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「同性婚を認めないのは違憲」判決を受けて、同性婚の法整備を訴える世論が高まっています

 「同性間の結婚を認めず、国が法的保護を一切与えないのは不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法に違反する」との画期的な判決を受けて、新聞やテレビなどで同性婚を認める法制度の整備を訴える声がにわかに高まっています。
 
  
 3月17日の夕刊や、18日の朝刊の1面で札幌地裁の「同性婚を認めないのは違憲」判決について大きく取り上げる新聞もあったほか、18日から19日にかけては、たくさんの新聞が同性婚の法制化を求める社説を掲載しました。
 
 朝日新聞の社説「同性婚判決 「違憲」の解消を急げ」では、「少数者の基本的人権を尊重し、時代の大きな流れにも沿った判決であり、評価できる」と評されています。
「結婚制度は、ともに生きる2人の関係を公的に証明するもので、そこからさまざまな権利・義務など法律上の効果が生まれる。同性カップルをその枠外に置き続けるのを見過ごすわけにはいかない。国会と政府は不平等の解消に、ただちに乗りださなければならない」
「当事者にとってはそれぞれの人生や幸福に直結する問題である。野党3党は2年前、同性婚を法律上認めるようにする民法改正案を国会に提出したが、たなざらしになったままだ」
「司法の警告を受け止め、この国会で審議を始め、あるべき姿を探る必要がある。これ以上手をこまぬくのは、差別に加担し偏見を助長するのと同じだ」

 毎日新聞の社説「同性婚否定は「違憲」 人権尊重した画期的判断」では、「性的指向は多様であるのに、同性カップルは不当な扱いを受けている。そうした人たちの人権を尊重した画期的な判断だ」と述べられています。
「国は今回の判決を重く受け止め、権利を守る法制度の整備に乗り出すべきだ」
 
 東京新聞の社説「同性婚判決 社会意識の変化捉えた」でも、「性的少数者の人権を重んずるのは当然で、立法府は法整備を検討すべきだ」と述べられています。
「性別や人種などで差別があれば、むろん「法の下の平等」に反する。婚姻についても同性愛者の権利保護を明確にしたわけで、司法の役割は果たしたと評価できる。他の地裁で進む同様の裁判にも影響は必至だろう」
「国側は一貫して「同性婚は想定されていない」と繰り返し、旧民法下の「家制度」ばりの家族観を示す政治家もいる。
 だが、もはや性的マイノリティーに対する社会意識が大きく変化しているのは明らかだ。性的指向で婚姻まで差別するのは不当だとの司法メッセージを重く受け止めるべきである」

 日経新聞の社説「同性婚を巡る議論を深めたい」の書き出しは、「人の生き方はひとつではない。多様性を認め、すべての人が暮らしやすい社会の実現は、新たな活力を生む源泉にもなりうる。LGBT(性的少数者)の尊厳が守られ、安心して生活できる環境づくりはその大切な一歩だ」という素敵なものでした。
「家族のあるべき姿を巡っては国民に多様な意見があり、世代によっても受け止め方は異なる。同性カップルの保護をどう図るか、憲法改正にまで至る問題なのかなどは、国会や法務省の法制審議会のような場でよく議論すべきだ」
「重要なのは、同性カップルが被っている不利益をどうすれば縮小、解消できるかである。互いの法的相続人になれず、共同で子どもの親権を持てない、などの法的な制約が指摘されている。自治体がふたりの関係を公的に証明するパートナーシップ制度などを拡充する検討も急ぐべきだ」

 沖縄タイムスの社説「[同性婚禁止は違憲]時代の変化に沿う判決」は、「当事者が声を上げた画期的な訴訟で、時代の変化を踏まえた画期的な判断が示された」と述べています。
「愛する人と家族になって生きていく権利は誰にとっても重要だ。にもかかわらず同性婚が認められていないため、法定相続人になれなかったり、緊急手術の署名ができないなどの不利益は、人としての尊厳にもかかわる深刻な問題である。
 家族の在り方が多様化する中、国は判決を重く受け止め、法制化を含めた議論を急がなければならない」
「人権という観点から、もはや無視できない問題である。ボールは立法府に投げられた」

 同じく沖縄の、これまでも性的マイノリティを支援する記事をたくさん発信してきた琉球新報の社説「同性婚否定「違憲」 法整備を検討すべきだ」は、「少数者の基本的人権を救済する司法の役割を果たすと同時に、多様性を認め合う社会の流れに沿った画期的な判決だ。現状は差別だと裁判所が明確に踏み込んだ意味は重い。違憲状態の解消に向け、政府や国会は法整備を早急に検討すべきだ」としています。
「野党3党は19年に同性婚の制度化を図る民法改正案を衆院に提出したが、具体的な動きになっていない。伝統的家族観を重視する与党の自民党内に、同性婚の法制化に抵抗が強いためだ。この構図は、選択的夫婦別姓の導入を巡る議論にも通じる。結婚の自由や権利が全ての人に保障されることの意義は、性的少数者だけの問題ではない。
 制度的な不平等を放置すれば、少数者への偏見を助長することにもなる。多様化する家族の在り方に合わせた、柔軟な法制度が必要だ」

 京都新聞の社説「同性婚判決 「違憲」解消への議論を」も、「国に不平等の解消を迫った画期的な判決といえる」「政府と国会は制度の不備を早急に見直し、社会的支援の充実に努める必要がある」としています。

 中国新聞の社説「同性婚否定は「違憲」 多様な家族、認める国に」でも、「国は司法に指摘された「違憲」の現状を放置することなく、法整備に向け、国会での幅広い議論を急がねばならない」と述べられています。「誰もが自分らしく生きられる社会へ、多様な家族が重んじられる必要がある。国は早急に議論を始めるべきだ」

 信濃毎日新聞の社説「同性婚判決 「違憲」解消する法改正を」も、「憲法は個人の尊重を核に置く。多様な個のあり方を認めることはその前提だ。異性を愛する人も同性を愛する人も、結婚の自由は等しく保障されなければならない。同性婚の法制化へ、国会での議論を促す働きかけを強めたい」としています。

 河北新報の社説「同性婚訴訟で違憲判決/法整備へ議論を始める時だ」でも、「家族の在り方が多様化している。司法に促されるまでもなく、時代の変化に対応するのが立法府の責務だ。議論すらしないのであれば、怠慢のそしりは免れない」と述べられています。

 これまで、こんなにたくさんの新聞が一斉に同性婚の法制化を求める声を上げたことはありません。少し前までは、まずは国民へ理解を求めなくては、といった「両論併記」的な論調の記事も少なくなかったと思います。やはり司法判断は世論に大きな影響を与えるのだと実感させられます。


 新聞だけでなく、テレビでも同様の論調が見られました。
 判決が出た日の夜のNHKの『時論公論』でも、「日本は先進国首脳会議のメンバーとして唯一、同性婚あるいはそれに準ずる法律がない国です。国には、同性婚を認めている諸外国と同じように真摯に性的マイノリティの人たちの人権をどう守るか、向き合って欲しいと思います」と述べられています。

 有識者の方々からも、声が上がっています。
 脳科学者の茂木健一郎氏は、Twitterで「いつも思うけどこういう時『国』側は姑息な反論しないで、非を認めてとっとと同性婚とか法制化進めればいいのに」と述べています。
 元文部科学事務次官の前川喜平氏もTwitterで「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」と述べています。

 
 つい1ヶ月前、2月17日に国会で尾辻かな子議員が同性婚について質問した際の首相答弁は「家族のあり方の根幹に関わる。極めて慎重な検討が必要」という、これまでと全く変わらないものでした。
 しかし、3月19日、加藤官房長官は(札幌地裁の判決については「違憲だと考えていない」としていますが)「LGBTの人々は社会生活のさまざまな場面で課題が生じている」「各府省庁が責任を持って協力・連携して進めていくことが重要だ」と述べ、具体的なことは明らかではないものの、何かLGBT差別解消に向けた取組みを進めていくような方向性を示唆しました(まずは平等法の実現でしょうか)。固い岩盤がようやく少し崩れた感があります。
 
 先月、衆議院法制局が同性婚の法制化について「憲法上の要請であるとの考えは十分に成り立ち得る」との見解を示したことや、司法が「同性婚を認めないのは違憲である」と判断したこと、このニュースがテレビでも新聞でも盛んに取り上げられ、同性婚の法制化を求める声がたくさん上がったこと、そうした多方面から生まれてきたうねりのようなものが今、国という「山」を動かしているのではないでしょうか。
 このうねりの源に「結婚の自由をすべての人に」訴訟に携わった方たちの尽力があることは言うまでもありません。そして、これまで同性カップルの権利保障を求めて声をあげたり、パレードを歩いたり、結婚式をあげたり、幸せを願ったり、何かしらの行動をしてきたすべての方たちの思いが、ここへとつながっているのだと思います。
 

 
参考記事:
(社説)同性婚判決 「違憲」の解消を急げ(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/DA3S14836732.html
(社説)同性婚否定は「違憲」 人権尊重した画期的判断(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210318/ddm/005/070/102000c
<社説>同性婚判決 社会意識の変化捉えた(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/92205
[社説]同性婚を巡る議論を深めたい(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK197ED0Z10C21A3000000
社説[同性婚禁止は違憲]時代の変化に沿う判決(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/723082
<社説>同性婚否定「違憲」 法整備を検討すべきだ(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1288776.html
社説:同性婚判決 「違憲」解消への議論を(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/532089
同性婚否定は「違憲」 多様な家族、認める国に(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=735982&comment_sub_id=0&category_id=142
〈社説〉同性婚判決 「違憲」解消する法改正を(信毎web)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021031800138
社説(3/21):同性婚訴訟で違憲判決/法整備へ議論を始める時だ(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20210320khn000064.html
加藤官房長官「LGBT対応、省庁横断で」 丸川担当相「所管ではない」発言に(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021031901079

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