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LGBTQ差別を容認し、同性婚等の諸権利運動を阻む可能性のある法案に反対する緊急声明が出されました

 現在、与野党間でLGBTQをめぐる法案についての議論が大詰めを迎えていますが、与党が進めている法案は、LGBTQ差別を野放しにし、同性パートナーシップをはじめLGBTQの諸権利を求める動きを抑えつけ、今の状況を後退させる可能性がある「骨抜き」の内容だとして、松岡宗嗣さん、杉山文野さん、ロバート・キャンベルさんらが呼びかけ人となり、緊急声明が発表されました。5月6日(木)に緊急記者会見が行われるそうです。



 性的マイノリティの約半数がいじめ被害を経験し、自殺を図ったことがある方の割合もLGBが異性愛者の6倍、トランスジェンダーは10倍も高いという調査結果があります。学校でいじめられても、先生が「お前が男らしくないのが悪い」などと言って差別に加担したり、就職活動をしていたトランスジェンダーの方が内定を取り消されたり、ゲイでも会社をクビになった方もいますし、ゲイカップルやレズビアンカップルが家族と認められないために病院での面会を断られたり、部屋を借りられなかったり、公営住宅に入居できなかったり、老人ホームの入居を断られたり…こうした差別をなくしていくためには、性的指向や性自認で差別をしてはいけないという基本的なルールを設けることが重要です。
 しかし、今の与党は、差別の禁止ではなく「理解の増進」という言葉を掲げ、「LGBT理解増進法」の制定に向けて動いています。
 「理解増進」は一見、国民に理解を求めるという「良いこと」に思えるような響きもありますが、「LGBT理解増進法」の内実は大変な問題をはらんだ法案であるようです。(ロバート・キャンベルさんの解説もぜひご覧ください)

 今回出された緊急声明では、3つの懸念点が示されています。

1. 差別を「放置」する懸念
 すでに80以上の国で、性的マイノリティに関する差別の禁止が法律で規定されています。
 差別禁止の規定がなければ、例えばトランスジェンダーであることを理由に採用面接を打ち切られたり、ゲイであることで左遷やクビにされたり、学校から追い出されるといった、いま実際に起きてしまっている「差別的取り扱い」から当事者を保護することができません。
 「障害者差別解消法」や「男女雇用機会均等法」「アイヌ新法」などでも、差別的取り扱いの禁止が規定されており、本当に差別をなくす気があるのであれば、大前提として取り入れなければならない条文です。

2. 同性婚やパートナーシップ制度の導入を阻害する懸念
 もしLGBT理解増進案が成立してしまうと、今後、同性婚の法制化や、または自治体のパートナーシップ制度の導入には、いつまで経っても「社会の理解が足りない」と言われ続け、「理解を広げることが先」など、言い訳としてこの法律が使われ続ける可能性があります。
 法案では「理解」がいったい何を指すのか、どこまで広がれば「理解が足りる」のか、一切示されていません。地方自治体は、この法律をベースに施策を進めていくことになりますが、このままでは、与党の考える「理解」に合致しないという理由で、例えば「同性婚」という言葉の入った啓発パンフレットは作ることができず、パートナーシップ制度導入などの広がりも阻まれ、教育や労働、医療の現場の取組みも制限されてしまう懸念があります。

3. トランスジェンダーへのバッシングを広げる懸念
 自民党で開催された複数の会合で、トランスジェンダー女性に対するバッシングが行われているそうです。
 例えば「いま私も女性になりたいと思えば女性になれる」という曲解や、海外のトランスジェンダー女性の写真を資料として提示し、「グロテスク」などという言葉も使って「女性の活躍、安全が脅かされる」とトランスジェンダー女性の実態を無視した、あまりに差別的な発言がなされています。
 このような認識のもとで「理解」を広げる法律をつくるなんて…。トランスジェンダーに対するバッシングを助長しかねません。

(ほかにも、遠藤まめたさんが「LGBT理解増進法じゃなくてLGBT研修抑制法ではないか?」との懸念を示していたり、新宿区議のよだかれんさんも「同性婚を認めなければ国民の反発を喰らいそうな情勢の中、ガス抜き法案として利用されるのでは」と危惧しています。まるでロシアのように、公に「同性婚できたらいいよね」と言えなくなる国になってしまいそう…)
 
 与野党間での協議は、GW明けに終わる方向で議論が進んでいます。
 もしこのまま「理解増進法」が成立してしまうと、今後10年以上覆すことができない可能性が高く、「法律がない方がマシ」という事態になりかねません。
 
 このような危機感から、5月2日、LGBTQコミュニティの方たち(や「Marriage For All Japan」の寺原さんなどのアライの方たち)が共同で緊急声明を発しました。数時間で1000名超の方が、賛同を表明しています。

 SNSでは、以下のような声が上がっています。
「現在整備中の「理解増進法」は、明確に存在するLGBTQへの差別をうやむやにし、「人権」として保障されるべきものを、「理解」という現状を全く顧みないことばによってあらぬところへ回収しようとするものです」
「いま検討されている法案では当事者は守られず、約50年の日本のLGBTQ運動で積み上げてきた社会も後退させかねない」
「法律ができたせいで、かえって同性婚の実現が遠のいては困ります」
「国民が理解するまで差別を継続しますけどごめんね!」なんて法律をほしがる人がどこにいる?」
「一番理解していないのは政府与党です。正しい法律でまず平等を守る。それが理解増進の最速の道のはずです」
「同性婚に消極的なばかりか、ロビイング過程でトランス差別が横行する、実質「トランス差別法」になる懸念」
「日本がこのまま人権後進国になってはいけない」
などなど。

 いま、LGBTQコミュニティは、別の意味での「緊急事態」に直面していると言えるでしょう。
 ここで声を上げたり、意思表明をしなければ、のちのち後悔するかもしれません。
 
 賛同するのはもちろんどなたでも可能です(ニックネームでOKです。署名と異なり、住所などを書く必要もありません)。賛同者が何千人、何万人と増えれば、与党も私たちの声を無視できなくなるのではないでしょうか。1人でも多くの方の賛同が得られるよう、ご協力をお願いいたします。
 
 賛同はこちらから


【追記】
 3日、松岡さんがアベプラに出演し、両方の法案を詳しく比較し、問題点をとてもわかりやすく指摘しています。スタジオのコメンテーターの方も概ね賛同してくださっている様子。35:20あたりからご覧ください。
https://abema.tv/channels/abema-news/slots/EhFaxHkcLFeSjq
 4日、LGBT法連合会も「これまでに積み上げられた科学的な調査、知見を前提に、当事者の抱える生活上の困難の解消を目的とした、実効性ある法律を求める」との声明を発表しました。

 5日18時半時点で賛同人が4000人近くに達したそうです。ご賛同くださった皆さん、ありがとうございます。

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