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与党議員の差別発言に対し、東京レインボープライド、プライドハウス東京も抗議声明を発表しました

2021年05月22日

 基本理念に差別禁止を盛り込むことで与野党合意したLGBT法に対して自民党の会合でLGBTQ差別発言が相次いだ問題で、5月21日、東京レインボープライドは、LGBT法連合会が発表した「【緊急声明】 一部の自由民主党議員の「LGBT新法」条文審査における発言について」を支持し、ともに抗議することを発表しました。
 
 プライドハウス東京も22日、米国の団体「アスリート・アライ」と合同で抗議文を発表しました。
 山谷議員の発言について「トランスジェンダーの人権と尊厳を蔑ろにするだけでなく、トランスジェンダーに対する誤解・偏見・差別を著しく助長するものであり、非常に遺憾に捉えています」と批判し、また、「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」などの発言があったことも含め、「今回の一部の自由民主党議員による発言については、オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則6」に反する不適切な行動であり、現在、大会を開催するとしているホスト国の日本として、国際的な批判を大きく受けるものでもあります。また、日本社会に暮らす当事者を含めた多くの方々にとっても受容し難い発言であり、プライドハウス東京コンソーシアム及びアスリート・アライは、非常に残念なこととして受け止めています」と述べました。「これらの差別発言がなされたことの事実確認を求めるとともに、もし事実であるならば、その撤回と謝罪を求めます。また、現在審議中であるLGBTQに対する差別をなくしていくための法案について、より実効性のあるものとしての実現を切に願います」

 また、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは21日、「A Gold Medal for Homophobia in Japan(日本のホモフォビアに金メダルを)」と題した抗議文(英文)を発表しています。「日本の政治家がLGBTの人々を侮辱する発言をしたのは初めてではありませんが、今回の発言は日本の世論や国際社会での日本政府の立場とあまりにかけ離れています」「今回の発言をした自民党議員は度を超えました。他の自民党議員は、この発言を否定し、LGBT平等法を直ちに支持すべきです」
(五輪憲章に反する発言が複数、政権与党の議員から飛び出したことは、遅かれ早かれ国際社会でも問題視されそうです)



 21日の共同通信の記事で「生物学上、種の保存に背く。生物学の根幹にあらがう」といった趣旨の発言をした議員が簗和生(やなかずお)元国土交通政務官であったことが明らかになりましたが、その後の報道によると、簗氏の発言中、同席者からは批判の声も上がったにもかかわらず、一部の議員が簗氏への批判を問題視し、「政治的に抹殺されるから言えないという状況が生まれつつある」「どんな発言をしても大丈夫な社会をつくるべきだ」などと擁護したそうです。簗議員はTBSなどの取材に対し、書面で「会議は非公開のため、、会議の内容や発言についてお答えすることは差し控えさせていただく」と、一方で「性的少数者をめぐる理解の増進は必要なことだと考えている」と述べました。
 また、「法を盾に裁判が乱発する」と発言したのが西田昌司・党政務調査会長代理(参院京都選挙区)であることも明らかになりました。西田議員は「(性的少数者の当事者も非当事者も)お互い我慢して社会を守る受忍義務がある」と主張し、こうした「道徳的な価値観」を無視して「差別があったら訴訟となれば、社会が壊れる」という趣旨の発言をしたそうです。西田議員は朝日新聞の取材に対し、「『受忍』とは寛容のこと。ちょっとした差別や違和感でも、法律の趣旨に従って社会全体が受け入れるべきだとなれば、みんなが窮屈になるのではないかという意味で発言した」と語り、修正前の法案に戻すよう訴えました。
 
 この西田議員の発言を受けて、ロバート・キャンベルさんは、「「種の保存」(簗和生議員)にあらがうから差別に「受忍義務」(西田昌司議員)を背負えとはとんだお国柄よ。僕が生きている日本とは、思いたくない」と、松岡宗嗣さんは、「さも性的マイノリティ当事者と非当事者が平等な立場で、しかも"道徳的な価値観"を守る"義務"があり=マイノリティはマジョリティの価値観に合わせろと、さらにマイノリティが不合理な差別的取扱いを受けても耐え忍び、司法に訴えるな、さもなくば社会が壊れると。やはり差別を温存したいという意図」とコメント、また、ゲイであることをカミングアウトしている長岡京市の小原明大市議は、西田昌司氏が「『国民主権』と聞くと国民が一番偉いのだと思ってしまう人が多すぎる」と立憲主義を否定する問題発言をしている人物であることを指摘しています。
 そのほか、Twitter上では
「本当にこういうの…言葉をなくす」
「差別的発言によって当事者の命や尊厳が脅かされ、奪われたとしても受忍せよというのか?他者の尊厳を踏みにじっても差別的発言の自由を要求する不道徳ぶりには呆れる」
「日本国憲法のどこにも「受忍義務」なんて言葉は書かれていませんが、なに馬鹿なことを言ってるんだろ」
「「どんな発言をしても大丈夫な社会をつくるべきだ」や西田議員の「差別があったら訴訟となれば社会が壊れる」も酷いです。発言それ自体は自由として、度を超したら批判され、訴訟を提起されるのは当然で、それが「自由には責任を伴う」ということです」といった声が上がっています。

 
 なお、この朝日新聞の記事は、「差別的だと批判が出る恐れが…」などと曖昧にせず、「性的少数者の存在は自然に反するとの主張は誤りであり、差別だ」と地の文できちんと書いているところが賞賛に値するとの声もたくさん上がっていました(本当にそうですね!)
 

参考記事:
自民・簗和生議員が「LGBTは種の保存に背く」事実確認避ける(TBS)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4274029.html
「種の保存にあらがう」 自民議員のLGBT差別相次ぐ(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP5P64JMP5PUTFK001.html

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