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サンフランシスコにゲイサウナが帰ってきそうです

2021年02月10日

 昨年来のコロナ禍の影響で、世界的にゲイバーやクラブが閉店の危機に直面しています。
 NYで最も老舗のゲイバー「Julius」、LAを代表するゲイバー「Eagle L.A.」「Redline」「Gym Bar」「The New Jalisco Bar」「Precinct」などが存続のためにクラウドファンディングを立ち上げ、サンフランシスコの「SF Eagle」は、最終手段として(NYの「ストーンウォール・イン」が国定史跡になったように)店をサンフランシスコ市の文化遺産的名所として認定してもらうよう歴史保存委員会に働きかけを行なっているそうです。その他の都市からも、ゲイバーやレズビアンバーの閉店や苦境の知らせが次々に届いています。
 
 閉店の危機に直面しているのはゲイバーだけではありません。ゲイサウナなどのハッテン場もそうです。
 
 1月26日、台北の「ANIKI」の閉店の知らせを聞いて驚いた方もいらっしゃることと思います(こちらの動画、ちょっと胸がいっぱいになりますね…)。2014年にリニューアルオープン直後の「ANIKi WOW!」をレポートさせていただきましたが、たぶんアジアで最高クラスの広さ、ゴージャスさ、清潔さで度肝を抜かれました。泡パーティの時などは長蛇の列ができていたそうです。それだけでなく、毎年パレードでフロートを出し、ゲイシーンにも貢献してきたお店だっただけに、本当に残念です。
 閉店の理由は明らかにされていないようです。台湾は世界一レベルで新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、休業要請もほとんどなかったと思いますが、やはり海外からのゲイ客が途絶えてしまったことが大きかったのでしょう。1月24日に桃園の病院でクラスター感染が起こり、厳戒態勢が敷かれ、大型のイベントの中止が決定、その直後に閉店がアナウンスされたので、おそらくそれが追い打ちになったのではないでしょうか。コロナ禍さえなければ、存続できていたことでしょう…。
 
 それから、ロンドンの伝説的なゲイサウナ「Chaiots Spa」が閉店したそうです。1996年に1号店がオープンして以来、最大で市内6ヵ所に店舗を構えるほどの人気を博しました。特にVauxhall店は「欧州最大のゲイサウナ」と銘打って、今まで現存していましたが、昨年3月以降、ロックダウンの影響でクローズしたままになっており、1月25日、「もう二度と開くことはない。清算のプロセスに入っている」とアナウンスしました。「今まで利用してくれたお客様たちとゲイコミュニティに感謝申し上げたい。皆さんがずっと元気でいられることをお祈りします」
 SNSには「ここでフレンチの恋人ができた」「個室のマットの上で親密な時間を過ごしたことが忘れられない」など。「生まれて初めて行ったサウナだった」「ゲイたちに安全な場所を提供してくれた」「これはロンドンのゲイコミュニティにとっての損失だ」といった声があふれました。
 元従業員は、「このパンデミックで全てのゲイ産業が打撃を受けている。僕は職を失い、素晴らしい同僚を失い、とても悲しんでいる」「Chaiotsが恋しい」と綴っています。
 
【追記】
 2月15日、ゲイ旅のツイートでバンコクの「バビロン」が閉店したとのアナウンスがあり、ショックが広がっています。プール、ジム、レストランなどを併設したアジア最大級のゲイリゾートで、ソンクランの時には泡パーティで盛り上がり、数々の伝説的なシーンを生み出してきた施設だっただけに、本当に残念です…。

 

 そんななか、唯一とも言える、明るいニュースが届きました。
 サンフランシスコが長きにわたるバスハウス(ゲイサウナ)禁止令を解き、今後、サンフランシスコにゲイサウナが戻ってくる道が開かれたのです。
 NYでもそうでしたが、エイズ危機の初期・80年代にゲイサウナが規制を受け、閉店に追い込まれました。サンフランシスコでは個室NG、客の監視を要求、という厳しい条件が付けられ、事実上、営業できなくなっていました(カストロに1軒だけ「Eros」というヤリ部屋があり、そこはこの規則を守っているそうです)。サンフランシスコの十数万人のゲイたちがサウナを利用するためには、対岸のバークレー市にある「Steamworks」まで行かなくてはなりませんでした。(一方で、ミックスルームのあるバーもあり、フォルサムストリートフェアのような一大野外SEXYイベントや、大胆なクラブパーティなども開かれていて、ゲイセックスに対してオープンではあります)
 カストロを含む8地区のゲイの市議(つまり、ハーヴェイ・ミルクの遠い後輩)であるラファエル・マンデルマンが昨年、市議会に働きかけ、ゲイサウナ規制の条例の撤廃を実現しました。鍵がかかる個室もあるような伝統的なゲイサウナの営業が可能になったのです。
 ラファエルは「これは今の時代、とても重要で、象徴的な意味を持つと思います」と語ります。
 今後きっと、これをビジネスチャンスとして新たにゲイサウナを建てる経営者が現れることでしょう。サンフランシスコのゲイシーンに新たなランドマークが誕生し、活気を見せることと思います。
 サンフランシスコはまだロックダウンの最中ですが、ギャヴィン・ニューソム知事は、段階的に解除していく方針です。

 


参考記事:
Julius', NYC's Oldest Gay Bar, Launches GoFundMe to Avoid Closure(Advocate)
https://www.advocate.com/business/2020/7/09/julius-nycs-oldest-gay-bar-launches-gofundme-avoid-closure
L.A. Gay Bars Are Being Devastated By the Pandemic. Here’s How You Can Help Save Them(them.)
https://www.them.us/story/los-angeles-gay-bars-crowdfunding-campaigns-the-eagle-redline-new-jalisco-bar-covid-19
Supervisors to vote on landmark designation for legendary gay bar SF Eagle(SFGATE)
https://www.sfgate.com/news/bayarea/article/Supes-To-Vote-On-Moving-Forward-With-Landmark-15916306.php
Historic gay sauna Chariots Spa announces permanent closure prompting outpouring of sticky memories(PinkNews)
https://www.pinknews.co.uk/2021/01/26/gay-sauna-chariots-spa-vauxhall-shoreditch-liquidation-coronavirus/
San Francisco Lifts Gay Bathhouse Ban(Advocate)
https://www.advocate.com/politics/2021/1/27/san-francisco-lifts-gay-bathhouse-ban

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