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「性別ないです」と語る井手上漠さんのフォトエッセイが反響を呼んでいます

2021年04月29日

 「性別ないです※」と語るモデル/タレントの井手上漠(いでがみ・ばく)さんのフォトエッセイ『normal?』が発売され、大きな反響を呼んでいます。

※性的指向がない(性別を問わず性的に惹かれることがない)人は「アセクシュアル」と呼ばれますが、自身のジェンダーアイデンティティについて「性別がない」「自分に当てはまる性別が存在しない」と語る方は「アジェンダー」と呼ばれます。さらに、「自分に性別がないと感じるだけでなく、自分が性別の概念の外側に置かれていると感じる」ような方は、「アポジェンダー」と言うそうです。


 Twitterのプロフィール欄で「性別ないです」と謳う井手上漠さん。2018年に高校1年生で『第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』のDDセルフプロデュース賞を受賞し、以降、テレビ番組『行列のできる法律相談所』など多くのメディアに出演してきたほか、モデルとして多数のファッション誌・美容誌で活躍、2月28日にオンラインで開催された第32回『東京ガールズコレクション 2021 SPRING/SUMMER』にゲスト出演するなど、さらなる飛躍が期待されています。
 「世間の目じゃなく自分を貫いているのがかっこいい」と、若者を中心に多くの人々の支持を獲得している井手上さんですが、その初のフォトエッセイ『normal?』が4月20日に発売され、ネット書店のランキングで1位になりました(発売前から予約が殺到し、重版が決まったそう)
 発売されたフォトエッセイでは、「生い立ち」「家族」「SNS」「性」などのテーマで、これまで語られることがなかったエピソードも語られていて、SNSでは「共感できるところが多々あって涙でました」「泣くつもりなかったけど共感ポイントが多すぎて泣いてしまった」などのコメントが寄せられて、ジェンダーに関する悩みを持つ当事者はもちろん、様々な読者に共感が広がっているそうです。


 井手上さんは4月27日放送の「めざまし8」(フジテレビ系)に出演してインタビューに答え、そちらも反響を呼んでいます。

 井手上さんは島根・隠岐諸島にある人口約2400人の海士町で生まれ育ち、物心ついた時からかわいい物が大好きで、髪の毛も肩まで伸ばしていたそうですが、小学校高学年の時、周囲から「気持ち悪い」と言われ、ばっさり切ったといいます。
「小学5年生くらいになってくると、着替える時に男子と女子で別々になったり、結構性別で分けられがちになる。そのときに私はいつも女の子たちと仲良くしていたので、男の子が違和感を覚えたんでしょうね。私の存在に。いろんな批判的な声をもらってから、髪を短髪にしました。本当に嫌でした。何をしても楽しくなくて、このままつまらない人生でいいのかなと思いました」
 やがて、表情から日に日に明るさが消えていくことに気付いたお母さんが「ありのままで生きればいいからね」と言ってくださり、「つまらない人生に救いの手を差し伸べてくれた」そうです。「母のその言葉で強くなれた」

 井手上さんは中学3年のとき、「少年の主張」全国大会に出場し、思いの丈を語りました。
「自分は人とは違う、変わっていると気がついたのは小学校高学年の頃でした。「気持ち悪い」いきなり耳を疑うような言葉が僕の耳に飛び込んできました。「僕のこと? 僕のどこが気持ち悪いの?」その日から僕は変な目で見られていると感じました。もし今、ありのままの自分を認めることができず、悩んでいる人がいたら僕は伝えたい。あなたはこの世界にいなければならない人だということを…」
 このスピーチで井手上さんは全国2位に輝きました。
「弁論大会に出ていなかったら、今私はここにいないし、こんな語ることもできてなかった。弁論大会が私に勇気をくれたといいますか、人に自分のことを話すきっかけをくれた」

 自信を得た井手上さんは、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストへの出場を決意。弁論大会の時は「僕」だった一人称を「私」に変え、ありのままの自分で勝負し、見事、DDセルフプロデュース賞という特別賞を受賞、“可愛すぎるジュノンボーイ”として一躍、注目されることになりました。

 フォトエッセイを出版した意図について井手上さんは、「私みたいな人たちって少数派だから、やっぱり多数派で生きている人たちには伝わりにくいのが、現状じゃないですか。それはしょうがないことなんですけど、しょうがないで終わらせちゃうと、何も変わらないなと思ったんです。誰にも語りたくない過去っていうのもたくさんあるんです。でも、それを語らないと伝わらないことが私には多くて、じゃあもう何もかも赤裸々にしようと思ったんですね」と語りました。
「5年後残っている物になれば、この時代に変わったんだとかいう、なんて言うのかな…価値のある物に自分でも感じられるような気がして、その一生残る物を作ることに意味を感じた。このエッセイを残すことは、私にとっても誰かにとっても意味があることだと思って、18歳からの視点でこのエッセイを出しました」

 インタビュアーの久慈暁子アナウンサーは「本当に濃い18年間を送ってきたんだなって…」と涙し、井手上さんも「濃かったんですよ」「いろいろ思い出しちゃった」と目を潤ませたそうです。
 放送後、視聴者からは「私も涙が溢れました」「ありのままで生きるという姿勢はすごく素敵だと思います」「これからも応援しています」など、多数の反響が寄せられたといいます。

 
 5月1日からは「ズームイン!!サタデー」(日本テレビ系)のお天気キャスターもつとめるという井手上さん。これからもますます活躍してほしいですね。
 


井手上漠フォトエッセイ『normal?』
井手上漠:著/講談社:刊


参考記事:
「性別ないです」井手上漠が語る“ありのままの自分”(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/175474
井手上漠「私の深い深いところまで語っている」フォトエッセイが話題(ORICON)
https://www.oricon.co.jp/news/2191590/full/
井手上漠、涙の対談に反響 全てを赤裸々にした理由明かす「しょうがないで終わらせちゃうと何も変わらない」(モデルプレス)
https://mdpr.jp/news/detail/2552342

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