていたら、ここまでの人気、反響、評価はありえなかったでしょう(炎上したり、駄作だと見なされたはず)。時代の要請と、一人の女性の才覚と、素晴らしいキャスト、いろんな好条件が重なって奇跡的に誕生した名作なのだと思います。
 
 圧倒的な1位となった『おっさんずラブ』の3種類のドラマのなかでも、やはり圧倒的に票数を集めたのは2018年版だったそうです。以下にコメントを紹介します。

■2018年版
「ドラマの良さは視聴率では測れない、という事実をこれでもかと示した最高傑作。土曜の深夜、7話完結、平均視聴率4.0%。これまでの名作ドラマではありえない。がしかし、その人気は凄まじく、2018年の社会現象と言われ、SNSでの盛り上がりは2年以上たった今でも驚くほど健在」(53・女)
「いろいろ画期的なドラマだった。はじめは吉田鋼太郎の怪演と田中圭のかわいらしい受け身演技をおもしろ半分に観はじめたが、林遣都の好演も光り、最後はピュアな純愛物語を見たような多幸感に包まれてビックリした。普段、人にドラマなどすすめないが、この作品だけはすすめました」(35・女)
「全7話どの回を見ても楽しく予告を見て次回まで待ち遠しかった。男同士の恋愛でも、純粋に人を愛することの素晴しさを知った」(51・男)
「コメディもラブロマンスに変えてしまう林遣都の演技に引き込まれた。出演者も茶化さずに真摯にいてくれたおかげで、今でも東京の何処かにいるのではないのかと思う位のリアリティがあった」(46・女)
「第6話から最終回までのいわゆる『地獄の1週間』は本当に食欲も無くなり、痩せました。そして最終回の後は、しばらく幸せオーラが出ていて、周りから『最近きれいになったね』といわれるほどでした。実生活にこれほど影響を与えるドラマにはもう出会えないと思います」(49・女)
「一挙放送で、ハマってしまい毎日毎日300回近く見ました。その後の劇場版なども30回近く映画館に通った記念のドラマです」(63・女)
「牧凌太くんの幸せだけを願ってやまない日々を送り、生まれて初めてドラマの中の登場人物を思い、1週間毎に悲しみ、最終回後は歓喜の涙を流した。2年が過ぎた今でも変わらずに幸せを祈り続ける自分にビックリしている」(51・女)
「テレビドラマ史上もっとも好きな作品」(80・女)
「恋愛ドラマの金字塔。このドラマほどピュアに不器用に恋する大人を、コメディを盛り込みつつも切なく描いた作品は他にない」(53・女)
「こんなにドラマに心打たれたことはない。作り物だなんて思えなかった。それくらい、台本を超えて春田と牧はそこに生きていたし、心から惹かれ合っていた。ドラマじゃなくドキュメンタリーだと言いたい」(41・女)
「放送から2年経っても春田と牧の幸せを願って止まないファンたちがたくさんいる」(45・女)

■2019年版
「男性同士のコメディラブドラマという印象だった単発と2018年版を経て、しっかりと傷つき、もがきながらも自分自身の愛と向き合うといったリアルなラブストーリーに変貌していたのが今作」(43・女)
「登場人物のリアルで繊細な感情がひしひしと伝わるドラマ。切なさがなんとも言えず好き」(42・女)
「とにかく毎週ドキドキしたし、田中圭と千葉雄大のお似合いっぷりがたまらなかった」(27・女)
「結末は納得していないけど、面白かった」(40・女)
「LGBTの人も悩まずに普通に仕事や恋愛をしていて、あたたかい世界。父と娘が同じ男を取り合う設定がスゴイ」(50・女)


参考記事:
【自分史上最高ドラマ トップ10】「おっさんずラブ」堂々1位! 半沢、JIN、北の国、あまちゃんが肉迫――2020 BEST5(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/42421

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