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同性カップルの住所をブログで晒した三重県議が問題視され、県議会が経緯の調査と対応の協議に動きました

 三重県議会の議員が、自らのブログで、同性カップルの住所などを3月30日から1週間にわたって無断で公開していたことが「差別や偏見をあおりかねない」などとして問題視され、県議会が経緯を調べています。三重県では4月1日からアウティングを禁止する条例が施行されています。
 

 同性カップルの住所などを無断で公開して非難を浴びたのは、自民党三重県連青年局長を務める小林貴虎県議です。
 事の発端は、今年の3月に入り、小林議員が同性カップルの権利保障について「地方のパートナーシップ制度は国を追い込むための戦略 こう言う一部の人の政治的思惑のために当事者は利用されているんじゃ無いだろうか」「なぜ婚姻と同等の「制度」を求めるのかわからない。愛がどうのこうのって話なら、お互いが愛し合っていればそれでよいのではないか? 婚姻と同等の権利をよこせと言うことなら、同等の責任を果たさねばその資格はないでしょう」などとTwitterに投稿したことです。これに対し、伊賀市の同性パートナーシップ証明制度導入を機に三重に移住してきたカップルのお二人が、趣旨や詳細について説明を求める公開質問状を3月15日、小林県議の事務所宛てに送りました。
 質問状の名義はお二人と支援団体でしたが、質問状を入れた封筒の裏にはお二人が一緒に暮らす自宅の住所を書きました。すると小林県議は、30日に更新したブログで「一方的に質問を突き付け回答を『要求』する姿勢は非常に攻撃的で敵意を感じます」「自身の見解と異なる意見を認めない一方的な寛容は、60年代の新左翼の思想に通じる」などと書き、回答とともに、封筒の表と裏(氏名と住所)を撮影した写真を載せました。
 ブログの内容を知ったお二人は翌31日、自民党県議団の部屋を訪れ、小林県議に自宅住所を掲載しないよう求めました。しかし小林県議は「削除を求めるなら公開質問状を取り消すべきだ」と拒み、その日のうちにブログに、お二人とその支援者である県議とのやりとりを掲載。そのうえで、住所については「送付者が自らの意思で記載し送付したもの」であり、地方公務員法で守秘義務が定められた「職務上知り得た秘密ではない」などとして公開の正当性を主張しました。
 三重県ではアウティングの禁止を盛り込んだ条例が4月1日から施行されました。「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟の弁護団の一人である堀江哲史弁護士は、「三重県条例に抵触するかどうか、厳密にはわかりません。ただ本人の同意がないのに性的指向と個人情報を結びつけて流すのは、極めて不適切です」と指摘し、「明確な条例違反にならないとしても、議員なら条例制定の背景にある差別や偏見がある社会実態を踏まえて行動すべきでしょう」と批判しています。地元・三重で市民運動に携わってきた芦葉甫弁護士も「質問状に載っている住所をあえて公開すれば、相手の萎縮につながります。特に公職にある県議が、有権者からの質問を威圧的に封じるような対応をするのは許されないのではないでしょうか」と述べています。
 伊賀市のお二人は、本名で活動し、運営するオンラインショップに事務所の住所として自宅の住所を載せていたりもしますが、それでも「悪意を持った人に拡散されるかもしれず、とにかく怖いです。それに悔しい」「私たちが自ら住所をオープンにするのと、敵意を基に意思に反してさらされるのは趣が全く違います。個人情報の公開で威圧されたように感じました」と語り、4月1日には公開質問状をTwitterやFacebookから消して取り下げました(なお、ブログで個人情報が晒された後、いやがらせと思われる非通知の電話が鳴り続け、お一方は精神的に病んでしまったそうです)
 お二人は毎日新聞の取材に対し、「今回の取材に応じれば、さらに住所が拡散する恐れがあるのはわかっています。それでも私たちの身に起こっている現実を、たくさんの人に知ってほしいと思います」と語りました。

 小林県議は4日までに、毎日新聞の電話取材に2回応じ、お二人の住所の削除要請を現状では受け付けない考えを明らかにしました。主なやり取りは以下の通りです。
――住所の公開に踏み切ったのはなぜか。
 画像の氏名と住所は、送付者の意思で記載したもの。地方公務員法で守秘義務を課せられた職務上知り得た秘密には当たらない。それに送付者の名前や住所について、公開の制限を求める意思は示されていなかった。
――議員に質問しようとする市民を萎縮させるのではないか。
 萎縮を招くかは見解の相違がある。(県議などの)公人には、質問状をさらされた時点で私人にはないリスクが生じる。2人は公開質問状を出し、私の了解がないのにツイッターなどに掲載し、多くの人に周知している。議論して相互の理解を図りたいなら、公開質問ではなく他のやり方があったのではないか。これまで話す機会があったのに、いきなりハレーションを生む公開質問状を出してくるのは誠実ではない。
――住所の公開は、一方的なやり方への警告ということか。
 そうではない。公の場で議論をしようと投げかけた以上、覚悟があって当たり前だろう。彼らは明確な公人とまでは言わないが、アイデンティティを明かして活動している「公の人」だ。お互いに理論武装して、同じフィールドに立ち、自由に議論すべきだ。
――4月1日にはアウティング禁止を盛り込んだ県条例が施行された。今回の住所公開は条例の趣旨に反するのではないか。
 条例とは全く関係がない。性的指向を暴露しておらず、2人が秘密にしていた情報を漏らしたわけでもない。
 
 4日にこの毎日新聞の記事が出るや、SNSでは「質問状なのだからただ答えれば良いところを"攻撃的"とレッテルを貼り、議員という立場でありながら「事務所宛」に送られた質問状の裏に書かれたいち市民の住所(さらに言えば、差別や偏見を受けやすい立場にいるマイノリティの市民いち個人の住所)をわざわざ晒す卑劣な行為」「自身のヘイトを指摘した同性カップルの住所を、腹いせで公開したあげく、開きなおる事件。この国の底の抜け方、こわい」「一部で、公開質問だから晒されて当然って話もあるけど、住所氏名を公に晒す必要性がまったく無いし、個人ブログで個人情報晒すこともアウトだし、アウティングとしても完全アウト」「住所という個人情報をネットで晒すとは言語道断」「マジでクズ」「ひどすぎる。」「直接的な暴力と何も変わらないレベルの人権蹂躙だ。こんなもん速攻で逮捕拘禁してもいいと思うんだけどダメなの?」など、多方面から非難の声が上がりました。

 5日には、三重県議会の議長と副議長が経緯を調べる考えを示しました。すると小林県議は午後になって写真を削除しました。
 小林県議は「周辺の方にご迷惑をかけている為」とブログに書き込み、NHKの取材に対し「公開質問状は2人の意志で送付されていて2人は、みずからのHPでも住所などを公開していて、守秘義務が課せられるものではない。公開の場で議論するためどういう人からの質問状かわかりやすくするため提示した」などと説明しました(「迷惑をかけたのはお二人だろ!」との声が多数上がっています)
 伊賀市のお二人は「無断で住所が公開され恐怖や憤りがあった。ほっとしているが理解できない行動だ」と語りました。
 
 同日、Buzzap!が「同性カップルの住所氏名をブログで晒し上げた自民・小林貴虎三重県議の過去の発言をご覧ください」という記事を掲載し、小林県議が過去に特定の民族への差別的な発言をTwitterに投稿して県議会議長から批判されたり、渋谷区の同性パートナーシップ証明制度条例案の時に「若者が多く集まる渋谷区の路上や職場で男性同士、女性同士が公然と抱き合ったりキスをしたりする姿が日常の光景となり、やがてエイズが蔓延してしまう」という荒唐無稽なチラシをポスティングするなどしてきた(反社会的とされる)宗教団体などと関わりがあることが明らかにされています。
 
 この記事の後、SNSでは驚きが広がるとともに、「これが現職の県議会議員って、驚愕!三重県だいじょうぶ?」「これが県連青年局長?」「タチの悪い人が議員やっているものね。自民党って何も対応しないのかしら」などのリアクションが起こっています。辞職を求める声も上がっています。
 
 今後の県議会や自民県連の動向に注目しましょう(適切な対応が求められるところです)
 
【追記】
 6日の伊勢新聞の記事によると、この件について日沖正信三重県議会議長は、経緯を調査して対応を協議する考えを示しました。日沖議長は、先月30日に稲森稔尚県議(草の根運動いが)から議会事務局を通じて連絡を受け、小林県議の投稿を把握したと説明、「われわれは公人。SNSに発信力はあるが、県民の信頼を裏切らないよう自覚する必要がある」と述べました。
 また、服部副議長は「小林議員と同じ会派の議員として、話をしなければならないと思っている。住所や番地を写真で投稿するのはよろしくないと考える」と述べました。
 

参考記事:
同性カップルの住所を三重県議がブログで公開 質問状に反論(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20210404/k00/00m/040/127000c
県議が同性カップル住所無断掲載 三重、自身のブログに(共同通信)
https://www.47news.jp/6071608.html
同性カップル住所を無断掲載 三重県議がブログに(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021040500576
県議がブログで同性カップルの住所など公開 県議会が調査(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20210405/3070005288.html
男性カップルの住所 三重県議が自身ブログに無断で掲載 「アウティング」禁止条例施行の三重県(中京テレビNEWS)
https://www.ctv.co.jp/news/articles/wedcyisj9ksx57yo.html
同性カップルの住所無断掲載 小林県議のブログ 議長、経緯調査と対応協議へ 三重(伊勢新聞)
https://www.isenp.co.jp/2021/04/06/58197/
住所と名前を三重県議に公表された同性カップルが激白「電話が鳴り続けて精神的に病んでしまった」(AERA dot.)
https://dot.asahi.com/dot/2021040500077.html

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