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山形県新庄市で当事者やアライの高校生たちが性的マイノリティをテーマとした写真展を開催しています

 3月1日から山形県新庄市の最上広域交流センターゆめりあで写真展「私たちは特別じゃない!」が開催されています。地元の高校生たちがモデルとなり、なにげない日常を写真に切り取りつつ、性的マイノリティに思いを寄せる内容となっています。この写真展を企画したのは「しんじょう・レインボープロジェクト」代表の新庄東高3年で性的マイノリティ当事者の大山心音(しおん)さん。「次の世代の高校生が、この地方の小さな町からhappyな人生を歩んでいけるよう、性的マイノリティをはじめ、多様性を認め合い、受容できる新庄・最上地域を目指して」クラウドファンディングを立ち上げ、周囲のサポートも得て、写真展を実現しました。

 大山心音さんは高校入学後、友人や教師から性的マイノリティについての話を聞くうちに「自分は男の子が好きなのか、女の子が好きなのか」と自問し、自分もそうだと気づいたそうです。友人たちへのカミングアウトの後、「性的マイノリティをさりげなく受け容れてくれるような地域になってほしい」と願い、2019年5月から「しんじょう・レインボープロジェクト」の活動を始めました。現在、市内3高校の女子生徒や卒業生、社会人など30人の方たちが活動に賛同しているそうです。
 クラウドファンディングのページで大山さんは「LGBTQ+の当事者である自分とLGBTQ+へ偏見を持っている自分の両者は、私の中で常に葛藤し、そのことでずっと苦しんできました」と語っています(とてもリアルで、当事者の苦悩を実に的確に言い表した言葉だと思います)。「小さな頃からなぜ、男子、女子と分けられるのか、学校生活でも男女に分けられた出席番号や、男性が先という謎のルールも不思議で、制服もスカートではなくスラックスがいいと強く思っていた時期もありました。高校生になって初めてLGBTQ+について知り、私以外にも同じく悩んでいる人がいるということを知りました。私はたまたま、周りから勇気をもらいカミングアウトできましたが、自分のように生きづらさを抱え、悩んでいる高校生はまだまだたくさんいることがわかりました。自分は仲間に恵まれ、理解してもらうことができましたが、地方ではまだまだ周知、認知されにくいのが現状です。私はもっと多くの人たちがジェンダーの枠にとらわれず、多様性を認め、一人ひとりが住みやすい日本、地域にしていきたいと思ったのがきっかけで、このプロジェクトを立ち上げました」
 
 周囲の方たちのサポートも得て、大山さんのプロジェクトはすぐに目覚しい成果をあげました。山形市出身のタレントぺえさんを招いたトークショーを開いたり、地域の大人の方と高校生、大学生、学校の先生を交えたアクティブ・ブック・ダイアローグ(未来型読書法によるミニ懇談会ワークショップ)を開催したり、また、新庄市内を中心に写真展を9ヵ所で開催しました。その時の写真展は、モデルの顔が写っていない作品を展示していたのですが、メンバーに写真を教える山形市の写真家・小関一成(かずあき)さんから「楽しく元気に前向きに活動していこう」とのアドバイスもいただき、今回は顔が見える作品も展示することになったそうです。
 写真展の資金をクラウドファンディングで募ったところ、1週間で目標金額を達成し、写真展の開催がが実現しました。
 会場の最上広域交流センターゆめりあには、プロジェクトメンバーの女子生徒が学校などで撮った写真約60点が並びます。女子生徒2人が仲良く並んだり背中合わせになったり、男子生徒が近寄っていたり。各作品には「友達としてなら、こんな風に笑えるのに」「この思いが認められたらいいのに」「変じゃない 特別じゃない 好きなだけ」「ありのままの私を受け入れてくれる人」といったキャプションが添えられています。
 大山さんたちと一緒にプロジェクトを立ち上げた市立図書館の高橋一枝副館長によると、活動を通じて性的マイノリティのことを理解する人が徐々に増え、プロジェクトをサポートする大人たちも約100人に広がっているといいます。
 
 山形県ではまだ同性パートナーシップ証明制度を導入する自治体がなく(東北地方全体で見ても青森県弘前市だけ)、大山さんも「地方ではまだまだ認知されにくいのが現状です」と語っているように、LGBTQへの理解や支援がまだまだ進んでいない、カミングアウトにたいへんな勇気を必要とするような地域ですが、そんな状況でも1人の当事者の高校生が立ち上がり、活動を始めたことで、こんなにも素敵な輪が広がってきたという物語は、全国の地方在住の当事者の方たちに勇気を与えることでしょう。

 また、この写真展の開催期間には東日本大震災から10年の節目となる3月11日も含まれます。震災後に東北の各地で性的マイノリティの方たちが声を上げ、活動を始めるようになり、この10年間で実に多彩な広がりを見せ、様々な感動的な瞬間を生み出してきたことを思うと、この写真展に写っている高校生たちの笑顔が、そうした「東北のLGBTQの10年」と「これからの10年」をつなぐ、希望の象徴のようなものだと思えてなりません。本当に素晴らしいです。


しんじょう・レインボープロジェクト写真展『私たちは特別じゃない!』
会期:3月1日〜3月27日
場所:山形県新庄駅ゆめりあ花の緑の交流広場
無料

 
参考記事:
LGBTQ+、もっと知って 新庄で高校生らが写真展(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP3171NVP31UZHB001.html

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