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オープンリー・バイセクシュアルのタイラー・ライト選手が『SurferToday』の「アスリート・オブ・ザ・イヤー」を受賞

 ハワイのパイプラインで昨年初開催された女子大会などで優勝し、バイセクシュアルであることをカミングアウトしているオーストラリアのタイラー・ライト選手が、このたび『SurferToday』誌が選出する「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に輝きました。

 サーフィンに関する海外メディア『SurferToday』誌は10年以上にわたり、サーフィン、カイトボーディング、ウィンドサーフィン、ボディボードの各カテゴリーから1名ずつ「アスリート・オブ・ザ・イヤー」を選出していますが、2020年は試合がほとんどなかったため、全体で1名の表彰へ変更となり、タイラー・ライト選手が「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に選出されました。  
 選出理由として『SurferToday』は、以下のようにコメントしています。
「今回の表彰フォーマットの変更は、新型コロナによりほぼすべての大会が中止となり、多くの選手が試合に参加できなかったことが一因です。しかしタイラー1人を表彰するに至ったのは、世界中にはびこる人種差別と性的指向の差別の問題に対して、唯一公の場で声をあげたウォータースポーツのプロ選手だったからです」 
 
 タイラー・ライトはまた、『MagicSeaWeed』誌の「トレンディング・サーファー・トップ50」女性ランキングでも10位に選ばれています。

 タイラーは昨年9月、豪グランドスラムの初戦「ツイードコーストプロ」の初日に、BLACK LIVES MATTERと書いたサーフボードで登場し、自身のヒートが始まってから約8分間、膝をつき、片手を上げて黙祷を続けました。その写真は強く明確なメッセージとして、サーフィンの精神とルーツである自主性や自由の概念を改めて認識させたといいます。この大会でタイラーは優勝を果たしています。
 ツアー本格復帰に向け準備していた3月にパニック発作を起こしていたと告白したタイラーは、「助けを求められる人たちがいると知ること、隠したり恥じるべきではない」と訴えました。 
 そして昨年12月、ハワイのパイプラインで初開催された女子大会で、タイラーは自身がバイセクシュアル女性であることを改めてカムアウトし、肩にプログレス・プライド・フラッグを着けたジャージで出場。そして見事にこの大会を制したタイラーは、名実共に最も影響力のあるアスリートであることを証明しました。
 
 『THE SURF NEWS』の記事によると、長い間サーフィン界は男性優先で、女性の活躍する場が非常に限られていたそうです。
「ハワイだけとってみても、男子プロサーファーはノースショアのプロ大会で好成績を出せばCT(WSL=世界プロサーフィン連盟が運営するチャンピオンシップ・ツアー)にクオリファイできるのに、ハワイ全土でWSLの女子大会が1つもない年もある。大会の賞金も2017年時点では男子CTの優勝賞金10万ドルに対して女子は6万。年間を通して、男子のトップ選手が同じような結果を出した女子選手よりも数十万ドル多く稼げる状況だった」
 このあまりにも不平等な現実を是正しようとCommittee for Equity in Women’s Surfing=女性サーフィン公平委員会が結成され、WSLの男女賞金同額の実現や、ホノルル市議会でのスポーツの男女平等条例(ホノルル管轄の公園やビーチパークにおいて許可申請が必要な活動を行うにあたり、ジェンダーの公平性を義務化するもの)の採択に大きく貢献したそうです。ハワイのパイプライン(毎年死者が出るような、世界一危険と言われるポイント)で史上初めて女性のCTが開催されたのも、こうしたジェンダー平等の闘いの成果だそうです。その記念すべき大会で性的マイノリティ女性が優勝したのは、象徴的なことかもしれません。
 
 プロスポーツ界における女性の地位向上の闘いの先駆者としては、元男子世界チャンピオンとの戦いに挑んだテニスのビリー・ジーン・キング選手が有名(レジェンド)ですが、彼女はオープンリー・レズビアンです。ジェンダー平等とLGBTQ平等の運動はしばしば共に手を携えて進められてきましたが、タイラー・ライト選手はきっと、50年前から連綿と続く(まだ終わっていない)闘いの最も新しいステージで輝いている方なのでしょう。
 
 
参考記事:
バイセクシュアル公表のタイラー・ライト「アスリート・オブ・ザ・イヤー」受賞(THE SURF NEWS)
https://www.surfnews.jp/news_topics/news/39602/
ノースショアのサーフィン大会で男女公平が条例化、女性サーフィンの進歩続く(THE SURF NEWS)
https://www.surfnews.jp/feature/inside_story/39456/

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